前編に続き荻野先生に、院内マネジメントの考え方や看護師への期待、
ご自身の趣味などをお聞かせいただきました。
病院全体で一つの目標に向かうことが理想
中:この辺で看護師についてお伺いさせていただきます。
先生は看護師をどのようなイメージで捉えていらっしゃいますか。
荻野:私が研修を受けた湘南鎌倉総合病院は、研修先として非常に人気の高い病院で、
職員全体で研修医を育成する雰囲気があふれていました。
当然、初期研修医がおかしなことをすれば、ベテランの看護師から注意されます。
私自身も実に多くのことを看護師から学びました。
ですから当院も是非、病院として何か一つの目的を定め、
それに向かって全体が向かっていくという雰囲気、理念が生まれることを期待しています。
中:そうしますと、具体的に、病院の理念あるいはミッションは、
どのようなことを掲げられているのでしょうか。
荻野:徳洲会グループでは、とにかく「救急を断らない」ことを重視しています。
私は医師になった時からその理念を当たり前のように考え、むしろ救急を断ることに慣れていないのですが、
病院が組織として実践する場合、それが難しいことも確かです。
断らないためには、職員の確保など診療体制の整備が必須だからです。
院長が「救急を断らない」とスローガンを掲げても、
現場で断るようなことがあっては理念が全く実践されてないことになります。
地域の皆さんからの信頼を獲得するために、断らないことがどれだけ大切かを、
職員全員が理解することが求められます。
そこで、毎朝朝礼で理念の唱和をして意識を高めています。
徳洲会の理念をこの成田富里の地で実践することが、我々の理念です。
その上で、さまざまな専門性を発揮できる病院にしていきたいと考えています。
その一つとして私の専門である血管外科領域を育てていき、当院の特徴になることを望んでいます。
成田という立地特性を生かした展開
中:徳洲会の理念をこの地で実現するとのことですが、
成田富里地域の特徴、特殊性とは、やはり国際空港の存在でしょうか。
荻野:成田は日本の玄関です。
当院から成田空港まで1駅、車なら15分です。
ですから海外からの患者さんも今後は積極的に引き受けられる体制を築きたいと思っています。
具体的には、世界基準の医療機関認証機構であるJCI(Joint Commission International)や、
外国人がかかりやすい病院であることを示す
JMIP(Japan Medical Service Accreditation for International Patients)の認証取得を考えています。
どちらも千葉県内では取得病院がまだ数少ないのが現状です。
中:オリンピック・パラリンピックも近づいていますから、
そのような需要は今後ますます高まるのではないかと思います。
一方で、周囲を見渡しますと、家屋やマンションが盛んに新築されているようで、
人口の増加が続いている地域でもあるのではないでしょうか。
荻野:おっしゃいますように、日本全体では病床数を縮小する方向に向かっていますが、
この地域では2035年までは患者数が増え続けるという試算があります。
その背景として、都心から移り住んで来られる若いご家族が多く、
地域の高齢化率がまだ20%程度と低いことが挙げられます。
先ほど申しましたように当院の建築は最大700床に対応可能ですから、いま若い地域住民の方が
高齢になられた時に、皆さまのお役に立てる病院になっているのではないでしょうか。
中:今後に向けて多くのチャンスがある病院ということですね。
荻野:そのようにお考えいただいて良いと思います。
チャレンジする看護師をバックアップ
中:そのような可能性を秘めている環境で働く看護師には、どのようなことを期待されますか。
やはり、先程来、話題になっている「チャレンジを怖がらない」といったことでしょうか。
荻野:そうですね。
新しいことに積極的にチャレンジしたいと思われる看護師さんに来ていただきたいです。
現在、看護の分野でも認定看護師、専門看護師などの資格があり、
ナース・プラクティショナーの制度化を期待する声もあります。
そういった資格取得を目指す方には、病院として全面的にサポートし応援していきたいです。
スイカロードレースと飲みニュケーション
中:最後に先生のご趣味についてお聞かせください。
荻野:昔からスポーツ好きです。
しかし医師になってからは団体スポーツの継続が難しく、
一人でも続けられることとしてマラソンを始めました。
年に1回は必ずフルマラソンに出場しています。
当地では毎年6月にスイカロードレースというマラソン大会が開催されます。
ここ富里は、全国2位のスイカの産地なので「スイカロード」です。
マラソン大会としての歴史も結構長く、伝統がある大会です。
ゴール近くの給水所はスイカが食べ放題です。
今年はその大会に職員とともにエントリーし、お揃いのTシャツを着て参加しました。
中:職員の方とご一緒に参加されますと、コミュニケーションの機会にもなりそうです。
荻野:院内のコミュニケーションということでは、スポーツを通してもそうですが、私はお酒の場が
割と好きですので、チャンスがあれば職員と食事に行き、少しお酒をいただくことがあります。
そういう場はふだん話さない本音を聞けますから、非常に大事な場だと思います。
病院の院長と職員が同席してお酒を飲んでも、院長がお歳を召していると話題も合わないでしょうが、私は
まだ若い人たちの話に少しはついていけますので、その点、若さでちょっと得しているのかなと思います。
看護師へのメッセージ
中:チームワークを大切にされ、スタッフと一丸となって理念に進まれている様子が窺えます。
では、看護師に向けてメッセージをお願いします。
荻野:当院は成田空港にほど近く、成田駅からは歩いて来られる非常にアクセスの良い病院です。
開院3年で建物も非常にきれいですし、将来、診療科の拡大など、
いろいろなチャレンジをしていきたいと思っています。
看護師さんに関しては、
専門看護師やナース・プラクティショナーになりたいといった夢や希望がたくさんある方に来ていただき、
その皆さんの夢や希望を病院が全面的に協力していきたいと考えております。
ぜひ当院に一度足を運んでいただいて、一緒に働けたら、うれしく思います。
よろしくお願いします。
インタビュー後記
ドラマの撮影現場にもなるという病院は、清潔感があり未来を容易にイメージ出来る建物です。
荻野先生のお話から、病院を中心として、地域づくり、人作りを共に行うことが出来る土壌があると感じました。
前向きでパワー溢れる病院長は、スタッフの皆様との距離も近く、
語り合いながら未来を創造しようという熱意に溢れていらっしゃいます。
看護師として、この地域の未来と病院創りに参加したい!という方には良い環境が揃っているようです。