患者さんが自信を持てる関わりを
こちらの病院・看護の特色を教えてください。
金子:当院は心臓リハビリテーションをメインに、維持期のリハビリテーションをしています。
亜急性期に位置付けられますので、急性期の病院とは看護師、ケアワーカーそれぞれに求められるものは異なるかもしれません。
この時期の患者さんは急激に良くなるわけではありません。
患者さんが在宅に帰られてから、何が必要になるのかを患者さんのペースに合わせて、患者さんを中心に一緒に考えることができる事が一番の魅力だと思います。
急性期化している医療の中で、退院しても再入院してくる方も多いと聞きます。
患者さんと向き合い、協議をしながら患者さんにどのような日常生活を送っていただけるのかを臨床の中で話をすることが大切だと思います。
例えば、入院すると看護師は患者さんから薬を預かり管理をすることが多いと思います。
ですが、それをしてしまうと患者さんが薬の自己管理をできなくなり、結果的に退院できない、自宅で過ごせない、ということになってしまうことがあります。
そのようなケースをつくらないように、患者さんには自分でできることはしていただき、帰宅後の生活に自信が持てるように患者さんと向き合う、皆で語る、ということが必要とされているのではないでしょうか。
理想の看護師像の条件にもなっていますが、「日々の看護に追われない」ためには何が必要なのでしょうか。
金子:日勤業務はある程度決められたものがありますが、限られた時間の中で時間の管理をしないとあっという間に1日が終わり、それが日々のルーチンになってしまいます。
言われてからするのではなく、患者さんに何が必要で、何を求められているのかを一緒に考えることから始めていただきたいです。
こちらの病院にはどのような患者さんいらっしゃるのでしょうか。
金子:豊島区、板橋区、練馬区の地域の方もいらっしゃいますが、心臓リハビリテーションですと、日本大学医学部附属板橋病院や、帝京病院などからもお受けさせていただいています。
他の病院で手術をした方が維持期のリハビリテーション期に当院に転院をしてきます。
当院でリハビリテーションを行なった後にも術後のフォローなどで通院が必要な場合は、手術をされた病院に通って頂くことが多いです。
系列の病院への看護師の異動はあるのでしょうか。
金子:治験をしている会社と居宅介護支援事業を行なっていますが、その関連グループへの移動はありません。
院内のリハビリテーション科に看護師を配置しているほか、医療連携室に後方支援看護師、退院支援看護師を配置していますので、その連携室のある管理部に異動することはあります。
亜急性期ですと、他院との連携が鍵になると思いますが、現時点で他の病院との交流はございますか。
金子: 現在民間の小規模病院の中で看護部長会というのをやらせて頂いておりまして、その中で主任の交流会など、横の繋がりを作るための働きかけをしています。
小規模病院ですと、他と情報共有をしないと何が良いのか悪いのかが中々わかりません。
そういったディスカッションができると現場も元気になると思います。
社会人経験のある方の意見は貴重
社会人から看護師になられる方へアドバイスはございますか。
金子:社会人経験を踏まれて臨床に来られる方も最近は増えて来ています。
私の場合は、福祉業界を少し勉強させていただいたこともあり、前職ではコンサルティング的な仕事もさせていただいたので、外を見る機会はありました。
その外を見た経験から、医療の業界は閉鎖的な感じがしまして、これから在宅に患者さんを帰していこうという中では、私たち医療業界の常識を変えていかないといけないと思っています。
そうした中で、社会人経験を踏まれた方の意見は取り入れて、吸収し、改善しながら病院も変えていかないと生き残れません。
病院はまだ色々な可能性が医療だけではない分野もあると思います。
潜在看護師の方も臨床に戻る機会があれば、不安もあると思いますが、自信を持って取り組んで頂ければと思います。
各病院によっても様々なカラーがあるのは確かです。
そのフィーリングを感じていただいて、これでは大丈夫だなと思える所であれば、日本の事業界の中で医療を選んでいただければ有難いです。
入職される方の特徴は何かございますか。
金子:当院はまだ教育体制がしっかり整っているとは言えませんので、新人の方の入職はございませんので、今のところは経験がある方を中途採用で採っています。
看護職は看護補助者もいれて70名ですが、男性看護師は現在4名、男性の看護補助者も8名おります。
外に出てリフレッシュする事も大切
日々お忙しくされていらっしゃると思いますが、趣味はございますか。
金子:趣味は広く浅く色々な事をしていますが、ゴルフは6、7年続けています。
ゴルフは精神的にも鍛えられますし、自分のその時の体調がすべて出てきますので、職場でも同じことが出ているのだろうなと感じています。
前職のメンバーや友達、ご近所の大先輩など老若男女問わず様々な方と行きます。
外に長時間出ることはリフレッシュできるのでとても良いと思います。
好きな音楽などはありますか。
金子:昔はバンドマンでして、ギターやベース、ボーカルとすべての担当をしたことがあります。
前職では夏祭りの納涼祭で、患者さん向けに有志が集まり、バンドでロックを演奏したことがあります。
練習でスタジオに入るだけでも気持ちが良いです。
院内にも同じ様な趣味を持っている看護師がいますので、同じ様に何か取り組めたら良いなと思っております。
看護部長からのメッセージ
将来、こちらに転職や就職を考えている方へメッセージをお願いします。
金子:当院は112床の民間の医療法人で小規模ですが、みなさんと話が出来ることが良いところだと思います。
院長を筆頭にオープンハートな方々ばかりです。
3カ月いると打ち解けることが出来ますし、スタッフの間で良い意見も悪い意見もディスカッションができて、それをフォローしてくれる環境があります。
良好な人間関係が築けていると自信を持って言えます。
院長もいろいろな話を聞いてくれますし、院長の「みんなが幸せになってもらいたい」という言葉を実行できているのが当院です。
活躍の場は民間の病院だと少ないと思われるかもしれませんが、思いを持っている方の活躍できる場所が当院にはありますので、色々な看護に関する話を聞かせて頂きたいと思っております。
よろしくお願いします。
シンカナース編集部インタビュー後記
亜急性期に位置し、心臓リハビリテーションを行うことができる関野病院。
患者さんの本当の生活は病院の中ではなく、ご自宅に帰られてから始まるということを常に意識し看護に当たることができる病院です。
金子看護部長は看護だけでなく、介護・福祉の事もご存知でいらっしゃるため、そうした特徴のある病院のスタッフを率いることができているのだと感じます。
風通しの良い組織が夢と仰っていた通り、庶務・看護分け隔てなく、ワンフロアでお互いに常に顔が見える関係で仕事ができる環境を作っていらっしゃいました。
目標を持つだけでなく、確実にそれを実現させる実行力もお持ちの方です。
今後どのように病院同士の繋がりが作られていくのか、とても楽しみになりました。
金子看護部長、この度は看護業界にとって重要なお話をして頂き、誠にありがとうございました。
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No. 80 金子直由様 (関野病院) 前編:指摘してくれる方は自分の財産