No.102 永吉たか子様(聖ヨゼフ病院)前編:環境を整えることの大切さを学んだ新人時代

インタビュー

今回は聖ヨゼフ病院看護部長、永吉たか子様にインタビューさせていだきました。

永吉看護部長の手腕に迫ります。

自然と看護の道へ

看護師を目指されたきっかけを教えていただけますか。

永吉:小さい頃から「何が何でも看護師になりたい」という思いがあった訳ではありませんでした。

ですが、家族が病院にお世話になることがありましたので、自然と医療の仕事に就くことを考えていたのだと思います。

ですから、衛生看護科のある高校に入学し、看護の道を歩み始めました。

夢中だった学生時代

学生時代はどのように過ごされていましたか。

永吉:高校に入学した時から同じ市内ですが、一人暮らしを始めました。

学生生活を振り返ると、初めてのことが多かったですから大変だったと思います。

1年生の終わり頃から見学実習が始まり、2年生の1年間はほぼ実習でした。

普通の高校と異なり、看護師という道の入口に立つ学校でしたので、同じ志を持つ人同士の仲間意識は強かったと思います。

やはり、学生時代の一番の思い出は同級生と遊んだことですし、みんなとワイワイ、ガヤガヤと勉強するのもとても楽しかったです。

高校の衛生看護科を卒業されたあとは就職をされたのでしょうか。

永吉:卒業後は仙台の病院に就職したのですが、「何かが違う」「もう少しがんばらなければいけない」と感じ、正看護師の免許を取るために看護専門学校を受験しました。

働きながら学べるコースでしたので、病院で夜勤をしながら学校に行く生活を送っていました。

夜勤明けで学校の支度をしているうちにウトウトしてしまうこともありましたが、楽しく過ごしていました。

仕事に勉強に、兎に角夢中だったのだと思います。

ナイチンゲールが語っていたことの大切さ

新人看護師として実際に現場に出た時はどのように感じられましたか。

永吉:初めて配属されたのは整形外科と泌尿器科と混合病棟でした。

やること全てが新鮮で楽しかったです。

人によって教え方はそれぞれですが、先輩看護師の言っておられることを「どういうことかな」「どういう意味かな」と考えることが好きで、楽しみながら学んでいたと思います。

掃除や片付けなど、今は看護補助者の方々がやってくれているお仕事も、当時は新人の私達がやっていました。

膿盆をピカピカにすると気持ちがよく仕事ができるということやベッド周りをきれいにすることの大切さなど、150年以上も前にナイチンゲールが言っていたことの正しさを感じました。

今は、環境を整えることの大切さを忘れがちで日々を過ごしている人が多いのかもしれません。

確かに今の医療の環境はとても多忙です。

でも、「目の前にいる患者さんはどうしたら気持ち良く過ごせるか」と考える時間を持てるように医療者の環境を整えることは絶対に必要だと思います。

感銘を受けた在宅医療

思い出に残っている患者さんはいらっしゃいますか。

永吉:亡くなる前に「ありがとう」と「出会えてよかった」と言ってくださった方々のことは印象に残っています。

今は病院に入院し治療をするのが一般的ですが、当時は医師と看護師が往診をしており、最期に立ち会うこともありました。

今では在宅医療と名前が付いていますが、昔は家族の誰かが病気になると一家総出で看病をするのが普通のことでしたが、懸命に看病されているご家族の姿に感銘を受けました。

今までの看護師人生で患者さんやご家族、様々な職種の方々とご縁がありましたが、出会った全ての方に感謝しています。

「誰かに守られている」という安心感

リーダーや主任といった役職に就かれたのはいつ頃でしょうか。

永吉:30歳になる前に主任になりました。

初めて主任になられた時の気持ちはいかがでしたか。

永吉:「きちんとしなきゃ」「しっかりしなきゃ」と肩に力が入っていたと思います。

ですが、私の好奇心旺盛な性格と、支えてくださる沢山の方々のお陰で安心もできていたと感じます。

まずはやってみよう、と考えていました。

すてきな方々と一緒にお仕事をされてきたのですね。

永吉:出会った方々はみなさんとても温かかったです。

それからずっと40年以上、「誰かに守られている感」があります。

スタッフを含め、周りの方々に支えられていることは私の自慢です。

だからでしょうか。

新しい看護師長たちが必死になっている姿を見ると初めて役職に就いた時の自分を見ているような気がしてついつい「頑張れ」と応援してしまいます。

聖ヨゼフ病院にはいつ頃いらっしゃったのですか。

永吉:約2年前です。

前任の看護部長が退職される際に知人を通してお話をいただきました。

ラウンドに行くとみんなニコニコと笑顔で挨拶をしてくれる病院です。

「異動が当たり前」になる環境づくり

新しい病棟について伺えますか。

永吉:当院は70余年を迎え、新棟ができる予定です。

現在の病棟の形はとても特徴的で馴染み深いですが、新病棟に皆を送り出すことをとても楽しみにしています。

新病棟の開設に合わせて、新しい人たちも入ってきます。

それまでに現在働いている職員たちには環境の変化へ柔軟に対応する力を付けて欲しいので、「異動をすることは当たり前なこと」と思える環境を作っていこうとしています。

みなさん異動があるかもしれないと覚悟されていらっしゃるのですね。

永吉:そうですね。

しかし、異動をしたくないと思うスタッフももちろんいるので、その「環境作り」は大変です。

新しい病棟ではどうしても既卒新卒、いまの職員と新しい職員が力を合わせて第一歩を踏み出してもらうことになります。

異動や変化を前向きに捉えられる風土を作っていけるように力を入れています。

聖テレジア会には4つの施設がありますが、施設間の交流はございますか。

永吉:はい、4施設の部長が集まって教育研修を企画しています。

最近では家庭科実習のように、予算と材料を決めてみんなで料理をする課外研修を行いました。

病棟で働いている時とはまた違った姿を皆さん見せてくれるので、とても楽しいです。

とてもユニークですが、楽しそうですね。

4施設それぞれ特徴がありますが、採用は施設ごとにされているのでしょうか。

永吉:入職式は法人全体で行いますが、採用はそれぞれの施設で行っています。

聖ヨゼフ病院には一般病棟、療養型病棟、地域包括ケア病棟がありますが、回復期の看護に興味のある方は聖テレジア病院、障害を持ちながら成長していく子供の看護に興味がある方は小さき花の園へ就職されます。

施設間での異動は可能なのでしょうか。

永吉:2年前までは行なっていなかった様ですが、今は数名が異動しております。

もっと人事交流を増やす方針ですので、これからは施設間の異動ももっとスムーズになるかもしれません。

後編へ続く

聖ヨゼフ病院に関する記事はコチラから

No.102 永吉たか子様(聖ヨゼフ病院)後編:スタッフは全員、私の宝物

病院紹介

聖ヨゼフ病院