間もなく3月。卒業・退職等、いわゆる「別れの季節」がやってきます。4月から新たな職場で看護師のキャリアをスタートさせる人も多いことでしょう。家族の転勤や子供の成長に伴ってやりたかった仕事に挑戦する、職場を移るということは、今いる職場を去るということ。退職の話を上司にすると、激しい引き留め作戦にあって辞められなくなった人の話も聞きます。病院という組織の立場からみたら、スタッフが退職してしまうことは不利益なことですから、師長さんが全力で引き留めるのも無理はありません。一方、スタッフ側は、自分のキャリアアップを考えての決断だったり、人間関係や職場環境が原因だったり、いろいろな意味で「新しい環境」を求めて羽ばたこうとしているわけです。双方の思いが通じ合うことが少ない「退職」という選択。しこりを残さず気持ちよく退職するためにはどんなことが必要なのでしょうか?
円満に退職するには、遡って準備が必要です。私は先日、ほぼ勤務していないものの在籍だけしていたクリニックを退職することになり、口頭で退職の意思を伝えました。契約書では退職の30日前までに言うこととなっていたので、それに基づいて行動しました。
法的には退職希望日の2週間前までに伝えればいいとされていますが、これでは周囲に負担をかけることは明らかですから、就業規則や契約書から外れることは大人としてやりたくないですね。
自分が携わっていた業務が滞らないように、次の担当者へ引き継ぐか、まだ誰か決まっていなければ申し送りメモを作成したり主任さんに伝えたりして、引き継いだ人が「聞いてない」「知らない」とならないようにしっかり準備しましょう。 早くから退職を決めている場合は、悟られないよう少しずつ少しずつ引き継ぐことも可能です。
退職前に業務に必要な書類をシュレッダーにかけて去っていった、なんていう話も耳にしますが、最終的に患者さんに迷惑がかかることは避けたいものです。「私じゃないとできない仕事」はありません。 去り際にその人の「人となり」が現れるものですから、スマートな対応を心がけましょう。
そして大切なのは、最後まで笑顔で働くこと。人間関係で悩みに悩んで退職するという人もいるかもしれませんが、終わり良ければすべて良しとはよく言ったもので、最後くらいは笑って終わりたいですね。
慶應義塾看護短期大学 東海大学健康科学部看護学科 看護学士 早稲田大学大学院政治学研究科 ジャーナリズム修士 ニューヨーク留学 慶應義塾大学看護医療学部 慢性看護学実習指導 東海大学健康科学部看護学科 在宅看護学実習指導 東京都御蔵島村 保健師 シンカナース副編集長