血圧計と言えば、水銀柱でしたが、今日、体温計同様、水銀の血圧計は、ほとんど見ることがなくなりました。
電子血圧計は、当初、患者さんが自分で計測できるように設計されているものが多かったように思います。
現在は、医療機関でプロ仕様に設計されているものも多く広まっています。
そこで、今回は、下記の電子血圧計を看護師の視点で比較してみた。
今回、各メーカーよりご協力を頂きまして比較対象とした電子血圧計は4機種。
・株式会社エー・アンド・デイUM-211
・日本精密測器 DM-3000
・オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
・テルモ株式会社 エレマーノ2
下記の6点から検証した。
1.マンシェットの巻き心地
2.可搬性と本体重量
3.操作性
4.視認性
5.電源と充電時間
6.コストパフォーマンス
1.マンシェットの巻き心地
■株式会社エー・アンド・デイ UM-211
腕に巻いた感じがやや硬く感じた
ナイロン製でラテックスフリー
アルコール等での消毒が可能
■日本精密測器 DM-3000
巻いた感じは、腕へソフトに当たり心地よい
■オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
上腕にフィットしやすい扇型のマンシェットで巻きやすい
エタノールで拭き消毒が可能
送気口が皮膚に当たらない工夫がされている
■テルモ株式会社 エレマーノ2 ES-H56
腕に巻いた感じがやや硬く感じた
汚れのつきにくいナイロン製でアルコール消毒可能
2.可搬性と本体重量
■株式会社エー・アンド・デイ UM-211
重量550gで約ペットボトル1本分程あり軽いとは言えないが、背面にマンシェット収納部があり、持ち手も付いているため、可搬性には優れている
■日本精密測器 DM-3000
重量1.35kgとひときわ存在感のある重量。
可搬性が良いとは言いにくい。
診察室等の卓上使用がオススメ。
キャリースタンド対応となっているため、やはり診察室内での使用が合っているだろう。
■オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
重量520gで約ペットボトル1本分で軽いとは言えない。
持ち手が付いているが、マンシェットの収納がないため可搬性としては、あと一歩。
■テルモ株式会社 エレマーノ2 ES-H56
重量230gにコンパクトなボディー。
可搬性については、群を抜いて優れていると言って良いだろう。
正に敵なし。
3.操作性
■株式会社エー・アンド・デイ UM-211
スイッチの構成は、「上矢印ボタン」「下矢印ボタン」「設定ボタン」「スタート/ストップボタン」の4つから構成される。
測定にかかる操作は、スタートとストップが一つのボタンでコントロールできて非常にシンプル。
メモリの呼び出しも上矢印ボタンと下矢印ボタンで呼び出すことが可能。
取扱説明書が必要無いくらい感覚で操作することができる。
しかも、測定値99回分も呼び出すことができる。
■日本精密測器 DM-3000
スイッチの構成は、「セット/メモリスイッチ」「スタート/ストップスイッチ」「加圧設定ダイアル」「モード選択スイッチ」の4つから構成される。
UM-211 やHBP-1300と比較するとプロ用を感じさせる。
医療ライセンスを持っていれば、操作に苦労はないだろう。
メモリは、7回分の測定結果を保存することができる。
■オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
スイッチの構成は、「スタート/ストップボタン」「設定ボタン」「左矢印ボタン」「右矢印︎ボタン」の4つから︎構成される。
UM-211同様、測定にかかる操作は、スタートとストップが一つのボタンでコントロールできて非常にシンプル。
前回測定値は︎左矢印ボタンと右矢印ボタンで呼び出すことが可能。
取扱説明書が必要無いくらい感覚で操作することができる。
■テルモ株式会社 エレマーノ2 ES-H56
医療機関でよく見かけるエレマーノ2。
今回、実際にこれを医療機関で使用していた看護師からも話が聞けた。
スイッチの構成は、「電源スイッチ」「排気スイッチ」「モード/メモスイッチ」の3つとこれまでで最も少ない。
電源を入れると前回測定値が表示され、送気球で加圧して加圧をやめると測定が開始される。
測定方法は、シンプルで感覚的な操作ができると言えるだろう。
実際に使用していた看護師に話を聞くと、加圧が足りない場合の再加圧の際、患者さんに「何回測るんだ」と何回か言われたことがあるということだった。
他の電子血圧計でも再加圧はあるが、人が行っているのと機械が自動で行っているとの違いはどこにあるのだろうか。
また、意外と手で加圧するのが面倒という声も聞かれた。
4.視認性
■株式会社エー・アンド・デイ UM-211
ディスプレイに大きく表示され、非常に見やすい。
バックライトもあるので医療機関で夜間の際も使用可能。
■日本精密測器 DM-3000
水銀柱イメージ血圧計で収縮期血圧、拡張期血圧を液晶ディスプレイバーで表示し、さらに大きくデジタル表示もされる。
■オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
UM-211と同様、ディスプレイに大きく表示され、非常に見やすい。
バックライトもあるので医療機関で夜間の際も使用可能。
■テルモ株式会社 エレマーノ2 ES-H56
他の製品と比較して極端にコンパクトなボティーにも関わらず、視認性は、十分。
強いて言えば、バックライトがあると嬉しい。
5.電源と充電時間
■株式会社エー・アンド・デイ UM-211
バッテリー駆動、300回測定可能。
充電時間は、ゼロからの充電で4時間。
■日本精密測器 DM-3000
バッテリー駆動、100〜300回測定可能。
充電時間は、ゼロからの充電で4時間。
■オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
バッテリー駆動、300回測定可能。
充電時間は、ゼロからの充電で4時間。
■テルモ株式会社 エレマーノ2 ES-H56
電池駆動。
アルカリ単4電池2本で900回測定可能。
6.コストパフォーマンス
■株式会社エー・アンド・デイ UM-211
¥25,800
■日本精密測器 DM-3000
¥40,800
■オムロンヘルスケア株式会社 HBP-1300
¥24,800
■テルモ株式会社 エレマーノ2 ES-H56
¥26,000
まとめ
DM-3000を除けば、本体価格に大きな差はないようだ。
ランニングコストは、バッテリー駆動の3機種は、ほぼ同等。
エレマーノ2 ES-H56は、電池駆動だが、1回の電池交換で900回の測定が可能という魅力がある。
充電の回数や手間を考慮するとエレマーノ2 ES-H56が際立って見えてくる。
今回の検証について
今回は機能の異なるものを検証しましたので、この結果は優劣をつけるものはありません。
以前は、水銀の血圧計と聴診器で血圧を測ったものです。
電子血圧計の進化と普及によって電子血圧計の選択肢が広がり、これによって看護師を初めとする医療業界全体の作業効率にも影響を与えているのではないでしょうか。
医療機関において新しい電子血圧計を導入する際、または個人で購入する際に
今回の比較検証をヒントにして頂けますと幸いです。
今後も看護師の視点で日々使っている物品を検証して参りたいと思います。