精神科の看護師は救命処置が弱い?
私が精神科に来たばかりの頃に違和感を感じたことがありました。
それは、心肺停止の患者さんに心肺蘇生を施していた時のことです。
胸骨圧迫をしながら「何か少ないぞ」と感じたのです。
何が少なかったか?
それは看護師の数だった。
医者含めたった3名だったのです。
病棟にはもっと看護師がいたはずなのにここに居るのは、「これだけ!?」と思ったのです。
心肺蘇生は、通常沢山の人手が必要なのに3名って絶対おかしい。
後で分かったことですが、心肺蘇生をしていることを分かってて看護師がこなかった理由は「心肺蘇生に自信がなかった」ということでした。
餅は餅屋と言いますが、精神科は、救命に弱いのは仕方ないとは思いつつ、精神科単科の民間病院とは言え医療機関という括りで言えば同じ医療機関。
何科であろうと診療科で生死が別れてしまうのは絶対おかしい。
私は、この現状を許容することが出来なかった。
現状を何とか変えたい!そう強く思ったのです。
自信がなければ、自信を持たせればいい
当時、生意気盛りの私は、「自信がなければ自信を持たせればいい」と考えた。
研修を担当する師長へ「一次救命処置の研修をやらせて下さい」「準備から全てやります」とお願いした。
担当師長を始め周囲は、また面倒なことを言い始めたと思ったに違いない。
しかし、生意気盛りの私は、うまくいく自信しかなかった。
研修会は同志の3名の看護師で開催された。
初めての研修会は、胸骨圧迫すら満足に出来る人はロクにいなかった。
そんな状態で始まった一次救命処置の研修会でした。
あれから、今、10年が経とうとしています。
どう変わったか。
研修会を運営するインストラクターは10名を超え、年4回の研修会を定期開催しています。
系列病院へ出向いて研修会を開催するようにもなりました。
その病院でも単独開催に向けてインストラクターの養成を行うまでになっています。
やれば出来るようになる
蘇生の現場は、どうなったか。
継続的なトレーニングで飛躍的に蘇生の質は上がりました。
「初めからうまく出来る人はどこにもいません」しかし、「やり続けていて下手なままで居続けられる人もいません」。
蘇生も訓練を定期的に受けていれば、自信もつくし出来るようになるのです。
現在は、救急コールも導入されて、電話一本で病院中から医師、看護師、看護補助者を始め事務員、調理スタッフまでもが集まります。
蘇生の質も上がりチーム蘇生が十分にできる病院になりました。
文句を言ってても何も変わらない。落胆してても明るい未来はない。
「小さな事でもいいから、やれることから始める」そして、「継続する」。
何かを変えるには、情熱と実行力に加え多少の生意気さ。これが重要なのです。
今後の目標は、精神科病院で日本一救命処置に強い病院にしたい。
そう考えています。
今日の言葉
成功を手にした人たちは何が違うのかというと、
「行動を起こしている」ということです。
問題は、やるかやらないかなんです。
〜秋元康〜
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