前編に引き続き、高野紀子並木病院看護部長へのインタビューをお届けいたします。
長く続けられる病院
現在、看護師はどのくらいいらっしゃるのですか。
高野:看護職員は96名、看護補助者は51名です。
都内にお住いの方も近隣にお住いの方もいます。
看護師の方々についてお話を伺えますか。
高野:入って来る看護師の比率的には、新人というよりも急性期を経験して、少しゆっくりしたい方や子育て中看護師が多いように感じます。
当院は複合型病院で、一般病棟・療養病棟・特殊疾患病棟と4つの病棟があることも関係しているのでしょう。
入職してくださった方々は長く続けてくださっています。
看護補助者のクリニカルラダーがある
こちらの病院では、看護補助者の方はどのようなことをされていらっしゃるのですか。
高野:看護補助者の役割は、「生活環境に関する業務」「日常生活に関する業務」「診療に関わる周辺業務」の三つです。
「生活環境に関する業務」は、ベッドや周囲の環境整備や寝衣類の整理整頓などがあります。
「日常生活に関する業務」は、清拭・口腔ケアの補助や食事介助・オムツ交換・シーツ交換などがあります。
「診療に関わる周辺業務」は、処置後の器械・器具の片付けや、消耗品の請求伝票の記載などです。
こちらの病院では、看護補助者の方のクリニカルラダーがあるのですね。
高野:はい。研修も年間計画に組み込んでいます。
看護補助者は、医療チームの一員であるという自覚を持ち、チームの中でどのような役割を担うのかを理解した上で働いて貰うために必要なことだと思います。
皆さん資格は何かお持ちなのでしょうか。
高野:ヘルパーの資格を持っている方と、介護福祉士を持っている方がいらっしゃいます。
介護福祉士はこの規模の病院としては数多く配置できていると思います。
もちろん無資格の方もいらっしゃいますが、資格をとってステップアップしてくれることを期待しています。
何かサポート制度などはあるのでしょうか。
高野:看護補助者から准看護学生、看護学生、看護師という具合にステップアップできるシステムを構築してあります。
はじめに1年働いて頂く必要があるのですが、院長が准看護学校と看護学校の学校長でもある関係で、実習を当院ですることもあります。
実習でいらした学生が、将来的に入ってくることはあるのですか。
高野:あります。
来年度は2人来てくれますので、病棟が明るくなり、様々な意味で活性化してくれると嬉しいですし、今からとても楽しみです。
療養型の病棟にいらっしゃる患者さんは大学病院や急性期を脱した方が多いのですか。
高野:はい。
お住いの地域はバラバラで、地域の方も遠方から来られる方もいらっしゃいます。
医鳳会グループには他県を含め44施設、6病院あるので、そちらから転院されてくる場合もあります。
提携されている病院の方との交流とはあるのでしょうか。
高野:感染対策や退院支援に関する地域医療連携の話し合いには退院調整ナースや社会福祉士などが参加しています。
医師会の勉強会などにも私が参加する場合は、当院のスタッフも一緒に参加してもらうようにしているので、そういった繋がりはあります。
そういう機会があると、また勉強する気にもなりますね。
認定や専門看護師の資格をお持ちの方はいらっしゃいますか。
高野:認定看護師はまだ居りません。
これから皮膚・排泄ケア認定看護師の勉強に行く予定の人はいます。
今後も学びたい方に必要なサポートを病院として提供していきたいと考えています。
それ以外にも、自主的にケアマネージャーや心理士の資格、アロマの資格をとった人はかなりの数がいると思います。
前向きに学習していける環境
最後にメッセージをお願いします。
高野:当院は、複合型の在宅療養支援病院です。
新しく入職される方に対してはもちろん、計画的な研修と目標管理を導入しており、前向きに学習していける環境を整えております。
アロマセラピーを取り入れていることも当院の看護の特徴の一つです。
さらに地域の方のために、神経内科医がアロマ講習会を開いておりますし、糖尿病フットケア外来や院内でもアロマグッズの作成活動を行っています。
また看護部の教育委員会では、地域の方を対象に「並木健康くらぶ」という健康寿命の延伸をテーマにしたお話の会を継続して行っております。
地域に貢献できる病院です。
ぜひ、並木病院にお出でください。
お待ちしております。
シンカナース編集部 インタビュー後記
閑静な、見晴らしの良い場所にある並木病院。
玄関から入ると、10周年を祝う色とりどりの折鶴が迎えてくれました。
他にもスタッフの方々が思い思いに書かれた手書きの掲示物もあり、ゆったり、ほっこりとした雰囲気が流れています。
心安まる優しい看護を大切にされていることがそうしたことからも伺えました。
また、職員の方々は皆さん地域の方々との結びつきを大切にされていて、急性期病院に勝るとも劣らない勉強熱心な方々ばかりということに大変感銘を受けました。
高野看護部長、この度は大変貴重なお話をどうもありがとうございました。
並木病院に関する記事はコチラから
No.105 高野紀子様(並木病院)前編:地域の人たちの幸せのために