従来の慣習にとらわれず、常に新しい技術を採り入れる泌尿器科を専門とされる、NTT東日本関東病院の亀山先生にお話を伺いました。
病院の特徴を教えてください。
亀山:当院はNTT東日本の企業立病院です。
よってNTT東日本のモットーである「つなぐ、を、強く」を医療において実践すること、つまり、人と人をつなぐ医療をビジョンとして掲げています。
また、企業立病院ではありますが、患者さんの中心は地域の一般住民の方々ですから、地域医療にも非常に力を入れています。
また、総合病院として特定の科だけが突出するのではなく、総合的治療、言うなれば全人的医療を提供できることが特徴と考えています。
医師になろうと思われた動機を教えてください。
亀山:当院では毎年40〜50人ほど医師が交代していて、採用の際には私も必ず面接を行います。
その際、採用予定者に、ちょうど今ご質問いただいた「医師を目指した動機」を必ず問いかけます。
すると、いろいろな事情や特殊な動機を伺え、非常に面白いと思います。
では、自分はどうなのかと申しますと、一つのきっかけは私が小学校3年生ぐらいの時のことではないかと記憶しています。
祖父が胃がんで亡くなったのです。
亡くなる1カ月ぐらい前に病床を見舞った際、祖父に「立派な人になって社会のお役に立つように」と言われたのです。
その言葉が原点であったと感じます。
その後、教師であった父親が言った「医師になれば良い」という言葉に後押しされるような経緯で医師を目指しました。
泌尿器科を専門と決められた経緯を教えてください。
亀山:学生のときにいくつもの診療科を回った結果、手術ができる外科系に進もうと思うようになりました。
最終的に泌尿器科を選びました。
泌尿器科は、極めて多くの腹部臓器を扱います。
例えば、副腎、腎臓、尿管、膀胱があり、男性であれば前立腺や精巣も対象となります。
かつ、開腹だけでなく、腹腔鏡や経尿道的な内視鏡手術、体外衝撃波など多岐にわたる治療ツールが、他科に先駆けて導入されてきたという特徴もあります。
現在適用が徐々に拡大しているダヴィンチ手術も、最初に保険適用されたのは前立腺がん手術です。
従来の慣習にとらわれず、常に新しい技術を採り入れ、先頭をきって走ってきた領域が泌尿器科ではないかと思います。
チャレンジングで進化が速い診療科ですね。
亀山:当院でも積極的に先進技術を採用してきました。
私は2014年に病院長に就任し2015年まで泌尿器科部長を兼務していましたが、新たに志賀淑之部長を迎えました。
ただちに、当時、最新鋭のダヴィンチXiを導入して前立腺がんの手術を開始しました。
志賀部長は、現在までに累積で800例以上手がけており、これは日本一の件数だと思います。
今では、開腹手術の既往があり癒着が予測される症例等を除けば、ほとんどダヴィンチを用いています。
年間コンスタントに120例以上施行しています。
このほかにも、腎がんに対してかつては全摘していたものが、最近は温存手術を第一選択としています。
過去に行っていた前立腺の開腹による全摘出術でも術創をできるだけ小さくし、ドレーンを留置しないことを目指していました。
治療成績の向上や低侵襲化によって患者さんに喜んでいただけるよう、日々改善に努めています。
後編に続く
シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎