前回に引き続き、横浜旭中央総合病院の高橋佐代子看護部長へのインタビューをお届けいたします。
教育は共育
看護師の教育についてはどういった取り組みをされていますか。
高橋:教育は共育だと伝えています。
看護師同士で共に学び、共に育つ。
相手が患者さんだとしても同じです。患者さんにも常に学ばせて頂いています。
そして今は「気付きを育てる」というところに力を入れています。
気付いて、ちゃんと伝えて実際に行動できる看護師を育てるという事です。
「気付き」というのは中々自分だけでは得がたいものだと思いますが、どのように教育に組み込まれているのでしょうか。
高橋:ベッドサイドでの申し送りを必ず行い、先輩が新人に看護の視点も添えて教えています。
当院は固定チームナーシングを採用していますが、新人にも1人か2人の受け持ちを持たせて、先輩が病院内だけでなく病院外の生活を見据えた看護を教えていきます。
地域の人と病院を作り、看護師同士だけでなく患者さんとも新人を育てていくという事ですね。
部長ご自身が新人看護師と関わることはあるのでしょうか。
高橋:新人とは採用面接のときだけでなく、3ヶ月目と6ヶ月目で面接をしています。
部長自ら新人全員と面接されていらっしゃるのですか。
高橋:そうですね。全員と面接をして基本的に第一希望の科に配属しています。
勿論途中で合わない場合には変更もしますが、その甲斐があってか、新人の離職率はとても低く推移しています。
私もそうして新人との関わりを持つようにしているので、現場で彼らを見ている師長と協力をして問題があればすぐ対応できるようになっています。
看護補助者が“鍵”
部長ご自身もご経験がおありということですが、こちらの病院にも看護補助者は配置されていますか。
高橋:今は70人から80人程度配置しています。
今後、看護補助者と協働していくにあたり、やってみたいことはございますか。
高橋:私も経験をしましたが、彼らは看護師とは違う立場なので患者さんやご家族から、より本音に近い生の声を聞くことができます。
今後はその声を看護に生かしていけるようなチームをつくりたいと考えています。
現時点では、看護師だけができる仕事、看護補助者だけでできる仕事、看護補助者が看護師と一緒ならばできる仕事、教育を受けた人だけできる仕事、という分類を作ってあります。
その中で看護補助者だけで出来ることに関しては責任を持って行なって貰っています。
今後看護補助者と看護師が連携する部分は増えていくのでしょうか。
高橋:そうだと思います。
看護師もある程度人数はいますが、患者さんの側にいる人を増やすというのは大事だと思います。
社会的に認知症の方も多くなっていますが、やはり急性期の病院ですと対応ができないこともありますので、側にいてくれる人が必要です。
転倒転落防止には患者さんの一番近い場所にいる看護補助者が鍵なので、情報共有がとても重要です。
実際彼らにカンファレンスに入って貰ったことで転倒転落の数も減らすことができました。
高橋看護部長からのメッセージ
高橋:横浜旭中央総合病院は、500床以上の総合病院としては珍しく、急性期や回復期だけでなく療養、在宅、訪問看護も学べる病院です。
継続した看護を学ぶのに適した、とても良い病院だと思います。
是非見学にいらしてみてください。
シンカナース編集長インタビュー後記
改めて、今までの取材を通じても感じることは、多くの看護管理者が看護師になってからも学び続けてらっしゃるということでした。
高橋部長も、働きながら、大学、大学院と学んでいらっしゃり、その知識や思考方法を現場の管理に活かされていらっしゃるというお話はとても尊敬いたしました。
特に、医療社会学の知識も活かされ、新人看護師が地域へおもむき、病院の評判を聞きに行くという取り組みは、大変興味深く、伺わせていただきました。
地域と病院を結ぶと言葉で言っても、実際の声を聞くには、待っているだけではなく、看護師自らが地域で声をひろいあげる。
そのような取り組みをされているというお話は、初めてで、とても新鮮かつ新人を育てる上でも意義のあることだと実感いたしました。
明るく笑顔を常に向けていただける高橋部長の優しさが伝わるインタビューとなりました。
高橋部長、この度は本当にありがとうございました。
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高橋佐代子様(横浜旭中央総合病院)前編「看護補助者の経験を糧に」