前編に引き続き、照葉の里 箕面病院の本多玲子看護部長へのインタビューをお届けいたします。
ますます発展していきますね。
本多:療養型でも、一般病院の看護師に負けない、高いプライドを持って、取組みをして行くことはとても大事だと思います。
地域連携室のスタッフと急性期病院に行き、お話させていただくと、急性期の方々の療養型への理解が薄いことをひしひし感じます。
ご自宅に帰ることはとても大事だと思いますが、患者さんが高齢の場合、介護者も高齢の場合が多く、訪問看護、訪問医療を使っても家では介護できないと相談に来られます。
現実を知っている方々は、療養型がなくなることの大変さをご理解いただけていると思います。
当院では寝たきりにならないように、食事を3食ともホールで食事をしていただいています。ベッドの方もベッドごと出てきて、食事をして頂きます。
朝と夕は看護師と介護士が少ないのですが、積極的に協力してくれますし、時間があればホールに出て、できるだけ昼間は起きていただき、ホールから見える緑豊かな景色を見て過ごして頂いています。
ご家族の方に「朝も夕もですか」といつも驚かれますが、一日中病室の中で過ごされることがないよう努めています。
看護師の一人ひとりが患者さんのことを思って行動しているということですね。
本多:お花見やクリスマス会、お誕生日会の時には、栄養管理部の方々がおやつや大きなケーキを作ってくれたり、ボランティアのコーラスや劇団の方にお願いして、年間何回か行事をしています。
病院の中にいると、季節を感じにくいので大事ですね。
本多:本来でしたら、療養型は半年ほどで退院していただくか、次に入所するところを探してくださいとなりますが、当院はここで最期まで過ごしたいとおっしゃる方はずっといていただきます。
元気になられて特養に行かれる方も、特養にすぐには行けませんので、順番を待つ間はここで過ごしてから、行っていただくという方もいらっしゃいます。また近隣の在宅の先生たちとも連携をとり、在宅からこちらにご紹介いただく方や、レスパイト入院や近隣の特養からお受けする方もいます。
地域のご要望に沿うようにしているのですね。
本多:ここは食事を委託せず、すべて手作りですので、要望によって少し変えることもできますし、職員の食事も作っています。
また、転院前の病院では食事を全く摂取しなかった方も、ここに来ると、よく食べる方もいらっしゃるので、味が美味しいのだと思い、よくPRしています。
患者さんとご家族の方が喜んでいただけるのが、一番大事です。患者さんのご家族が、少し話がしたいとおっしゃったら、時間を作ってお話をさせていただき、声をかけていただけるように、日々病棟を巡回しています。
部長室で仕事をしていることが少なく、在室時は誰でも入りやすいようにドアを開けて誰でも気軽に入れるようにしています。
また、療養型でも新人教育を行なっていて、新人を育てる環境づくりをしています。
看護補助者の方についてお聞かせください。
本多:こちらでは介護士という名前で48名の方が働いています。
うちでは61歳が定年ですが、定年を過ぎても働いてくださる方や、派遣会社から来ている方がいます。
40代前後の方が少なく、力仕事が多いので、大変ですが、その中で彼女たちにやりがいとなるように、介護福祉士の資格を取得してもらったり、認知症の勉強に行ったり、色々な事に携わることと、委員会にも介護士を入れていますので、介護士も一緒に感染の研修に行ったりしています。
趣味などはありますでしょうか。
本多:以前はゴルフをしていましたが、今は旅行に行ったり、ご飯を食べに行ったりすることが一番の楽しみです。
他の病院の部長同士で話をして、相談に乗ってもらったり、旅行に行ったりしていますね。
情報交換にもなりますね。
本多:様々な情報が共有できるので、とても助かりますし、何か自分が困った時、こういう書類が見たいというときは、みんなでいろんなことを助け合っています。
縦のつながり、横のつながりがとても大事だと思い、管理者研修に参加したことで、多くの仲間ができ、有り難いです。
本多:ここは199床の全医療療養型ですが、とても毎日忙しく仕事をしています。
新人の方も入り、教育も行なっているので、ゆっくり少しずつ技術を覚えていただければいいかと思います。
急性期で忙しい思いをして大変だったとか、もう少し患者さんと向き合いたいなど思われている方がいらしたら、ぜひ一度ためらわずに電話をください。
一緒に頑張って看護をしていきましょう。よろしくお願いします。
緑に囲まれ、目の前には川が流れ、自然豊かな環境に照葉の里箕面病院はありました。
看護部長として3年目を迎える本多看護部長は、積極的に勉強会や研修会への参加をスタッフに促し、得た知識を看護部だけではなく全部署に発表し、実践することでよりよいチーム医療へとつなげていました。
研修を研修だけで終わらせるのではなく、患者様やご家族へのサービスの向上につながるように取り組まれているのが印象的でした。
人手が少なく忙しい時間でも看護師や介護士が積極的に患者様が寝たきりにならないようベッドごとホールにお連れしお食事をしているといいます。
患者様のことを第一に考えられていらっしゃる本多看護部長の思いがスタッフの方々にも伝わっているのだと感じました。
本多看護部長、この度は素敵なお話をどうもありがとうございました。
シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎