No.228 長野県製薬株式会社 浦沢昌徳 社長 後編:地道な広報で伝統薬を浸透させたい

インタビュー

前編に続き、浦沢社長のご経歴や町議会議員としてのご経験について語っていただきました。

よりもワクワク感

中:製薬メーカーとして重要な部門はだいたい経験されてこられ、現場を熟知した社長ということですね。

浦沢:一応、そのつもりではいます。

中:看護の領域においてはしばしばローテションで所属する診療科や部署が変わるのですが、

その変化に馴染めずに離職してしまう人もいます。

多くの経験をされてきた社長に、そのような変化を乗り越える秘訣を教えていただけますか。

浦沢:もちろん私も戸惑いがなかったわけではないのですが、

不安よりもワクワク感の方が先にたつタイプだと思います。

失敗もまた勉強ですので「何事も経験しておいて悪くないんじゃないか」という感覚です。

中:素敵な考え方ですね。

浦沢:ただ私と看護師の方々では、命の重みに対する臨場感が全く違いますので、

参考程度に聞いておいてください。

食事の大切さの訴求

中:一般社員として就職されて社長になられる段階で、

その役割を全うするために気をつけられたことはございますか。

浦沢:もちろんあります。

やはり結果の重大さが異なりますから。

一つは決断を速くすること、そして周囲のスタッフが迷わないように的確に指示することに

気をつけています。

経営面で言いますと、時代とともに御嶽山を訪れる信者さんが減り、

さらには噴火等の自然災害で登山者が減っていく中で、

当社製品の魅力を多くの方に伝えるためのブランディングの必要性を実感しています。

今、自分なりの広報クリエイティブ戦略を考えています。

中:どういった戦略でしょうか。

浦沢:ヒトは食べたものからしか身体を作れません。

食べたものを消化・吸収し、かつ細菌の吸収はブロックしなければいけません。

食べ物がしっかり咀嚼されて、きちんと胃酸によって殺菌し、

消化吸収できている間はそう簡単に病気にならない、私は原点回帰と言っています。

しかし現代人は食生活の乱れやストレスによって、これらの機能が低下してきます。

最近ではリーキーガットシンドローム、腸管壁漏洩症候群と呼ばれるような状態も増えているようです。

当社の御岳百草丸の主成分であるオウバクはキハダという木の皮のエキスなのですが、

黄色ブドウ球菌や赤痢菌、コレラ菌等に対する抗菌作用を有しており、

腸内の悪玉菌を減らすことに貢献できると考えております。

また一般に対する広報とは別に、ピロリ菌への効果も動物実験まで確認しており、

薬学会等で報告してきています。

情報開示戦略

中:本日、こちらへお伺いする途中、貴社の工場見学の案内看板を何度か見かけました。

それらも情報開示戦略の一つでしょうか。

浦沢:情報はできるだけオープンにすべきだと考えています。

製薬会社の工場は衛生管理の都合上、見学を受け付けていないことが多いのですが、

当社は積極的に受け入れています。

この地で生まれた薬がどのように作られているのか、できるだけ多くの方にご覧になっていただきたいです。

伝統薬ということで、広報に力を入れてもそれほど急速に広まるものではないですが、

地道にこのような活動を続けていきたいと思っています。

中:先ほど、長野県内での知名度は高いとおっしゃっていましたが、

他県への進出などはお考えでありませんか。

浦沢:他県での知名度はまだまだです。

これから努力しなければいけません。

また、近年、旅行や仕事で海外に出て行かれる方が増えていますが、

日本人は旅行者下痢症になりやすいと言われていますので、その方面でも使えるかもしれません。

いろいろな可能性があるのではないでしょうか。

また、これは薬剤一般について言えることですが、高齢者の割合が増え続けている状況において、

薬の用量が果たして今まで通り一般成人と同量で良いのかという疑問があります。

当社製品は薬のサイズが小さく、ご自身で服用量をある程度柔軟に調整できます。

セルフメディケーションとは本来そうあるべきですから、

その点はメリットになるのではないかと考えています。

町議会議員の経験から学んだこと

中:話題は変わりますが、町議会議員をされていた時のことをお聞かせいただけますか。

浦沢:昨年まで木曽町という隣町の町議会議員を14年ほどさせていただいておりました。

当社は副業OKですので。

中:どのような動機から立候補されたのでしょうか。

浦沢:人の幸せとは何だろうと考えていた時、自分だけ恵まれていても幸せになれない、

関わる全ての人が元気な共生の世界を目指すべきだと感じたためです。

議員を経験してみて一つ良かったと思うことは、選挙になればやはり有権者の皆さんに

「お願いします」と頭を下げなければいけないということです。

耳ざわりの良いことばっかり言っていてもだめで、本音で語り合って

「自分がこういう社会を作っていきたい」と発信する場として、

選挙や議員活動を通して、一定の評価をいただけたのかなという気持ちは少しあります。

中:ふだん、お仕事以外の時間は何をされていますか。

浦沢:本をなるべく多く読むようにしています。

あとは映画を見たり、山に登ったり、いろいろ体を動かすことは好きです。

しかし腰を痛めてしまい、最近はあまりできいませんが。

中:では最後に、看護師向けにメッセージをまとめていただけますでしょうか。

浦沢:長野県製薬の浦沢と申します。

当社の御岳百草丸のような伝統薬の存在を、多くの看護師の皆さんに知っていただきたいと思います。

キャッチフレーズは「おなか元気で毎日笑顔、家族みんなの常備薬」です。

よろしくお願いいたします。

インタビュー後記

緑あふれる自然に囲まれた場所に佇む工場の脇に、美しい川が流れています。

浦沢社長はこの美しい場所にて生まれ育ち、地元への愛情溢れるお話もお聞かせくださいました。

訪問看護師も、病院勤務の看護師でも、処方薬以外の存在を知ることは、患者さんの日常生活を知ることになる。

看護師にとって、伝統薬の役割を知ることの大切さも感じました。

浦沢社長インタビュー前編

浦沢社長インタビュー後編

Interview with Carlos & Araki