1/4、2/4に続き、ローズ療養通所介護の溝呂木大介施設長、鈴木夕輝看護主任のインタビューをお届けします。
3/4では、療養通所介護が抱える課題、課題解決のために取り組んでいることについて伺っています。
そういう方法があったのか!
利用者も施設も満足できる、目からウロコな取り組みを知ることができました。
たちはだかる課題
課題も多くありそうですね。
溝呂木:1つは点数に関する課題です。
要介護5で看護・介護・入浴サービスを受けているAさん・Bさん・Cさんの1日の介護保険の算定比較をしてみましょう。
Aさん:訪問介護・小規模型通所介護を利用 ⇒ 2057単位
Bさん:訪問看護・訪問入浴・訪問介護を利用 ⇒ 2824単位
Cさん:療養通所介護のみを利用 ⇒ 1511単位
こうして比べてみると、療養通所介護が最も低い算定でサービスを受けることができます。
療養通所介護は保険にも利用者さんにも優しいサービスなんです。
しかし採算性の低さが課題となっていますし、施設の少なさも課題です。
東京で5ヶ所、杉並ではここ1ヶ所しかありません。
それだけ少ないと、申し込みも多いのでしょうね。
溝呂木:申し込みの数は非常に多いですね。
当施設では新規利用者さんの受け入れは2年待ちです。
そんなにいらっしゃるんですか!
溝呂木:2年もお待たせると重度の方はお亡くなりになってしまうので、申し込みいただいても対応しきれないのが現状です。
これが1番の課題ですね。
1人でも多くの方に利用していただきたいので、ここで元気になった利用者さんには一般のデイサービスに移っていただきたいのですが、一般のデイサービスに行くとまた具合が悪くなってしまうケースも少なくありません。
そうなるとまた新規利用までに2年待ちになってしまいますから、皆さんここを継続利用することを希望されますね。
この課題を解決するために、今後は一般のデイサービスとの連携を考えていく必要があると考えています。
相互で行き来できるような環境を区が主体になってできないかということを進めていければと思っています。
療養通所介護の施設数を増やすべきであることは間違いないのですが、採算性の低さもあって、訪問看護ステーションや事業主さんに「やってください」と言いづらい現状です。
特別養護老人ホームを作るより、はるかに少ない予算で作れるものだと思うので、ぜひ行政に動いてほしいですね。
自施設だけで解決しようとするのではなく、行政も巻き込んで解決策を探してく必要がありますね。
稼働率95%を可能にしたもの
介護度高い方の利用が多いと思いますが平均でどのくらいですか?
溝呂木:平均4.6くらいです。
それだけ高いと、利用者さんが予定通りいらっしゃることができないことも多そうですが・・・
溝呂木:昨年の年間稼働率は95.4%でした。
一般のデイサービスで稼働率80%いけばよしとされていますから、デイサービスの中ではあり得ない値とされています。
それを可能にした取り組みはどのようなものでしょう?
溝呂木:療養通所介護では利用者さんが来られなくなる3つの理由があります。
1.急な入院
2.ショートステイの利用
3.急な体調不良
この3つはどうしても避けられない問題ですが、だからといってこれらを放っておくと、稼働率は一気に低下して50〜60%台になってしまうんです。
どうやって稼働率を上げているのでしょうか?
溝呂木:これは区へのアプローチが成功した部分でもあるのですが、「空いている日だけでもいいから使いたい」という利用者さん・家族からの声がきっかけになり、「スポット契約」というサービスを始めました。
新規利用まで2年待ちという現状もあり、定期利用はできないけれど、急遽使えるという条件でもいいから、と契約する方もいらっしゃいます。
当日の朝に連絡をして来所することになる場合もあります。
ケアマネさんが大変ですね。
溝呂木:もともと入っているサービスをキャンセルしてこちらに来ることになるのでかなり大変だと思います。
我々も関係施設とコミュニケーションをとりながら協力を求めることで、皆さんからの理解を得られています。
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