No.120 露木 道子様(湘南東部総合病院)後編:人を尊び、命を尊び、個を敬愛する

インタビュー

前編に引き続き、湘南東部総合病院の露木看護部長へのインタビューをお届けいたします。

看護理念をエピソードで語る

 

看護部の理念にある「人を尊び、命を尊び、個を敬愛する」についてどのように考えていますか。

露木:ふれあいグループの理念でもある「人を尊び、命を尊び、個を敬愛する」という理念です。

理事長がよく「この理念をエピソードで語れるようにしなさい」と言われます。

私は「エピソードとして語れる」とは先ほどお話しした筋萎縮性側索硬化症のAさんとの関わりのような事だと思っています。

例えば、その人を尊びA氏の残された能力を最大限に使って、個に合わせた方法で、その人が求めるあり方、生き方を支援する、ここに一致すると思います。

患者さんとご家族と一緒に喜び合える一時が作れることは、看護師にとっても本当に嬉しいことです。

そういう場面に出会えると、満足度にとても繋がると思います。

このような体験を重ねていくことは、看護の喜びであり、忙しさに追われても決してそれを忘れないと思います。

看護師の研修で、ケーススタディは何年目に行いますか。

露木:卒後1年目、2年目も学習段階に応じてあります。

事例をもとに振り返り、プリセプターや教育担当者、後輩の前で発表会もあります。

クリニックも併設されていますが、看護師の数はどのくらいいますか。

露木:病院には非常勤を含めて260人くらいです。

クリニックを合わせると300人以上です。

毎年何人くらいの看護師が入職しますか。

露木:今年度は新卒の人達が28人予定、既卒者を合わせると30~40人くらいです。

茅ケ崎と下田に看護専門学校があり、そこからの卒業生が入ってきます。

みなさん学生の時から当院へ実習に来ているので、よく分かっています。

グループの中に当院があり他病院にも先輩がみんないます。後輩の状況が分かっているため、教える環境ができています。

生活に根差した介護業務

 

看護補助者の役割について教えてください。

露木:看護補助者は、生活に根差した介護業務をしてもらっています。

食事・入浴・排泄のお世話、いつでも患者さんが入院できるようにベッドを整え、病棟病室の整理整頓、清掃、必要な物品請求、等々患者さんだけでなく看護職の支えになっています。

患者さんの様々な情報を拾ってきてくれ、そこから様々なことが分かることもあります。

また、介護福祉士を含む看護補助者は、倫理や介護技術など様々な教育研修を重ねて成長しています。

例えば、「感染症の人が入るから感染セットを用意してください」と言うと、ベッドを整えて、必要な環境整備と物品一式を準備してくれます。

部会はグループの交流会

 

ふれあいグループの病院やクリニックの施設間での人事異動やローテーションはありますか。

露木:本人の希望や結婚して住所が変わる時などは異動願いを出しています。管理職に関しては、状況によってあります。

他にグループの中で集まって話し合いや交流会などはありますか。

露木:ふれあいグループ管理職研修年5回、専門部会研修年1回、医療・教育研究会年1回、全病院と施設対象の会議は毎月1回(在宅会議・院長施設長会議・看護責任者会議など)です。

医療・教育研究会は医師部会や看護、リハビリなど14部会に分かれ研究発表会や成果発表などを行っています。

専門部会研修では急性期と慢性期、在宅の人たちや施設関係のグループに分かれて、自分たちの研究成果を発表したり講演を開いたりします。今年度は学会や研修会の伝達講習もありとても有意義でした。

他のグループ病院の取り組みが共有され、お互いに良い刺激になっています。

新設メディカルフィットネス

新しい施設のメディカルフィットネスはどのような施設ですか。

露木:メディカルフィットネスは、運動療法が必要な方の施設です。

医師の指導の下、専門スタッフが生活習慣病の予防・改善、健康増進プログラムを提案しています。

施設にはプールやエアロバイク、バランスボールなどがあります。

専門のスタッフがついて患者さんは運動しています。

高脂血症の方は少しダイエットを目指し、膝にトラブルのある方はプールの中で動いたり膝の負担のないように訓練をします。

看護部長さんの趣味などを教えてください。

露木:本当に無趣味で、息子によく「仕事が趣味だね」と言われます。

若い頃はテニスや卓球、バレーボールなどスポーツをよくやっていました。

趣味は今のところこれといったものはありませんが、休みの日に天気がいいと、軽くウォーキングをします。それだけで気持ちが随分変わります。

体を動かせるようにしていきたいと思っています。

自分に合った看護を探すことができる病院

湘南東部総合病院のアピールをお願いします。

露木:湘南東部総合病院は、急性期だけではなく慢性期の受け入れもしています。

急性期一般5病棟の他、ホスピス緩和ケア病棟、精神科急性期病棟・回復期リハ病棟、NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)委託病床があります。

また、在宅支援部門と連携し、訪問診療・訪問看護・訪問リハを活用して退院後の生活をチームで支えています。急性期から慢性期の幅広い分野の看護経験ができる病院です。ぜひ一緒に働いてみませんか。

*病院機能評価認定病院 *臨床研修指定病院

*実習指定病院;看護大学・専門学校受入 *認定看護師;6名 支援制度あり

シンカナース編集部 インタビュー後記

病院での治療がその後の患者さんのQOLに影響する。

社交ダンスをされていた患者さんやALSを患っていらした方のお話は、それを如実に表していると思います。

教室でいくら生活の質の大切さを説かれても、実際に観て聴いて体験することが出来なければこれからの看護を担ってくれるであろう新しい仲間達には伝わりません。

今回頂いたお話はそうした面でもこれからの看護に活きて来てくれるのではないかと感じています。

急性期から緩和ケア、在宅まで機能が揃っている湘南東部総合病では、自然と患者さんの生活をベースに考えて看護にあたれる人材が育っているのではないでしょうか。

露木看護部長、この度は大変有り難いお話をどうも有難うございました。

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