No.134 病院長 木村健二郎様(JCHO東京高輪病院)後編:気配り・目配り・心配り

No.134 病院長 木村健二郎様(JCHO東京高輪病院)後編:気配り・目配り・心配り

  • 2018年5月11日
  • 病院長 インタビュー
No.134 病院長 木村健二郎様(JCHO東京高輪病院)後編:気配り・目配り・心配り
No.134 病院長 木村健二郎様(JCHO東京高輪病院)後編:気配り・目配り・心配り

前編に続き「心のこもった医療」とは何か、職員への期待についてお話いただきました。

 

病院連携による地域の医療体制づくり

 

病院連携について教えてください。

 

木村:患者さん中心の医療を提供するために、現在では周囲にある済生会中央病院、慈恵医科大学病院、NTT東日本関東病院、牧田総合病院と連携協定を結んでいます。

この連携病院は徐々に増やしていく予定です。

また、癌患者さんに関しては国立がん研究センター中央病院とも連携しています。

 

 

先ほど言いましたが、当院は基本全ての急患を受入れます。

そのため当院にない心臓血管外科、呼吸器外科、産婦人科などの診療を必要とする患者さんが救急搬送された場合には、連携病院があることで、迅速に搬送先が決定され、安心できる救急医療へと繋がります。

逆に、連携病院からは、急性期の患者さんのみならず回復期の患者さんを受けることも多くなってきています。

 

健全経営への取り組み

 

 

病院経営者として、今取り組んでいらっしゃることは何でしょうか。

 

木村:持続可能な良質な医療を提供していくためには、健全経営でなくてはなりません。

黒字にすることは医療機器への投資など医療環境を良好にしたり、病棟の改修など療養環境の整備などに必要不可欠です。

黒字化にするには、多くの患者さんに選んでいただくことと良質な医療の提供の両方が大事です。

平成30年4月の診療報酬の改定にもきちんと対応しなければなりません。

診療を行う医師が、診療報酬の改定を理解して、診察や治療を行なうことはとても困難です。

そのため、医事課が中心となり、医師をはじめとした医療関係者に適切にアドバイスをしながらしっかりと算定していくことが大事になります。

 

 

勤務している医師や看護師を含めた全ての職員が、安心して働き、良質な医療を提供していくことは大切です。

それを実現するためには、安定した病院経営が必要となります。

一生懸命勤務している職員たちの姿を見ると、経営側がしっかりとした病院運営をしていかなくてはならないとひしひしと感じます。

 

気配り、目配り、心配り

 

職員に求めていらっしゃることは何でしょうか。

 

木村:コミュニケーションは必須です。

院内では日々様々なトラブルが起こりますが、全てコミュニケーション不足が原因です。

患者さんに対しても、また、職員同士でも「気配り、目配り、そして心配り」(接遇の講師である「ふくだ友子」先生の言葉)が本当に大事です。

常に周囲の状況を良くみて、様々な事柄に配慮して、相手を尊重する思いやりの気持ちをもつもとにより円滑なコミュニケーションが可能となります。

人は人から感謝されたいと思いがちですが「感謝は求めるものではなく、感謝はするもの」だと考えています。

「心のこもった医療」が病院の理念であり、私も常に心がけるように、部屋に「感謝」と書いて飾っています。

 

 

経営者の視点を持つ

 

職員も経営者マインドを理解する必要はありますか。

 

木村:当院のような市中病院は、黒字経営によって始めて良質な医療を継続することができます。

そのため、病院経営は非常に大事で、職員ひとりひとりがそれぞれの立場で、病院のために自分ができることは何かを考えてもらいたいと常々思っています。

そのために、私の考えや病院の置かれた状況、今後の方向性などを常に職員に伝える努力をしてきました。

しかし、これはなかなか難しいです。

現在でも試行錯誤の繰り返しです。現在は各部署の責任者全員に出席してもらう運営会議を実施し、この会議で話されたことを出席者が各部署に伝達するという方法をとっています。

 

 

国際化へ対応

 

国際化について院内での具体的な取り組みなどありますか。

 

木村:当院の特徴として外国人診療があります。

当院の周りにはホテル、大使館、入国管理局などが多数ありますので、外国の方々を診察する機会は多いのです。

日本人と同様に平等に医療が受けられる環境を整備することは、この病院の役割だと考えて医事課の中に「国際係」を設置しました。

英語担当の看護師と中国語、ロシア語が話せる事務職員の3名でスタートしました。現在は国際部として独立した部門としています。

 

 

国際部の取り組みがきっかけで、外国人を診療する体制ができている病院を海外に推奨していく組織である一般社団法人Medical
Excellence JAPAN(MEJ)(※1)のジャパン・インターナショナル・ホスピタルズ(※2)の立ち上げ時期に、当院が推奨を受けました。

他にも外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)(※3)にて、外国人診療の体制が整っている病院として認定されました。

国際部の活躍の結果、このように公的に認定され、周辺病院からの見学もあります。

今では周辺の大規模病院も、同様の体制を整えつつあります。

 

病院内にインターナショナルクリニックがあり、外国の人が風邪を引いた場合にも受診可能となっています。

日本の医療は信頼度が高く、海外の治療を日本で受けたいというご要望や旅行中の人工透析の予約も受け付けています。

病院の立地が国際的な場所であるため、このような病院の取り組みは自然な流れだと思います。

地域の特色をきちんと踏まえた診療提供へ方向転換してきました。

 

※1 一般社団法人Medical Excellence JAPAN

※2 ジャパン・インターナショナル・ホスピタルズ

※3 外国人患者受入れ医療機関認証制度

 

 

看護師へのメッセージ

 

木村:当院は、地域のための病院として港区高輪で医療を提供しています。

院外の大規模病院、介護施設、あるいは、公的機関と連携をしながら、地域のための病院を目指しております。

また、院内連携を強化し、各部署内または多職種同士でしっかりと連携することで、良質な医療をスムーズに提供しております。

これから入職される方は、「目配り」「気配り」「心配り」の3つを大事にし、働いていただきたいと思います。

そして、相手に対する思いやりを持つことで、気持ちの良い職場を築き、全職員で良い医療の提供をしたいと思います。

皆さん、ぜひ、東京高輪病院で一緒に働きましょう。

お待ちしております。

 

 

シンカナース編集長インタビュー後記

東京の「品川」という入国管理局、各国大使館など海外の方々も多く集まる場所における地域医療の実践。

どのように都会の中心に位置する品川で地域医療を行われるのか、非常に興味がありました。

地域や病院の特徴を踏まえ、将来に向けた対策を取りながら地域連携を行い、全ては地域の患者さんにとって最善を尽くすことこそが地域医療なのだと学ばせていただきました。

木村先生が大切にされている言葉でもある「感謝」という言葉に、木村先生のお人柄を感じました。

医療は「感謝」されることが多く、自らの「感謝」を時に忘れてしまう可能性の高い仕事でもあると感じます。

しかし、「目配り、気配り、心配り」が出来ない看護師から看護を受けたいと思う患者さんはいないはず。

医療職こそが「感謝」の気持ちを持つことで真の医療が提供できるということを改めて深く心に刻むことが出来ました。

木村先生のように穏やかでありながら、先見の明のある経営者からはパワーを感じます。

 

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病院紹介

木村院長インタビュー前編

木村院長インタビュー後編

 

Interview Team

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 同志社女子大学嘱託講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社