No.250 武蔵野赤十字病院 泉並木 院長 後編:これからの看護師への期待

インタビュー

前編に続き泉先生に、院長というお立場でのマネジメントの工夫、

看護師や看護学生へのアドバイスを語っていただきました。

QCサークルで業務改善

中:マネジメントの話題に関連してお尋ねしますが、

先生が病院長に就任されるとき、何かご決断されたことはございますか。

泉:病院長になり第一に考えたことは、

職員の皆さんがプロフェッショナリズムを持って自己研鑽していただくことです。

そして第二は、社会貢献です。

この二点を両立させて、地域住民のみなさんに、「武蔵野日赤に行けば安心だよ」と

言っていただける病院にすること、それをモットーとして続けてきました。

マネジメントで最も気をつけたことは、「絶対に怒らない。絶対にイライラしない」ことです。

やはり人の感情は次々に伝わっていき影響を及ぼしていきますから、

常に冷静に職員をマネジメントしていくように運営してきました。

具体的な伝達手段については、もちろん大切なことは口頭で伝えるのですが、

言葉で伝えられることというのは本当にたかが知れた範囲でしかありません。

看護師800人、医師245人を含む1,800人の職員に、

重要なことをどのように伝えれば一番心に響くかということを常に考えます。

中:いま現在、特に大切にしているテーマはございますか。

泉:チーム医療の確立です。

今はどの病院も「チーム医療に取り組んでいます」と言うのですが、

本当のチーム医療は口で言うほどやさしいものではありません。

看護師はこれを、薬剤師はあれをと仕事を分ける役割分担だけでは全くチーム医療とは言えません。

チームには目的が必要です。

そこで当院でいま取り組んでいるのはQCサークル(quality control)による業務改善です。

すでに採用している病院も多いかと思いますが、

私どもも複数のチームを構成しさまざまな課題の解決を図っています。

例えば、患者さんの退院をよりスムーズにするにはどうすれば良いかといったテーマごとに

フローチャートを作ります。

そしてチームごとに成果を発表します。

今年は25チームから発表がありました。

それぞれ素晴らしい発表です。

QCサークルにはその成果を競う全国大会が開催されるのですが、当院では

院内評価で1位・2位になったチームに対して、全国大会へ参加のための出張をサポートしています。

地域医療では看護師がキーパーソンになる

中:少し話題を変えて、看護師についてお聞かせください。

2025年に超高齢社会のピークが始まりますと、看護師の役割が

これまでとは大きく変化していくのではないかと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。

泉:非常に大きく変化すると思います。

これまではどちらかというと医師の診療補助が看護師の主たる役割だったのですが、

それでは全く済まなくなるはずです。

専門看護師ががん患者さんの痛みの管理や、仕事と治療の両立の相談に応じたり、

救急外来でのトリアージ、感染管理をすることになると思います。

在宅医療でも容態が安定している患者さんでは看護師が診るようになるかもしれません。

医療機関が地域に貢献していくこれからの時代において、看護師がキーパーソンになると予測されます。

中:そうしますと看護の領域も今よりさらに専門化と細分化が進みそうですね。

「病院から在宅へ」という流れに乗って、在宅医療専門の看護師も増えていくとお考えですか。

泉:そうですね。

ただ、私はやはり、最初から在宅専門で働くのは少し無理ではないかと思います。

最初はきちっと病院で研修を受けて、5年以上の臨床経験が必要だと思います。

その上で、それぞれの得意の分野に羽ばたいて活躍していただくと良いのではないでしょうか。

これからは病院が看護師を院内に留めておくのではなく、

地域で育てていくと良いのではないかと思います。

それによって地域医療における医療機関の役割分担がより明確になっていくことでしょう。

中:看護学生に対しても何かアドバイスをいただけませんでしょうか。

看護を学び始めたものの、例えば勉強が難しいといった壁に当たって、

そこから逃げしたくなる学生もいるようですので。

泉:看護学生が一番ストレスに感じることは、

実習での患者さんとのコミュニケーションの取り方ではないかと思います。

しかし、コミュニケーションのポイントは「慣れ」なのですね。

それに、練習して上達させることが可能なスキルもあります。

ですから「困ったな」と思い悩まずに、スキルを勉強することが大切です。

そういったスキルの教育は、いま本当に充実してきています。

あとは、良い仲間を作り、その仲間とともに壁を一つ一つ乗り越えて経験を重ねることだと思います。

これからの社会で活躍できる看護師

中:看護学生に向けて、たいへん温かい言葉をいただけたかと思います。

最後に先生のご趣味をお聞かせいただけますか。

泉:ミュージカルを観たり、コンサートに行くことが好きです。

ミュージカルは同じ演目を複数回観ます。

役者による違いを味わうのが大好きです。

『レ・ミゼラブル』など10回以上観た作品もあります。

役者によってこんなに物語が変わるのかと感心するほど違いますね。

歌手ではミーシャさんが好きです。

ところが今はチケットがたいへん取りづらく、それが悩みの種です。

それから最近、引退後のことも考えて、ヴァイオリンを習い始めました。

中:素敵ですね。

泉:まだまだ初心者レベルですが、2週間に1回、できれば1週間に1回ぐらい習いに行っています。

自宅でも近所迷惑にならない程度に練習しています。

中:それでは改めて、看護師へのメッセージをお願いします。

泉:これからは超高齢社会だとよく言われます。

いろいろな病気を持った患者さんがたくさんいらっしゃるわけで、

ますます看護師さんの役割が重要になると思います。

ただし、やはり従来と同じように、最初にどういう教育を受けるかが、

非常に重要であり続けることでしょう。

当院は、周産期、救急、高度急性期、手術、さまざまな医療を展開していますで、

いろいろなことを習得したいというニーズに応えられます。

専門の看護師を目指すスタートとして、非常にふさわしい病院だと思います。

ぜひ、これからの社会で活躍できる看護師さんになっていただきたいなと、期待しています。

インタビュー後記

未来に向けた看護師の育て方。

病院に留まることだけではなく、地域で看護師を確保し育てていく。

泉先生から、地域全体、日本全体の医療制度のあり方についても教えていただきました。

また、お話を伺っている間も、とても穏やかでしたが、マネジメントスタイルを伺い納得いたしました。

泉先生のように、全体を包み込むようなリーダーは憧れます。

武蔵野赤十字病院関連記事

院紹介

泉院長インタビュー前編

泉院長インタビュー後編

Interview with Toan & Carlos