No.248 伊藤病院 伊藤公一 院長 前編:甲状腺専門病院としての自負と責任

インタビュー

国内では甲状腺疾患の病院として、まずその名前が挙がる東京・表参道の伊藤病院

その高い専門性は長年評価されてきています。

そこで三代目の現院長である伊藤公一先生に、病院の特徴や歴史をお話しいただきました。

甲状腺専門に82年の歴史

中:今回は伊藤病院、病院長の伊藤公一先生にお話を伺います。

先生どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤:伊藤でございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

中:貴院は甲状腺疾患専門病院として広く知られていますが、改めて歴史や特徴を挙げていただけますか。

伊藤:当院は昭和12年創業で、今年82年を迎える個人病院です。

私の祖父が東京の表参道に甲状腺疾患専門の病院として開業しました。

このように、そもそもの目標が甲状腺専門であり、踏襲してきたことが我々の最大のプライドです。

現在では甲状腺疾患についてはほぼ100%、当院で診療が完結できます。

そして当院には医師に限らず看護師、臨床検査技師、そして事務職員も、常に甲状腺領域の最新情報・技術を

追求する旺盛な精神があり、院内全体での勉強会を繰り返し行い、多くの論文発表や学会報告によって、

その知見を内外に発信しています。

なお、東京だけにとどまらず、15年前に名古屋に、昨年には札幌にも分院として

甲状腺専門施設を開設しています。

甲状腺専門病院の看護師

中:甲状腺疾患に特化されていることによって、看護師スタッフの採用にも、

一般病院とは何か異なる特徴がおありでしょうか。

伊藤:専門領域が極めて明確ですので、新卒者が入職することまずありません。

総合病院で経験を積んだうえで、当院への転職を図る看護師が圧倒的です。

中:看護スタッフは何人ぐらいでしょうか。

伊藤:60床に対し、看護師は93名です。

60床という数は病院としては多くありませんが、7:1の看護体制を敷いています。

また7床をアイソトープ内照射療法専用とし、

重症のバセドウ病や甲状腺がんの遠隔転移例などの治療にあてています。

実際に国内のバセドウ病に対する入院下放射線治療の約半数を私どもが担っています。

甲状腺と副甲状腺の手術を年間2,000件行い、平均在院日数が1週間です。

いま、7:1看護の算定要件が厳格化してきていますが、当分、

十分クリアできる医療を提供していけると思います。

中:外来の診察室も多いですね。

伊藤:外来患者数は1日平均1,400名で、土曜日は2,000人を超すこともあります。

15人の医師が15部屋を使い同時に診察しています。

近年の医療進歩により、甲状腺領域では以前なら入院が必要だった患者さんが

外来で管理・治療できるようになってきました。

表参道という立地と外国人患者さんの診療

中:甲状腺専門ということ以外に、表参道という立地も貴院の特徴かと思います。

場所柄、外国人の患者さんも多いのではないでしょうか。

伊藤:非常に多くいらっしゃいます。

そこで国際診療にも積極的に取り組み、医療通訳として外国人職員も複数勤務しています。

10年ほど前に国土交通省観光局の音頭で医療観光のインバウンドの委員会が立ち上がり、

私も委員として参画するようになって気づいたのですが、東京という都市には我々が考えている以上に、

言葉の壁のために受療行動を制限されている方が大勢いらっしゃいます。

中:来年のオリンピック・パラリンピックを控え、医療の国際化はさらに重要なテーマになりそうですね。

伊藤:当院のある渋谷区はオリンピックタウンです。

その渋谷区内の病院として、果たすべき役割を確実に履行すべく気持ちを新たにしております。

女性医療スタッフの働き方改革

中:少し話を変えまして、先生のご経歴についてお聞かせいただきます。

まず、医師になられた経緯ですが、これはやはり冒頭にお話しいただいた通り、

お祖父様、お父様の姿をみて育ったことが大きいのでしょうか。

伊藤:その通りです。

医師になることに何の迷いもありませんでした。

医者の家系に生まれたことも、医者になったことも後悔したことはございません。

中:早い時点から、貴院の将来を担うことを意識されていらっしゃったのでしょうか。

伊藤:家業を継承することを強く意識していました。

北里大学を卒業後、東京女子医大の内分泌外科という甲状腺や副腎を専門とする診療科に入局しました。

つまり、最初から守備範囲を狭く絞り込んだわけです。

その後、東大医科学研究所に国内留学をしたり、シカゴ大学の内分泌外科に留学したりしました。

また、外科医として甲状腺領域以外も一定水準以上は身につけておく必要を感じ、

消化器専門病院に勤務していた時期もあります。

結局、トータルで10年は女子医大の内分泌外科に所属していました。

女子医大は当然ですが、上司も部下も同僚も女性が多く、女性医療従事者のライフワークを横目で見ながら、

いつもその大変さを感じていました。

今、医師の働き方改革の議論の中で、女性医師のキャリア継続がテーマになることが多いですが、

私自身は女子医大での経験が長かったこともあり、

その強みを生かしてマネジメントできているのではないかと自負しています。

看護師は医師以上に女性が多い職種ですから、

女性のライフイベントを助け合いながら働いていただける職場環境が大切ではないかと思っております。

後編に続く

Interview with Carlos Nakada