No.227 飯能靖和病院 原田俊一院長 後編:高齢者医療のセンスを磨いてほしい

インタビュー

前編に続き原田先生に、高齢者医療に携わる看護師に必要とされること、

今後の病院運営展開などについてお聞かせいただきました。

心に余裕を持った看護師に期待

中:この辺で看護師についてお伺いいたします。

高齢者医療に力点を置かれている貴院にとりまして、これからさらに高齢者が増加していく状況において、

病院の役割をより積極的に果たしていくために、看護師にはどのようなことを期待されますか。

原田:当院における看護では、看護学校で学んでこられたことが直接役立つ場面よりも、

患者さんの悩みや家族関係の対応など、

学問的に理解するのがなかなか難しい問題に遭遇することのほうが多いかもしれません。

ですから例えば読書をして、人間とは何かとか、死生観について考え、

それを基礎に取り組んでいただく必要も生じています。

もっとも国家試験に受からなければ何も始まりませんから、卒前の教科書的な勉強はもちろん必要ですが。

中:つまり、看護学校での教育内容と臨床看護の乖離があるということでしょうか。

原田:一歩社会に出て看護の臨床、特に私どものような病院で高齢者医療に携わることになりますと、

加齢とは何かとか、高齢者特有の感情を理解するセンスが求められてきます。

そのセンスを磨いて欲しいと思います。

もう一つ付け加えますと、患者さんやご家族と対面する際の態度や姿勢にも気をつけていただきたいです。

心に余裕をもって接し、しっかり聞く耳を持つといったことです。

患者さんに自分の親への想いを重ねてほしい

中:先生がおっしゃる「看護師に必要な余裕」といったことを看護学生が培うには、

どのような手段があるでしょうか。

原田:いまは核家族化が進み人間関係がどうしても希薄になってきているのですね。

本来であれば病気が治りご家族のもとへ帰ることができる患者さんが、ご家庭の事情で帰られず、

行き場がない状態で長期入院されていることもあります。

そういった社会的な現状を認識することがスタートだと思います。

それには、やはり新聞や雑誌を読み、見分を広げることが大事です。

そして常に自分の親のことを考え、

自分の親を大事にするような気持ちで高齢患者さんを大切にするという気持ちを持っていただきたいです。

そうすれば上手くいくと思います。

最新のリハビリ機器

中:具体的なアドバイスをありがとうございます。

ここで貴院の特徴についてお尋ねします。

冒頭でも少しお話しいただいたリハビリテーションについてもう少し詳しく教えてください。

原田:回復期リハビリテーションが充実していることは当院の大きな特徴で、

TMS(経頭蓋磁気刺激)や集中的作業療法など最新のリハビリツールを導入しています。

一番のトピックは今年導入したウェルウォークという歩行訓練支援システムです。

脳卒中の後遺症による片麻痺など歩行障害がある方のリハビリをサポートする最新マシンです。

もちろん、これらハード面だけでなく、大学教授に非常勤で診ていただくなど、

スタッフ等ソフト面も同様に充実しています。

中:今春の診療報酬改定もそうでしたが、急性期から回復期そして在宅へという流れがあるなかで、

貴院も地域における連携を今後より強めていこうとお考えですか。

原田:おっしゃる通りです。

在宅に戻られる患者さんについては、近隣の開業医の先生による往診や訪問診療へと繋いでいくことが多く、

医師会の先生方とのコミュニケーションは欠かせません。

相手に伝わるコミュニケーション力

中:お話を伺っていますと先生は、院長というお立場も関係しているのかもれませんが、

常に人と人をつなぐ役目を果たしていらっしゃるように感じました。

院長というご職業は、患者さんとスタッフの間やスタッフ同士をつなげるために

コミュニケーショ力も必要と思われますか。

原田:自分の言っていることが相手にわかってもらわないことには始まりませんので、

どういう言葉を使い、どのように話しかければ理解してもらえるかは常々考えています。

それはスタッフ間もそうですし、患者さんやご家族が相手の時、または医者仲間で話す時もそうです。

予防医療的アプローチ

中:今後のことについてお伺いします。

先生は貴院をこれからどのよう変えていきたいとお考えでしょうか。

抱負をお聞かせください。

原田:脳ドックを中心とする予防医学の拡充です。

先ごろ当院は日本脳ドック学会から施設認定を受けました。

この領域における実績を評価していただいた結果と認識しております。

MRIによるリスクの早期発見等により、

地域住民に対する予防医学的なアプローチを展開していくことをいま考えています。

中:予防から治療、そして回復期や終末期まで、

地域住民のライフステージ全てに関わる医療体制になりますね。

最後に先生のご趣味についてお聞かせいただけますか。

原田:趣味はアウトドアスポーツです。

ゴルフ、スキー、テニス、それからフィッシングですね。

ゴルフはホールインワンを取ったこともあります。

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ハンティングもします。

山の中を走り回って、猟銃でイノシシやシカを撃ちます。

この辺りはシカやイノシシの獣害が多いのですね。

農作地や民家を荒らしたり、交通事故を引き起こしたりして、しばしば駆除依頼があり、

地元の猟友会の人たちと一緒に山に入っていきます。

あとは、モータースポーツです。

昔から車好きでJAF(日本自動車連盟)のモータースポーツ部で

メディカル部会長という役職を務めています。

その関係で鈴鹿のF1や富士の耐久戦などに「視察」という名の観戦に行きます。

趣味とは少し異なりますが、当院では日本式のリハビリをミャンマーに紹介するといったことも行っており、

私も先日、現地を訪れました。

ゆくゆくは事業展開していきたいところです。

中:たいへん幅広くアクティブに活動なさっているのですね。

原田:じっとしているのが嫌いなものですから。

看護師へのメッセージ

中:それでは最後に、看護師に向けてメッセージをお願いします。

原田:当院は埼玉県の西部、飯能市という所にあり、

主に地域に密着した高齢者を対象とした慢性期医療を行っています。

飯能市には、間もなくムーミンのテーマパーク「ムーミンバレーパーク」がオープンするなど、

非常に将来性のある都市です。

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しかも東京から1時間以内で到達できる距離にあり、

横浜にも直通で行くことができるなど、アクセス環境も優れています。

日頃は落ち着いて看護に専念でき、休日は東京や横浜などでリフレッシュできる立地です。

先輩スタッフはたいへん穏やかで優しい人ばかりなので、ぜひ当院で働いていただければと思います。

よろしくお願いします。

インタビュー後記

原田先生から、看護師に対するアドバイスも分かりやすく教えていただきました。

見聞を広げる大切さ、家族のように患者さんのことを思う気持ち、技術だけではない大切な想いを

看護師に持って欲しいという言葉の重みを感じます。

明るい環境の中で、落ち着いて看護がしたいという人にはぴったりの病院ですね。

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