No.259 横浜南共済病院 長岡章平 院長 後編:看護師が中心にいて、チーム医療が回る

インタビュー

 

前編に続き、長岡先生がいだく看護師像、看護師への期待などをお聞かせいただきました。

 

職員の家族の幸せから、患者さんをハッピーに

 

中:先生がいま、院長として大切にされているモットーをお聞かせください。

 

長岡:「職員の幸せ、職員の家族を大切に」。

これがモットーです。

どういう意味か、納得いきませんか?

 

 

中:「患者さんの」ではなく、職員と家族の幸せですか?

 

長岡:職員が幸せになってもらわないと、患者さんの幸せも実現できないですから。

患者さん中心の医療には、まず職員の幸せを。

職員の幸せは、職員の家族が幸せであってのことです。

家族が幸せであるからこそ、自分の仕事に打ち込めます。

家庭にトラブルがあったりすると、仕事に集中できません。

 

 

中:なるほど。飲み込めました。

職員の幸せにも関係するかもしれませんが、先生は看護師と会話を交わす機会はどの程度ございますか。

 

長岡:外来を担当していますし、病棟にもほぼ毎日うかがっていますので、常に会話しています。

 

 

中:500床を上回る規模の病院で院長が診療も担当されているのですか。

 

長岡:組織の上層部からは、

マネジメントに集中し経営と医療安全と人材の確保に努めてほしいと言われています。

しかしながら、医療は現場にいないとわからないことが多いと思っています。

できるだけ現場にいるように努めています。

 

 

中:工夫されながら、臨床医としての立場を今もキープされていらっしゃるのですね。

 

長岡:そういうことです。

現場にいますと看護師と接する機会は多々あります。

特に膠原病は全身疾患ですから、あらゆる診療科に患者さんがかかることもあり、

院内全体の看護師と会話することが少なくありません。

 

看護師に教えられた現場の医療

 

中:先生にとって看護師とはどのような存在ですか。

 

長岡:病院は看護師でもっていると、研修医の時から思ってきました。

なぜなら医師よりも看護師の方が実践的な知識を持っていることが多いからです。

 

 

看護師の素晴らしさを私が実感したのは研修医時代に脳外科の当直をした時のことです。

原則的には指導医とともに当直するのですが、

もう数十年も昔のことですから指導医が院内にいないこともありました。

そのような時、簡単な手術を私一人で行うこともあり、看護師に教わりながら対処したものです。

 

その当時、看護師には大変お世話になりました。

それらは机上の理論ではなく、現場で役立つノウハウでした。

 

 

中:これからの看護師はこうあってほしいといった、期待することはございますか。

 

長岡:看護師にはとても大きな期待を寄せています。

何より看護師は本当に長い時間、患者さんに接していて、患者さんやご家族のことをよく理解されています。

いま、チーム医療の推進が声高に言われますが、

情報を熟知している看護師が中心に立たなければチーム医療は進まないと感じます。

 

 

また当院のような急性期病院でも基礎疾患として慢性疾患のある患者さんが増えています。

慢性期疾患の治療方針を決める時、

本来は患者さんに十分時間をかけて治療選択肢や予後予測などを何度も説明し、

患者さんの意思決定を支えるべきですが、短時間の外来で医師がそれを行うことは現実的でありません。

それをフォローできる存在は、やはり看護師をおいて他にありません。

 

 

加えて看護師の方が我々よりも患者さんへの説明が上手だと感じます。

我々医師の説明には専門用語が混ざっていて、

自分で「これでは伝わらないだろうな」と思いながら話していることもあります。

そこへいくと、訓練を受けている認定看護師などは、横で聞いていて本当にわかりやすく説明しています。

 

 

中:そうしますと先生は、慢性疾患のケアにおける看護師の活躍の場を

もっと広げていくべきだとお考えでしょうか。

 

長岡:広げるべきだと思います。

もちろん救急を中心とした急性期医療の看護も大切ですが。

 

患者さんやスタッフとの垣根を作らない

 

中:先生のマネジメントスタイルについて伺います。

お話を伺っていて感じたのですが、先生はお一人でではなく

比較的、周囲の力を生かしながら問題解決を進めていくタイプでしょうか。

 

長岡:そうですね。

頼りになるスタッフがよく支えてくれています。

 

 

中:そういう素晴らしいスタッフに囲まれるのも、先生の人望ではないかと思います。

 

長岡:どうでしょうか。

私を見ていると不安になるのかもしれません。

ただし、人と接する時に垣根を低くしておくことは心掛けています。

スタッフに対してもそうですし、患者さんに対してもそうです。

 

 

中:先生は学生でいらした頃からずっと、おおらかなスタイルでいらっしゃるようですね。

 

長岡:そうでなければ肩が凝って仕方ありません。

マネジメントにしても基本的には現場に任せ、何かあったら責任はとると決めています。

 

 

中:そろそろ時間ですので、最後に現在のご趣味を教えていただけますか。

 

長岡:いまは特に趣味がありません。

自宅で犬とたわむれ、朝晩、散歩に行くくらいです。

仕事で宴席があって帰宅した日の散歩では、歩くにつれてアルコールが回ってきて、

足がもつれて溝にはまったりします。

すると犬のほうは「おい、どうした?」みたいな表情でこちらを振り返って見ています。

飲んだ夜の散歩は要注意です。

犬と遊ぶ以外には読書が好きで、講演で出張する際、移動中によく読みます。

 

 

中:先生の講演のお話は面白いでしょうね。

 

長岡:講演中すぐ脱線してビートルズとローリングストーンズの違いなどを話し出すものですから、

真面目な人には受けませんが。

 

中:本日は最初から最後まで楽しいインタビューでした。

ありがとうございました。

 

長岡:ありがとうございました。

 

インタビュー後記

インタビュー中、ずっと笑顔で明るくご対応いただいた長岡先生。
医師としての熱い志を、ダイレクトに表現せず、ユーモアでオブラートに包みながら表現していただいたスマートさはとても素敵だと感じました。
医療における様々な問題解決にあたられながらも、自らを見失わず、意思を貫かれる力強さは長岡先生の魅力ですね。

 

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