No.103 細田和代様(大生病院)前編:働きやすい職場づくり

インタビュー

今回は大生病院看護部長、細田和代様にインタビューさせていだきました。

細田看護部長の手腕に迫ります。

負けじと踏ん張った学生時代

看護師を目指されたきっかけをうかがってよろしいですか。

細田:子供の頃、母に「これからの社会では、女性も仕事をもって一人で自立できるようにならなきゃいけない」と言われていたのがきっかけで、中学生の頃には看護師になろうと決めていました。

高校は普通の進学校に進み、情報を集めて、看護学校は自分で決めました。

埼玉県の学校でしたので、高校卒業後に長野県の実家を離れて、あとはもうずっと埼玉におります。

学生時代の思い出をお聞かせいただけますか.

細田:とても厳しい学校で、何かあるとすぐに「あなたには看護師は向かないからやめなさい」と言われることも多く辛かったです。

でも悔しかったので「負けるものか」と、その3年間でたくましく育ったと思います。

同じ学校の卒業生が何人か当院に入職してきますが、後輩たちもみんなとても芯が強いです。

看護学校の先生は怖い面もありましたけれども、身だしなみなどが本当にお手本になる先生もいらっしゃいました。

心に残っているエピソードをお聞かせいただけますか。

細田:卒業後は、整形外科と口腔外科の混合の病棟に配属されました。

患者さんも若い方が多かったのですが、「お誕生日おめでとう」と花束をいただいたり、年末年始の夜勤をしたときに、患者さんが「新年おめでとう」と声をかけてくださったりしました。

そうした、看護師として、人として患者さん方と関わることができたことが、今でも楽しい思い出です。

人を責めるのではなく、事実に対して対処する

細田:新人時代は失敗もたくさんしましたが、職場の先輩や上司は私を責めることなく、後の処理をしてくださいました。

その姿を見て、尚更、間違いには気を付けなければいけないと痛感しました。

そうした経験があるので、やはり失敗した人を責めるのではなく、失敗した事実に対してなんとかしていかなければならないという思いを今でも大切にしています。

命にかかわるお仕事ですから、緊張しすぎてしまうスタッフの方もいらっしゃると思いますが、部長さんがそういうふうに考えていらっしゃると、みなさん働きやすいと思います。

憧れの看護師

印象に残っている先輩などはいらっしゃいますか。

細田:私が最初に配属された時、厳しいけれど、バリバリ仕事ができてかっこいい先輩と、やることはきちんとできていて、とても優しい先輩がいらっしゃいました。

そのお二人が私のロールモデルです。

ああいうふうになりたいという憧れであり、お手本でした。

人間関係などでつらい思いをすることもありましたし、時間外の勉強会などで自分の時間なんて全然取れないような新人時代でしたが、「ああなりたい」という憧れは、やはり大きく、頑張るモチベーションになりました。

整形外科には、希望されて入られたのですか。

細田:そうです。

学生で実習に行ったときに、その二人にとても憧れて「そこに行きたい」と希望しました。

まだ仕事も環境も十分にわからない実習中に、接してくれた看護師の姿は、自分の将来の職場を考えるうえで大きな要素でした。

どのようなきっかけでこちらの病院にいらしたのでしょうか。

細田:実習で行った大学病院のほうで5年間勤務して、その頃には家庭をもつということも考えていましたので、当時から託児所のあったこちらの病院に移ってきました。

今でこそワークライフバランスが広く唱えられて、託児所付きの職場も増えていますが、当時は子どもを預かってもらえるところがなかなかありませんでしたので、とても貴重だったのです。

託児所を利用されて働いている方は多いのでしょうか。

細田:託児所には、現在は50人以上登録されていると思います。

基本は3歳までのお子さんの利用です。

小学校3年生を修了するまでの臨時利用というのもあって、夜勤や休日出勤の時には、少し上の学年のお子さまも利用しています。

24時間365日体制ですので、本当に安心して預けて働ける環境があると思います。

そうした環境があるためか、平均勤続年数は8年以上となっています。

産休も育休もしっかり取って、出てきたら短縮勤務も使ってずっと働いているという方も多く、2世代3世代にわたって当院で働いてくださっている職員もいます。

確実な手技と優しい気持ちをもって看護を

看護部長としてどのようなことに取り組まれていらっしゃいましたか。

細田:やはり人材育成と、働きやすい職場づくりを考えてきました。

私自身、託児所があったからこそ仕事を続けてこられましたし、そこはこの病院の良いところだと思います。

今働いている職員が働きやすく、長く働けるように勤務時間や業務、配置を調整しています。

そして、新しく入職された方に対して、3カ月・6カ月・1年と定期的に面談を実施しています。

あとは、自分自身がやりたい看護、やりたい仕事、患者さんにしてあげたいケアを実践してもらうためには、やはり教育がとても大事だと考えます。

確実な手技がなければ優しい気持ちだけあっても看護の実践はできません。

そうした考えに基づいて職員教育・人材育成に力を入れてきたことが評価され、昨年5月には県知事表彰を受けることができました。

病院の規模が大きくなったことで職員の特徴にも幅が出てきましたので、これからも改善できることから取り組んで行こうと思います。

信頼される看護・介護の提供

看護部の理念についてお話しいただけますでしょうか。

細田:大生病院の理念は「信頼と愛とで築く地域医療」となっていますので、看護部の理念としては「信頼される看護・介護の提供」としています。

その信頼される看護・介護を提供するために、看護部の目標として「相手の立場に立って考え、思いやりの心を持って看護・介護を実践する」ことと、「各人が知識・技術の研鑚に努めて、看護・介護の質の向上を図る」という二つの目標を掲げています。

看護師の成長には何が必要でしょうか。

細田:そこが一番難しいところだと思います。

理念や目標にも「思いやりの心」「相手の立場に立ち」ということをあげていますが、いろいろな人がいて、決してみんなが特別な人ではなく、それぞれ自分の考え方を持ってやっているという中で、その調整をどういうふうにしていくかが重要です。

自分の意見を持たず、ただ流されているだけの人は、優しくても決していい看護はできないと思います。

いろいろな職員がおりますし、高齢の患者さんも多く、立場や年齢の違いから意見のぶつかり合いは常に起こり得る事です。

意見がぶつかったとしても、しっかり自分の主張を持って「これが私のやりたい看護だ」とか「ここが間違っているのでは」と発言できることが看護師には絶対に必要で、お互いに言うべき時は言い合えて、人の話もちゃんと聞くことできる関係を築いていくために調整していく力が求められるのです。

どんな人であっても、みんなに「自分の目的を持ってきちんとした仕事をしてもらいたい」「やりがいのある仕事をしてもらいたい」と思います。

そのためには、自分の思うようにはいかないことも理解したうえで、協力し合えるような職場になってほしいと願っています。

後編へ続く

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