最初の病院選びは看護人生のスタートとしてとても重要である。しかし、看護業界の就職選びは未だに「条件」が優先されている。実際に勤務してみれば、一般企業とは違い、病院によって給料や休日の数も大きな差はない。それでも未だ「給料、休日、有給、研修内容」の情報が優先されているのは古い体質だと言わざるをえない。
一方で、そういった部分でしか可視化出来る明確な情報がないというのも看護業界の悲しい部分でもある。看護師にさえなれば、就職率は100%とも120%ととも言われる時代において、病院側は看護師獲得に奔走し、看護師側も限られた情報の中で、安直に未来を決めている感が否めない。一般大学の学生のように、会社のウェブサイトや会社案内を徹底的に調べたり、いわゆる必死に就職活動をしなくても「どこでも受け入れてくれる」という状況が、より真剣な就職活動を遠ざけてしまっているのかもしれない。
こういう意味でも、看護師の就職活動は進化を遂げていない。
就職選びを「条件」から「価値観の共感」に進化させていく必要性を強く感じるのは、実際に勤務してしまえば、条件よりも「誰と働くか」が重要になる。表面的な退職理由では直接的に語られないことかもしれないが、人間関係や価値観の不一致での退職者は多く見受けられる。
看護部長は何を考え、看護師長はどう部下と接し、将来を明るく照らすような看護師になっていけるか?ということを考慮しない就職活動からの脱却を看護学生には求めたい。研修体制は多くの病院で工夫がほどこされ、充実している傾向にある。ただ、それはあくまでも全体的な研修プランであり、個別にカスタマイズされたものではないということは知っておく必要がある。
就職先の病院選びを「条件」から「価値観の共感」「誰と働くか?」へ進化して欲しい。
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シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎