No.132 湯浅 尚子様(横浜甦生病院)前編「納得できる看護と介護」

No.132 湯浅 尚子様(横浜甦生病院)前編「納得できる看護と介護」

  • 2018年5月8日
  • インタビュー
No.132 湯浅 尚子様(横浜甦生病院)前編「納得できる看護と介護」
No.132 湯浅 尚子様(横浜甦生病院)前編「納得できる看護と介護」

今回は横浜甦生病院の看護部長、湯浅 尚子様にインタビューをさせて頂きました。

湯浅看護部長の手腕と魅力に迫ります。

戴帽式で得た確信

 

看護師を選ばれたきっかけを教えていただいてもよろしいですか。

 

湯浅:高校をどこにするかを考えているタイミングで、幼馴染のお姉さんが通っていた衛生看護科のある高校を勧められ、高校卒業と同時に准看護師の免許取得ができるということで、その高校を進学、卒業後、上京しました。

 

看護を学ばれてみていかがでしたか。

 

湯浅:衛生看護科では高校の勉強に加えて実習など、看護の専門科目も勉強をしますので、やはりついていくのは簡単ではありませんでした。

でも、戴帽式を迎えると気持ちが引き締まり、「進学してよかったな」と感じることができました。

 

では学校卒業後は、正看護師の資格をとるために学校にもう一度通われたのですね。

 

湯浅:そうです。

1年間、准看護師として、その後、看護専門学校に進学し看護師の資格を取得しました。

とてもアットホームな環境で学ぶことができました。卒業後は、学校附属の精神科病院に3年勤め、その後、他院に再就職しました。

 

看護に共通する技術

 

精神科を初めのうちにご経験されたことで、その後に活きてきたと感じることはございますか。

 

湯浅:人をじっくり見ることが出来るようになった点でしょうか。

精神科にいらっしゃる方々は、疾患の症状が出ているという点はありますが、患者さんの心の動きや距離の取り方がわかるようになり、距離感を保つことも看護する上で必要なのだと思いました。

「この方は今、何を考えていらっしゃるのだろう」などと考え、傍で寄り添って話を聴く技術が身についてからは精神科での看護を楽しく感じることが出来ました。

その技術は他科で勤務しても活かすことが出来ました。

 

精神科の病院は地域の方との関わりも大切と伺いますが、いかがでしたか。

 

湯浅:勤務していた病院は、地域の方によく受け入れられていたところだったと思います。

地域の方々にはお花見や運動会など年間の行事に参加して頂いたりして、その行事には託児所に居る職員の子どもたちも参加していました。

 

では、そちらで3年間勤務された後はどちらでお勤めになられたのでしょうか。

 

湯浅:東京の救急病院に入職し、配属先は手術室でした。

自分でもその辞令には驚きましたし、医師からの信頼も無いところからのスタートでしたが「決まった以上はやるしかない」とまずは自分の出来る所から取り組んでいきました。

先輩から「直接介助は医師に指示されて器械を渡すのでは遅く、一歩先を考えて器械を自分の手に持ち即座に手渡すこと。自分が手術をしていると思って器械出しをしなさい。」と指導されました。間接介助では麻酔が導入されるまでの患者さまの不安をどう、和らげていくかの声かけなどが大事でしたね。そこで精神科で培った精神面での看護が役立ちました。

理想はその先にある

 

管理者になられたのはいつ頃だったのでしょうか。

 

湯浅:東京都から神奈川県に引っ越しをしました。その間も配属先は手術室でした。勤めている間に手術室看護師長になりました。その後に大規模病院に入職し、手術室の師長、副看護部長(手術室兼任)、大規模病院のグループ病院に看護部長として転勤となりまして3年前に横浜甦生病院に看護部長として入職しました。

 

これまでに管理者としてのキャリアを積んでいらした中で、管理の魅力は何処にあると感じられますか。

 

湯浅:自分の持っている思いや理想を追い求められ実践できることだと思います。

 

 

納得できる看護と介護

 

では次に看護部について教えてください。

 

湯浅:看護部職員は約60人で、病棟は緩和ケア病床12床、療養病床30床、一般病床が39床及び、外来があります。

病院の規模としては小規模ではありますが、神奈川県で2番目にホスピス病棟が出来た病院なので、その歴史の中で培われてきた看護が根付いていると思います。

 

こちらの看護部理念についてもお話を伺わせてください。

 

湯浅:病院の理念が 《一人一人かけがえのない人生の支えとなれるように人に優しい医療、看護、介護を実践します》です。

看護部としては、その病院理念のもとに活動をしますので、病院理念に沿うよう《納得できる看護と介護を提供します》という理念を掲げています。

 

患者さんが「納得できる」看護と介護とは、どのような意味でしょうか。

 

湯浅:当院には緩和ケア病棟と療養病棟があります。

当院の療養病棟に入院されている患者さんの殆どは転院されることはなく、長くいらっしゃいます。

ですので、患者さんも、患者さんのご家族も我々医療関係者と関わる時間がとても長く、それは家族のように大切に想っています。

そうした環境だからこそ患者さんにもご家族にも、私達が提供している看護や介護の内容に納得して頂けなければ退院や、他の病院に移られてしまわれることになります。

緩和ケア病棟に関しても同じようなことが言えます。

こちらでは看取りの看護も行われています。

ですから、患者さんのご家族に「患者さんのために何かを行えた」と思って頂けるような関わりを持つ必要があります。そうしたお気持ちを感じていただければ、残されたご家族の方もどこか納得した感覚を持って患者さんの最後を受け止めることが出来るのではないかと思います。

 

療養型や緩和ケアの病棟ではそうした点で、ご家族への関わりが大切になるのですね。

 

湯浅:そうです。

緩和ケア病棟では、最期を迎えられたご家族の方に、様々なことが一段落するであろう2か月後にお手紙を送らせて頂いております。

また、病院に事務的なことで来院された時に葬儀が終わったことなどを伝えに来てくださり、確認はしておりませんが、ご家族の方に納得頂けたのではないかと思っております。

後編に続く

白岩 憲子
A-LINE株式会社 シンカナース副編集長
聖路加国際大学卒業 看護師 保健師 東京武蔵野病院