お正月といえども、病院は基本的に入院患者さんがいるので休みにはなりません。一般外来診療はお休みをしていても、救急搬送などの対応もあります。お正月ならではの帰省中の交通事故、お餅を喉に詰まらせてしまった、年始の挨拶で飲みすぎたことによる急性アルコール中毒などなど、病院は世間のお正月のゆったりムードというわけにはいかない現実があります。
一方で、入院患者さんの中でも一時帰宅が出来る状態にある方は「お正月は家で過ごしたい」という希望もあり、お正月の数日間のみ、一時帰宅される患者さんもいます。そこで、フル稼働状態の病棟よりは若干、入院患者さんが少ない期間が発生します。
緊急性を要する検査や手術は別として、計画的に行われている検査、手術もお正月期間はお休み。一般外来もお休みとなると、病院内の玄関付近はかなり静かな雰囲気になるのがお正月の特徴です。
大晦日には年越し蕎麦が振舞われたり、元旦にはミニおせちのような特別食になるということもあり、入院中の患者さんも「お正月だなー」と感じていただけるよう工夫している病院も多くなりました。全体的に数日間、静かになっているだけでも特別感はありますが、見た目にもわかりやすい食事や、お正月らしい音楽演奏会を開催するなど、一時帰宅出来ない患者さんへの配慮が感じられます。
全体的に静かな雰囲気。特別な時期。入院患者さんは若干減っていて、予定検査や手術がない。こんな時期こそ、看護師の勤務希望はわかれます。特に混雑している時期に実家に帰ったり、遊んだりする必要もないか?と思っている看護師は勤務オッケー!お正月が終わってからゆっくりお休みを取る計画を立てられます。
家族や親戚との時間を合わせるのがお正月しかないかな?という看護師はお休み希望!となるでしょう。この時期はお休みして、お正月明けは、検査や手術も開始になるので、一気にフル回転するぞー!とお正月中にエネルギーを蓄えることもできます。
本当は休みたいけど、去年はお休み出来たから、同僚に譲ろうという看護師もいるかもしれません。どちらにしても、同僚全員一緒にお休みとはならないというのも看護師の特徴ですね。
病院勤務時代は、手術室の所属でしたので、病棟勤務と違い、希望等はありませんでした。緊急手術以外の予定手術はありませんので、何も呼び出しがなければお休み!と思ったのも束の間、大晦日に脳外科の緊急手術が入り、ギリギリ除夜の鐘に間に合うか?というところで手術終了。休日体制だったので、看護助手さん等もおらず、使用した全ての器械から部屋の洗浄までを行い、真夜中に帰宅した頃に「あれ?熱が出たかな?」と思って体温計測をしたらなんと40度近い熱。翌日は病院で点滴をうってもらい、お正月のお休み3日間は全て風邪を治すために使うことになりました。
あの時、点滴の指示と、冷えピタを貼ってくれた副院長の優しさを今でも懐かしく思い出します。
シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎