前回、アフリカの生活環境についてご紹介しました。日本であれエチオピアであれ、病気にもなればケガもするでしょう。日本人医師はおろか、先進国と比べると決して高くはない医療設備や衛生環境の中で、日本人が安心して受診できる病院を確保しておくことは、異国で「安全に暮らす」ことを保障するために不可欠なことと言えます。
滞在中にMCMコリアンホスピタルという私立病院という、エチオピアで最高レベルの医療を提供している病院の1つを視察してきました。それでも日本の医療には及ばないそうです。日本人が現地で妊娠した場合、「出産は日本で」が原則。この病院でも対応できないような重症度や珍しい疾患の場合は隣国へ搬送されることもあるとか。その時の費用や身体の負担・家族の負担を考えるだけでクラクラしてきます。もちろん日本と異なり、国民皆保険制度はありませんから、滞在中の医療保険はすべてをカバーしてくれるものが必要になるでしょう。
私が視察した病院を写真でご紹介したいと思います。
【病院の正面玄関】まだ新しく清潔な印象を受けます。
【工事中のCT室】開院に間に合わなかったそうで、院内でこんな現場が見られるとは。見ていて本当にCTが撮れるようになるのか少し心配になりました。
【NICU(新生児集中治療室)】
【ICU(集中治療室)】日本のそれとは比較するのが難しいですね。
【スロープ】院内の移動はスロープで。停電が多いためエレベーターが設置されていないそうです。車椅子もストレッチャーも人もここを使います。
【病院の売店】青く見えるボトルはすべて水でした。
【受付】禁煙マークはエチオピアでも見られました。
【救急外来】
【検査室】
私立病院ということで、これだけ設備が整っていますが、公立病院はとても日本人が受診できるものではないそうです。この病院は専門医がいたり、比較的清潔だということで日本人が受診・入院できる環境でした。現場での教育や看護学生の教育内容についても視察したかったのですが、時間的制約があって叶いませんでした。
渡航前に、”接種しなければ入国できないもの”、”強く推奨されたもの”を含めて4種類(黄熱・破傷風・A型肝炎・狂犬病)の予防接種を受ける必要があると知った時点で、注射が大の苦手な私は不安でいっぱいになりましたが、現地で実際に生活環境や医療の現状を見ると、予防接種で防げるのなら何種類でも接種したい、という気持ちに変わっていました。日本とは大きく異なる環境で「生活する」となると、いかにリスクを回避するかが非常に重要です。必要以上に怖がることはないと思いますが、何かあってもすぐに日本に帰国できない(飛行機で17時間)ことを考えると、それなりに準備と覚悟がいるのだと感じました。
慶應義塾看護短期大学 東海大学健康科学部看護学科 看護学士 早稲田大学大学院政治学研究科 ジャーナリズム修士 ニューヨーク留学 慶應義塾大学看護医療学部 慢性看護学実習指導 東海大学健康科学部看護学科 在宅看護学実習指導 東京都御蔵島村 保健師 シンカナース副編集長