誰もが一度は憧れる?!離島で看護職として働くために必要なこと

コラム

「離島やリゾートで働きたい!」そんな希望を持ったことがある人はどのくらいいるでしょうか?人がいるところに看護あり、保健あり、お産あり。縁あって人口300人の東京都の離島「御蔵島(みくらじま)」で3年間保健師として勤務した私が感じた「離島で看護職として働くために必要なこと」4つをお伝えしましょう。

 1.高いコミュニケーション能力 

離島に限らず、看護職の中でも保健師はその仕事柄医療職以外の人と関わることが多い職業です。また、離島の特徴として、出張診療でやってくる医療チーム、近隣の島や本土の保健医療職等様々な職種の人たちが順次島外から訪れ、島の保健医療を支えてくれています。彼らに情報提供を行ったり情報共有をしたりすることも多いので、短時間で関係性を築き島の保健医療の改善を図っていくことが必要です。

また、島民のニーズを的確にキャッチするために、細やかなコミュニケーションが必要になることもあります。島を歩けば島民全員に会えることは他の自治体では味わえない醍醐味です。

2.フットワークと体力 

小さくて人口が少ない離島の場合、島全体で保健師が1人であることも少なくありません。「母子保健に1人配置」ということではなく、その島全体で1人の配置なので、すべての事業が1人の肩にのしかかります。それは想像以上に心理的・体力的に大きな負担となります。誰かに聞きに行くにもそこは島という環境なので難しく、1人で解決しなければならないことも多くあります。電話で関係機関に相談したり、何かしら解決の糸口を見つけようとしたり、資源が少ないなりにできることがないかを考え行動できることが求められます。

3.柔軟な思考力 

人口10万人の街と人口300人の島を同じくくりで考えることが難しいので、一般論をもとにどうしたらそれが島にフィットするのかを考え、知恵を絞る必要があります。「こうでなきゃ!」といった固定観念や「あそこの区ではこうやっていたからここでもそれを採用しよう」といった考え方ではすぐに仕事が行き詰まってしまいます。柔らかい脳みそを持ってたくさんのことを吸収できる、変化を受け入れられる能力が必要です。

4.忍耐力 

何か問題が起こった時、本土にいればすぐに関係機関等に行って相談できることが「当たり前」でしたが、島では本土に移動するだけで一大イベントです。本土までの距離は200km。船だと8時間、ヘリコプター&飛行機だと2時間、気軽に相談に行ける距離ではありません。そのため3ヶ月先の巡回診療や10ヶ月先の相談会まで待ったり、相談ごとの解決自体を諦めてしまったり、といった状況に陥ります。すぐに解決できるような提案ができないことが保健師として歯がゆく感じることも少なくありません。

 ↑住民の大切な移動手段の1つ、ヘリコプター。9席の座席を求めて時には争奪戦が起こることも。

離島での具体的な保健師の仕事についてはまた今後お話していきたいと思います。