前編に続き、患者さんとの触れ合いを大切にされている山本先生に、
医療法人トップとしてのマネジメントや看護師へ期待すること、ご趣味などについてお尋ねしました。
中:スタッフの方に繊細な気配りをされ、とてもおやさしいですね。
先生のなさっていることは、患者さんの疾患を治療するだけでなく、
働いている人、あるいは地域や社会をも元気にするような活動につながるのではないかと思います。
山本:そうかもしれませんね。
夢として、当グループが健康の発信地でありたいと思うこともあります。
中:ここまでお話を伺ってきまして、先生がすごく明るい未来を目指され、
日々活動されていらっしゃるご様子が伝わってまいります。
ところで先生のマネジメントスタイルは、すべてをご自身で決められるタイプでしょうか、
それとも周囲との協力を重視されるタイプでしょうか。
山本:一人で生きていくことは難しいことですから、周りの人たちの助けがあって、
私は今ここにいるのだと思います。
中:高い実力を備えていらっしゃる方が、どのような経験を重ねると
「一人で生きていくのは難しい」という慎ましい話され方をされるようになるのだろうかと感じました。
山本:私自身も何回も病気をして患者の立場を経験しましたので。
確かに病気をするまでは「何でも自分がやるんだ」というところがあったかもしれません。
しかし病気から回復していく過程で、何か大きなものに生かされているという思いが育ってきました。
例えば今こうやってお話しをさせていただいているこの瞬間も、皆さんが話を引き出してくださり、私自身も
自分で思い返して「そういうことだったんだな」と再認識する機会を与えていただいているわけですから。
ですから、ふだん患者さんとお話ししていても、その瞬間がとても楽しいです。
中:やはり子どもの頃から人が好きで興味をお持ちでいらしたというところに、
すべてが集約されていくのですね。
現在、先生は経営者と医師という大きく二つの役目を担っていらっしゃいますが、
その時間配分はどのようにされていますか。
山本:経営はみなさんが手伝ってくださっていますので、
どちらかというと診療中心に動いていると思います。
もちろん理事長としての自負がありますので、各施設を回り現場を把握しています。
基本的にはスタッフに任せられることは任せ、きちんと報告をしていただき、
決断すべきことはトップとしてしっかり決断するというかたちをとっています。
中:看護部門に対してはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
看護師への期待などもお聞かせください。
山本:もう30年以上前だと思いますが、
勤めていた大学病院でアメリカの病院の視察に行ったことがあります。
その時、アメリカの看護師は「ものすごく格好いい」という印象を受けました。
学術的に高度な知識が身に付いていて、自分の業務に権限と責任を持ち、当然ながら自信もあり、
それでいて患者さんに対しててきぱきと、かつ、優しく対応していました。
もちろん日本の看護師も最近はその姿に近づいてきていますが、なお一層邁進していただきたいと思います。
私は医師と看護師は同僚だと思っています。
決して上下の関係だとは考えていません。
互いにそれぞれの役割を果たすべき存在です。
ぜひ自信を持って取り組んでいただきたいです。
中:最後に先生のご趣味についてお聞かせください。
山本:私は活字中毒で、本を読んでいる時が私のストレス解消になりますし、休息にもなります。
また、患者さんに毎日お目にかかり、
何か一つでも患者さんに良いことを持って帰っていただきたいと思っております。
そのために本を読むという側面があるかもしれません。
読書のほかは、犬と遊んでいる時が息抜きです。
中:それでは、看護師に向けてメッセージをお願いします。
山本:みなさんこんにちは。
私どもの病院は、患者さんが治療を受ける際に、
患者さんの目で見て一番良い病院でありたいと思っています。
患者さんに優しく、そして治療も的確な病院であることを私どもの誇りとして、
進んでいきたいと思っています。
どうぞ私どもの病院にもいらしてください。
よろしくお願いいたします。
患者さんを大切に、温かい雰囲気で医療を行われている山本理事長。
アメリカの病院視察でご覧になったという看護師は、とてもカッコよかったそうです。
何故そう見えたのか?という点にも言及していただきました。
やはり、高度な知識を持ち合わせた上で、必要な権限や責任が委譲されているからこそ。
日本における看護の丁寧さや、優しさをこれに加えることが出来れば、最強の看護が提供できる!と感じます。
シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎