No.212 メディコムジャパン 藤原慎一 社長 後編:対人関係の原点は、人に対する興味

インタビュー

前編に続き、藤原社長のご経歴や、

ビジネスを通して学ばれた外国人と付き合い方のコツなどを語っていただきました。

留学先の仲間が起業のキーパーソンに

中:ここで少し社長ご自身のご経歴をお聞かせいただけますか。

ご出身は、こちらの神戸でしょうか。

藤原:はい。

10代のころ遊びに行くと言えば三ノ宮でした。

ただ、大学は日本を離れ、オーストラリアに留学しました。実は留学先で知り合った仲間の一人が、

当社起業に関わる重要人物です。

留学から15年後、新婚旅行の帰りに香港で再開し旧友を温めてから帰国しますと、

すぐに神戸の震災が発生しました。

心配した彼が来日した時に携えてきたのがグローブのサンプルです。

そこから事業が具体化し始めました。

中:学生時代のご留学時の出会いが、後の起業につながっていかれたのですね。

藤原:海外での生産をスタートした頃は品質が不安定で、

日本人が求めるクオリティーを満たさないものが発生し、かなり苦い思いをしました。

しかしその後、現地スタッフに「日本向けの製品は品質が大切だ」ということが理解され、

問題はなくなりました。

世界に広がる生産・営業拠点

中:生産拠点はどちらでしょうか。

藤原:本社がカナダにあり、工場はアメリカのジョージア、上海、台湾、マレーシア、フランスにあります。

その他の営業拠点も含めますと、アジアだけでも10カ国ほどに展開しています。

ここ神戸の港には毎日船が出入りしていますから、輸入販売業にはたいへん適した立地です。

中:それだけ広く展開されていますと、会議ひとつするのにも大変ですね。

藤原:アジアだけで集まる会議、全世界で集まる会議など、会議の種類もいろいろあり、なかなか大変です。

外国人との付き合い方

中:社長はビジネス上、外国人の方と接する機会が多々おありかと思いますので、

外国人との付き合い方について少しアドバイスをいただけませんか。

と言いますのも、国内の医療の現場でも在留外国人や外国人旅行者が増加しているという現状があり、

その一方で医療従事者は病院という限られた場所で仕事が完結するために、

一般のビジネス社会に比べると国際化という点でやや閉鎖的な面がありますもので。

藤原:多様性を受け入れることが第一ですね。

そして着々とコミュニケートを進めていくことが大切です。

日本人は基本的に優しいですね。

ホスピタリティも高いと思います。

ですから外国人を受け入れる土壌は十分あります。

他者との関係がスタートし、いったん受け入れてしまえば、あとはきちんと関係を維持できることも、

日本人的な良い面だと感じます。

中:少し具体的なことで、相手の方の国籍によって特徴や相性が異なることはありませんか。

藤原:それはもちろんあります。

国籍というか文化ですね。

もちろん言葉も違いますし。

例えばマレーシアとシンガポールはお隣同士ですが、経済力や文化が異なり、

マレーシアのほうがより多民族国家で、違いは大きいです。

ただ私自身はあまり相手をカテゴライズする考え方をしません。

本質的に「人に対する興味」があれば、国籍などはあまり関係なく付き合っていけるのではないでしょうか。

中:そのアプローチのされ方はたいへん参考になります。

お話を伺っていて「互いに人である」ということを原点として興味を持ち近づいていけば、

徐々に深く理解することができるだろうと感じました。

看護師を目指す人は誰も最初は「人のケアをしたい」という想いを抱いているはずです。

外国人患者さんを前にした時も、言葉がわからないという不安や浅慮な拒否感を持つのではなく、

看護師を目指した当初の自分に立ち返り、相手はケアを必要とする「人」だと認識することで、

ハードルはかなり下がるだろうと思いました。

ありがとうございました。

感染管理を通じて社会に貢献

中:この辺りで話題を少し変えまして、将来に向けて貴社の展望をお聞かせいただけますか。

藤原:私どもは感染管理を通じて社会に貢献することをモットーとしています。

それに向けて我々はさらに便利で役立つ製品を開発し、提供し続けていく所存です。

先ほど新興・再興感染症が流行するたびに当社製品がクローズアップされると申しましたが、

そういった感染症が流行するリスクは、地球上の人々の往来が活発になればなるほど高まります。

世界的な感染症パンデミックがより起きやすい状態になっていくことは避けられません。

そのリスクの低下に、当社が担うべきことがあると考えています。

やや細かな話としては今後、手術用に特化した製品の開発に力を入れる方針です。

中:おっしゃいますように、

これからは世界中の病院で感染予防のための衛生材料に対するニーズが高まるでしょうね。

医療職向けに感染予防のレクチャーのようなことをされることもありますか。

藤原:展示会でご指名いただいた場合などには病院にお伺いして、

手指消毒等の感染予防セミナーを行いますし、ワーキンググループを作り随時セミナーを開催しています。

看護師の方へ、メッセージ

中:それでは最後になりますが、

貴社製品に関連し看護師に伝えたいメッセージをまとめていただけますでしょうか。

藤原:看護師の皆さん、メディコムジャパンの藤原です。

感染管理製品を使用されていても、使い方、用法が正しくなければ、

ご自身の防御・保護が不十分になるばかりでなく、ほかの方にウイルス等が広がるリスクが高まります。

ぜひ正しい使い方を身に付けられて、使用されるよう心がけてください。

よろしくお願いします。

中:ありがとうございます。

本日は医療材料について詳しく教えていただき、勉強になりました。どうもありがとうございました。

インタビュー後記

マスク、手袋など看護師が日常的に使用する衛生材料。

一方でどのような企業が、どんな思いで衛生材料を製造、販売しているのかは知るよしもありません。

今回、メディコムジャパンの藤原社長にお話を伺う機会をいただいたことで、企業のことだけではなく

社長自身の思いやご経歴を合わせて教えていただきました。

衛生材料には、熱い思いや、多くの方々が関わっている。

医療を支えていただいている大切な仲間のことを、看護師が知る良い機会になったのではないでしょうか。

藤原社長インタビュー前編

藤原社長インタビュー後編

Interview  with Araki & Carlos