明るみに出た不確かな情報提供
先日ネットを賑わした医療・健康情報サイト「WELQ」の非公開化。みなさんはこのサイトをご存知でしょうか?大手企業DeNAが運営しており、閲覧した経験をお持ちの方も多いと思います。「風邪」「肩こり」「腰痛」といった身近な医療・健康情報についてGoogle検索するともれなく「WELQ」の記事が上位に表示されます。その結果多くの人がその内容を目にし、中にはそこで提案された対策を実践、もしくは広告商品を購入した人もいるでしょう。ところが、ここに掲載された情報は、医療とは無縁の数多くのライターの手によってまとめられていたことが明らかになったのです。内容の信頼性・正確性に欠けるとして、DeNAは記事を全面非公開としました。今後は医師等による監修体制を整えるとしています。どのようにして「WELQ」が成長していったのかは他の多くのサイトが詳細に語っているので譲るとして、ここではメディアリテラシーについてみなさんと考えたいと思います。
あなたのリテラシー能力は?
メディアリテラシーとは、世の中の情報から信頼できるものを収集し、それらを理解した上で活用する能力のことをいいます。医療・健康情報におけるメディアリテラシーは「ヘルスリテラシー」と呼ばれ、しばしば治療や疾病対策の意思決定をサポートするという重要な役割を担っています。
IT化が進み、看護学生や看護師はもちろん、患者さんや家族等誰もが疾患や薬剤について、教科書や参考書だけでなくネット検索をして調べまとめることが「日常」となりました。しかしその情報の出処を尋ねると、個人のブログだったり、誰が書いたのかわからないサイトだったり、その信憑性を疑うものである場合があります。提出されたレポートの参考文献や引用文献がそのようなものであったり、入院してきた患者さんがネットの情報に翻弄されていたり、という経験を筆者は持っています。そこにリテラシーは存在するのでしょうか。拾い集めた情報を積み上げて処理しきれなくなっていないでしょうか。日々の生活や授業の中でリテラシーについて学ぶ機会は必ずしも多いとは言えません。だからこそ得られた情報をすんなり咀嚼してしまうのではなく、本当にそれが正しいのか注視しながら扱う、その位慎重になった方が賢明でしょう。医療・健康情報は時に私たちの命をも左右することになりかねません。知り得た情報が「参考」にはなっても「信頼」し得るものか、その判断能力つまりリテラシーを情報を活用する私たちも高めていくことが必要です。
正しい情報で3Aな看護を
世の中にあふれかえっている様々な情報。その中からいかにして正確な情報を拾えるか、そしてそれらを注視しながら適切に扱えるか。今回の「WELQ」の非公開化をきっかけに、情報提供する側の体制強化はもちろん、ユーザー側の意識の高まりが、メディアリテラシー・ヘルスリテラシーの改善へとつながっていくと願いたいものです。日々看護や医療に関する情報にアンテナをめぐらせている私たち看護師も、これまでの情報収集方法を見直してみるきっかけになるのではないでしょうか。それが3A(安全、安心、明るい)な看護実践に発展していくことを信じて。