No. 82 山口弘子様 (名古屋掖済会病院) 後編:地域の中に看護師が入っていく からこそ、見極める力が必要

No. 82 山口弘子様 (名古屋掖済会病院) 後編:地域の中に看護師が入っていく からこそ、見極める力が必要

  • 2017年11月14日
  • インタビュー
No. 82 山口弘子様 (名古屋掖済会病院) 後編:地域の中に看護師が入っていく からこそ、見極める力が必要
No. 82 山口弘子様 (名古屋掖済会病院) 後編:地域の中に看護師が入っていく からこそ、見極める力が必要

前編に引き続き、名古屋掖済会病院の山口弘子副院長へのインタビューをお届けいたします。

 

地域の中に看護師が入っていくからこそ、見極める力が必要

 

ご自身の作りたいという看護部を、今作っている最中という形ですか。

 

山口:新病棟も立ち上がり、入院環境はきれいになって整ってきました。

あとは看護師たちが専門職としてモチベーションを高く持って働く事が出来る、やりがいを持って働く事が出来るところにしていこうと思っています。

多くの病院がすでに導入されていますが、一人の力では限界がありますので、できない事を二人で補い合って出来るパートナーシップの導入を当院でも進めています。

看護師自身が元気でなければ良い看護ができないので、お互いが助け合い休みをとれる環境を整える事など、元気に働く事が出来る組織をつくるためにもワークライフバランスのプロジェクトの活動にも力を入れ、取り組んでいます。

教育はとても重要だと考え、教育にも力を入れています。

そのための研修も充実させています。

ラダーを使った教育システムを整備して様々な経験の方が入職された場合にも対応できるようにしています。

まだ手探りの状態ですが、これからはもっと地域へと広げていく事を考えています。

今年度は、退院調整室を拡大し、一つのセクションとして、7名の看護師たちを配置する形にもしていますし、また入院について、整備できていない面があったので、入院案内センターを含めた患者支援センターのような組織を、MSWや事務の方々とチームで作っていきたいと思い少しずつ動きはじめています。

また、患者さんが病院から在宅に帰っていく中で、本当に大丈夫なのかという心配もあります。

すでに始められている病院も多いと思いますが、一緒に訪問看護師と訪問させていただく、同行訪問が出来るようになれば、退院後の実際の生活の様子を見ながら状態をお伺いすることができれば、病棟スタッフが病院で行ってきた看護の評価にもつながり、今後の看護にさらに役立てる気づきを得ることができると考えています。

家で生活する患者さんの支えになっているという実感を持つことができ、やりがいにもつながっていくと思いますし、そういった事を整えていくという意味でやりたいことは、たくさんあります。

 

看護界、もしくは看護というものが今後どうなっていくかという事は何か考えられていますか。

 

山口:病院が無くなる事はありませんので、状態が悪く病院でしっかりとみる事が必要な患者さんに対して、しっかりと広い視野で患者さん一人ひとりを考えてケアを提供できるジェネラリストの看護師や専門領域をより極めるスペシャリストを育てていく必要があります。

さらに今より地域の中に看護師が入る場面がもっともっと増えると思います。

院内では医師が主体となる側面があるので、その中で患者さんの生活面等、帰った後の事を見据えた中でケアができるのかを見ていきますが、地域の中では多くの医師が常にいるわけではないので、その中で看護師が活躍できる場面は非常に多いのではないかという事を大学病院から地域の病院に移って、より実感しています。

その中で、患者さんを見て判断する力をどれだけつけられるか、またどのようなリソースを使う事が出来るのかという点で見極める判断力が大切になると思っていますし、またコミュニケーションの面でも、色々な方と調整する事が必要になるのでそちらも重要であると考えています。

 

柔軟に物事をみる事が重要

この病院の中で、これからより強化していくと考えているポイントはありますか。

 

山口:今、当院は比較的チームワークがよく、医師を含めた職種間の垣根が比較的低く、一緒に物事を進めやすいところがあると感じています。

その強みを活かしつつ、自分たちも一緒に育っていこうと考えています。

私自身もICUで働き始めた当初、医師と話が出来ない事があり、「先生と会話ができるようになりたい」と思いました。

話をするためには勉強をしなければならないと思いましたし、勉強を進めていくにつれて、先生も話をしてくださるようになり、その中で専門的な話ができる等、多くのことを教えていただき、育てていただいた面はあったと思います。

ある先生であれば、「今日、気管内チューブ抜けそうですか、看護師さんの言うようにする」と言ってくださる事があり、もちろんその先生はご自分でもしっかりと患者さんのことは診ていましたが、自分が「今日は抜けると思います、抜管しましょう」と返すと、「あなたがそういうなら抜きましょう」と、看護師を信頼して、判断を任せていただくような事もあって、そういう経験でも育ていただきました。

当院には救急から緩和そして地域といった様々な部門があり、例えば自分は急性期をやりたいと思っていたが、実は合っていなかったとしても別の色々な所が選べるという点もまたこちらのメリットだと思っています。

色々な経験をしながら専門職として、どうキャリアアップするかを考えていく事が出来ればと思っています。

最初から決めていても、色々な経験をしなければ何があっているのかも分かりませんので、

固まらずに柔軟にみる事が出来る事が重要かと思っています。

 

看護補助者についてはどのようにお考えでしょうか。

 

山口:看護師は今後、より専門的な側面での判断が求められますが、看護師の人数は限られていますので、そのサポートしてもらう人たちとして看護補助者の方に支えてもらう事が患者さんへいいケアにつながると思います。

環境づくりもすべてを看護師だけがするのではなく一緒に手伝ってもらう中で、よりいい環境を整える事も出来ると思っています。

看護師が病棟から出ない中でも治療的な介助等をしていただくという点でも重要で、看護師免許がなければできない事に専念できるという点でも有り難い存在です。

今であれば、環境整備や食事の準備、器材の整備などの部分を中心に整えていただいていますし、また患者さんの検査や手術への搬送を看護師と一緒に行っていただいています。

一部の病棟では様々なケアの中で一緒に入っていただいているという病棟もあります。

一緒にケアのパートナーとして、動いていただく事も必要だと考えています。

特に地域包括などのステップダウンしたところの病棟であれば、看護補助者の力は、すごく大きいと感じています。

 

趣味も看護に活かす事が出来た

普段お仕事以外でされている趣味などはありますか。

 

山口:私は旅行が好きで、最近はあまり行けてはいませんが休みを取る事が出来れば、海外に行く事もあります。

長期で休みが取れない時でも温泉に行く等もありますし、日々の中であれば、ホットヨガに行ってみる事もあります。

汗を流してリフレッシュしています。

 

好きな音楽はありますか。

 

山口:コンサートが好きで、EXILEやドリカム、ゆず、最近は松田聖子のコンサートに行きました。

あの人のパワーとオーラは改めてすごいと思っていて、若い頃はそれほど好きだというわけではありませんでしたが、ずっと光っていると感じました。

 

長い間錆びずにずっと一線で、継続され続ける事は本当にすごい事です。

 

山口:彼女の若いころは、男性のファンが多かったと思うのですが、今回のコンサートに行くと女性がとても多く、私たちと同じ年代の人やもう少し若い方もいて、それだけ女性としても魅力があるのかと思いましたし、私もパワーをもらう事ができました。

 

それでは、歌を聴く事だけでなく、外にご自身が出て、新たな刺激を受ける事もよくされていますか。

 

山口:外に出る事は大好きです。

独身のころは山登りもしていてそういうサークルに入れば、様々な社会人の方がいるので、様々な人と話をしていました。

その中で「こうすれば、意外とまとめ事が出来る」、「効果的にできる」という事のヒントがあり、看護に活かす事が出来ると実感したこともあったので、日々スタッフたちへも「遊びなさい」と話しています。

新人看護師に向けて、メッセージをお願いします。

 

山口:看護は非常に楽しいものです。

色々な人との出会いがあり、その中で人間として自分たちも患者さん達との出会いによって、成長できるというやりがいがある仕事と思っています。

この病院はチームワークも非常にいいですので、そういうチームワークの中で、自分がチームの一員として、どのようにすれば頑張れるのかという事を考えていけば、やはりしっかりと自分の知識や技術を、磨きたいという思いが自然にでてきます。

「自然に成長していける」そんな病院ではないかと思っています。

急性期の救急、外科系の病棟、それから緩和、地域包括ケアという様々な病棟があります。

そのため、地域に根差すという所まで様々な選択肢も用意されています。

さらに自分がどの専門に行きたいか実際に体験しながら選ぶ事も出来るのです。

皆さん一緒に頑張りましょう。

 

シンカナース編集長インタビュー後記

山口副院長とは、一年ぶりの再会となりました。

出会った当初から、看護について真摯に語られるお人柄にとても惹かれていました。

今回は、よりじっくりとお話を伺うことができたことで、山口副院長の看護に対する情熱も感じることが出来ました。

看護師の未来に対して

「患者さんを見て判断する力や調整力」に対して言及されており、看護に求められる範囲がより広くなっていることを見据えていらっしゃるのだと感じました。

今後、看護師がより病院内にとどまらず、地域とも連携して活躍するためには、看護師自身が患者さんや地域のニーズをキャッチしなければならないことを痛感させていただきました。

山口副院長、インタビュー後も院内をご案内頂いたり、丁寧な対応をしていただき心より感謝いたします。

 

名古屋掖済会病院に関する記事はコチラから

No. 82 山口弘子様 (名古屋掖済会病院) 前編:管理職になってからも、やりたい看護を持ち続ける

山口 弘子様 (名古屋掖済会病院) 「どんな人でも助けるという精神」

病院概要

名古屋掖済会病院

 

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 同志社女子大学嘱託講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社