No. 62 日越 恵美子様 (黒沢病院) 後編「いい看護をしているからこそ、誇りを持つ」

インタビュー

前編に引き続き、黒沢病院の日越恵美子看護部部長へのインタビューをお届けいたします。

「スタッフとコミュニケーションをとる事がアットホームな職場につながる」

美心会グループや、この黒沢病院の魅力みたいなものを教えていただけますか?

日越:美心会は常に発展を続けています。

私が再入職した平成21年にメディカルフィットネスを併設した外来・人間ドック棟「ヘルスパーククリニック」、平成22年にはサービス付高齢者住宅「ラ・ヴィオラ中居」、平成26年には脳卒中センターを併設した新「黒沢病院」を開設しています。

当法人には多くの施設や機能があるので、新人看護師もその人に合った働き場所を探していくことができます。

この方法で成功している人がたくさんいます。

様々なニーズに合わせた医療施設としてずっと進化をし続けているのですね。

日越:ずっと進化し続けている所が美心会の凄さと思います。

新病院開設後も、翌年の平成27年に介護保険老人施設「老健くろさわ」を開設、平成28年には、関連会社による生活支援サービス事業(ベンリーくろさわ)にも進出いたしました。

「1人暮らしの人たちが電球換えられなくなったら困るだろう。

そういう方のために生活支援サービスをおこなう」という理事長の思い、発想は凄いと思います。

またハード面だけでなく、人間関係の良さも当法人の大きな魅力です。

本当にアットホームだとよく言われます。

職員数は法人全体で700人超、この大人数にも関わらず人間関係が良いと言われるのは本当に素晴らしいと思います。

先日、看護師を対象にアンケートをおこなったところ、各人がそれぞれ自分たちの病棟が一番良いと自負していました。

また、退職後にもう一度美心会で働きたいと戻ってくる看護師もいます。

そういう人をもう一度病院で暖かく迎え入れる風土があり、それが職場の原動力になっています。

働いている病院を職員が好きになるような、ポイントみたいなものはありますか。

日越:年齢、性別、職種、役職を超えて職員の仲が良いことが挙げられます。

これは、職員参加型のさまざまな行事やイベントの効果が大きいと思います。

例えば、毎年6月恒例の職員旅行では、大型バス3台をチャーターし、1泊2日の国内ツアーを行っています。

このイベントには毎年理事長本人も参加し、自ら会を盛り上げてくれます。

とにかく「おはようございます」とあいさつしてバスに乗った瞬間からもうお酒ですから(笑)。

理事長の「よし、今日は遊ぶぞ!」という掛け声でみんな乾杯をします。

日頃仕事上では厳しくても、オフのときはみんなと同じ目線で一緒に楽しむ。

こうした風土も私たちのチームワークや結束力に大きな役割を果たしていると思います。

明確なリーダーがいるのですね。

例えば部長の立場ですと、そのサポートはしやすいとなることはありますか。

日越:看護部はやはり一番の大所帯ですので、いろいろ目立ちます。

悪い部分もクローズアップされやすいですね。

しかしその中で、各セッションの師長たちが上手くまとめてくれています。

私が看護部長を務められるのも、各師長が上手くまとめているからであり、私自身が皆に育ててもらっています。

師長たちは30~40代の若い娘たちなので、色々な事を言ってきます。

面と向かって言ってくることに私もしっかりと答える。

まるで娘と母のような関係です。

部長が管理職の方やスタッフの方と直接コミュニケーションを取る事はありますか。

日越:大きな病院では看護部長室は入りにくいと伺いましたが、当院は敷居が低いようで、「いいですか?ちょっと話聞いてもらえますか?」というような形で、まるでよろず相談所のような状態です。

教育担当師長も同じ部屋にいますので、今は新人が悩み相談に訪れます。

後は、院内ラウンド時にスタッフ達に直接自分から声をかけるよう心掛けています。

そういう場所が1つあるだけで、本当に心が落ち着きますし、助けてくれるところがあることは看護師には重要です。

日越:自分も人と話すことで気持ちが楽になった経験が沢山あります。

少しでも多くのスタッフとコミュニケーションを図っていきたいと思っています。

「自分から学びたいものは伸ばしていく」

看護師が病棟を好きという所にも理由がつながると思うのですが、加えて、こちらの教育計画やプログラムはどのようなものがありますか。

日越:平成26年度から、ラダーシステムを導入し、フレッシュ・レベルⅠ~Ⅳの研修プログラムを実践し評価しています。

平成28年度よりeラーニングを導入し看護師だけでなく、院内集合研修など全体教育に活用しています。

去年より私の念願だった教育担当師長ができ徐々に看護師教育が充実してきました。

新人教育は、入職後2週間のプログラムで集合研修をしています。

シミュレーターを使用しての実技研修や他部署の部長や薬剤師・放射線技師からの教育もあります。

その後は1か月に1回、新人フォローアップ研修や2年目のフォローアップ研修等も定期的に実施しています。

当院の理事長による「学びたい者に学ばせる」という考えも大きいですね。

毎月の院内研修その他にも多数の研修会が企画され多数の学ぶ機会が与えられています。

また院外研修も積極的に行かせていただいています。

認定看護師の養成研修制度もあります。

当院では、3名の認定看護師が活躍しています。

訪問看護・集中ケア看護、そしてほやほやの認知症看護の認定看護師です。

群馬では初めて高崎健康福祉大学で認知症看護の認定看護師養成研修があり第一期生として卒業し、先日合格しました。

今後の活躍を大いに期待しています。

話は変わりますが、看護補助者についてお伺います。こちらの病院にはいらっしゃいますか?

日越:25名の看護助手が勤務しています。

新しい取り組みとして平成27年より、看護大学生を「ナースアシスタント」としても採用しています。

学生さんにアルバイトの有無を質問すると居酒屋やコンビニで働いている人が多数でした。

大学生のうちから現場の看護師や患者さんと密に接することができ、看護師の仕事を理解する上でよい機会となっていると好評です。

看護補助者の役割というようなものはどのようなものになっていますか?

日越:環境整備、食事介助、清潔ケア、排泄介助、寝具交換、メッセンジャー業務など、患者さんの傍らで積極的に働いています。

看護補助者たちがいなければ看護の現場は成り立ちません。

大切な一員です。

今後もやはり看護師と看護補助者の協働は続けて、より拡大するという方向ですか。

日越:今後は夜勤もできる人材を採用していきたいと考えています。

看護補助者は介護初任者研修を受講することを目標としており、さらにステップアップし介護福祉士の資格取得者もおります。

また、看護補助者として働く中で、看護師になりたいと看護学校に進む者もおります。

現在、3名の看護学生がいます。

皆、社会人経験者であり子育てをしながら学んでいます。

病院としては正看護師資格取得も薦めています。

「気持ちを落ち着けることも重要」

趣味をお伺いしてもよろしいですか。

日越:御朱印帳をもって神社仏閣巡りをしています。

一番印象的な場所は伊勢神宮ですね。

群馬の榛名神社もパワースポットで、すごい所です。

神社に行かれますと、気持ちが休まる等、好きなポイントはありますか。

日越:写経ですね。

すごく心が落ち着きます。

書道を小学校1年生から高校生まで習っていたこともあり、墨のにおいがすごく好きで、摺ると落ち着きます。

家でも時々写経を書いています。

他の事の御趣味はありますか。

日越:お掃除やガーデニングなどの素朴な生活に潤いを感じます。

あとは、お料理です。

お料理教室に通うことに憧れますが、なかなか行けないです。

得意な料理は餃子で、友人からもリクエストが絶えないほど評判です。

「いい看護をしているからこそ、誇りを持つ」

看護の楽しさとか仕事についてお話をお聞かせいただけませんか。

日越:患者さんが元気になってお帰りになる。

患者さんから感謝の言葉やお気持ちをいただけることは本当にありがたく、嬉しいことです。

私が経験してきた中では、やはり元気に退院される方たちばかりではありません。

お亡くなりになる方も多く、訪問看護で何人もの方の看取りもおこないました。

以前、勤務していたある病院では、「この病院に来るとみんな死んじゃうと噂されています。

みんな必死で看護しているのにこんなこと言われるなんて」と看護師がつぶやいたことがありました。

確かに看取りの多い病院でした。

そんな中で、「あなたたちに会えてよかった」「皆さんに看護して貰えて本当にお父さんは幸せ」とご家族様から言っていただいたことがあります。

その時は本当に感激し涙が流れました。

私たちは当たり前のことしかしていませんが、こんな風に感謝していただけるなんて素敵な仕事です。

病院にはそれぞれ役割があり、看取りをすることも重要な役割です。

その重要な役割を果たしていると私は実感しました。

マイナスな気持ちにならず、その患者さんの人生の最後に関わらせていただいていることに感謝し、少しでも患者さんとご家族にとってより良い最後を迎えられるように看護していこうと看護師達に伝えました。

知識や技術を磨くことは当たり前のことですが、患者さんやご家族の方々の気持ちに寄り添うこと、口で言うように簡単なことではありませんが、私はこの気持ちを大切にしてきました。

そしてこれからも大切にしたいと思っています。

日越恵美子看護部部長からのメッセージ

病院も役割があるというのは非常に重要なメッセージです。あとは新人の方に向けてメッセージをお願いします。

日越:看護師の道を選んだ新人に大切にして欲しいと思うことは「看護のこころ」です。

「患者さんを自分の身内だと思って接する」これは当院の理事長からの教えです。

やはり、私たちが対象とするものは「人」です。

相手は人であることを忘れず、温かい「看護のこころ」を大切にして欲しいと思います。

不安や緊張はベテラン看護師にもあります。

患者さんと一緒に泣いたり笑ったり、悲しんだり悔しがったりたくさんの経験をしてください。

命と向き合う掛け替えのない仕事です。

困ったことがあったら先輩に相談してください。

一緒に解決していきましょう。

素敵な笑顔の看護師さんを期待しています。

シンカナース編集長インタビュー後記

日越看護部長のインタビューでは、最初から印象的なお話をしていただきました。

自分で選んだからこそ、挫折したくない、諦めない、秘訣は「必死にやる」というお言葉には感動いたしました。

また、様々な場所で勤務されたことで、広い視野で医療、看護を実体験として学ばれていらっしゃるため、その体験をベースにスタッフの方々にもアドバイスが出来るというのは、素晴らしいことだと感じました。

多様な働き方、地域との連携など幅広く、看護職のキャリアを受け入れ、応援してくださる看護部長であるからこそ、離職率も少ないのだと思います。

病院はあちこちに美しいアートが散りばめられていて、明るく穏やかな雰囲気でした。

日越部長、この度は、素敵なお話をしていただき、誠にありがとうございました。

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