No.137 谷岡 美佐枝様(JCHO星ヶ丘医療センター)後編「伝承されている理念」

インタビュー

前編に引き続き、JCHO星ヶ丘医療センターの谷岡看護部長へのインタビューをお届けいたします。

志を持ち続ける

師長になったとき、何か大変だったことはありますか。

谷岡:部署内で意思決定をし、リーダーシップを発揮しないといけないところです。

最初は自分のメッセージが、スタッフに大きく影響することに驚きました。

自分の考えが、単純で浅はかであってはならないと気づきや、ポジティブマネジメントについて学習しました。

副部長になられてからはいかがでしたか。

谷岡:立ち位置が変化したことで看護師長とは全然違うマネジメントが待っていました。

看護部長の補佐をするために、部長が出されたメッセージを受け留め、それを自分なりに解釈して、仕上げていくことが面白くもありました。

このメッセージの意図は何か、どう行動することが、看護部長の補佐として看護部として一番いい結果になるのか考え、応えられるように努めました。

看護部長になってからの苦労されたことなどお聞かせください。

谷岡:転勤し組織が変わり、トップマネージャーとして意思決定するには、

まず組織文化や看護のプロセスなどを理解することに約1年かかりました。

1年目は、看護部長として、本当にこれで正しいのかと不安でしたが、自分の志と目指すミッションを強く持ち続けていれば、皆もついてきてくれると信じていました。

今2年が経過し、私のような新参者を皆が受け入れてくれた看護スタッフに感謝しています。

根付いている理念

看護部理念の『心と心がふれあう看護』を実践するために、看護部として特に心がけていらっしゃることはありますか。

谷岡:私が逆に教えてもらっていますし、お褒めの言葉をいただけるほど、

個々の患者さんのニーズに対応しようと看護スタッフが自身の心を寄せて誠心誠意向き合えるように努力しています。非常に優しい看護が日々展開されていると自負しています。

常に、一人ひとりが、理念をきちんと心の中に浸透させて、日々看護に向き合われているのですね。

谷岡:病院理念にも『心』という文字が入っており、

医療者全員が、意識されて行動できていると思っています。

組織に根付いて伝承されていることをいつも感じており、私自身も常に原点に立ち戻ることを意識しています。

技術面に重きを置いてしまいがちの今、一番大事な心と心が触れ合うことをずっと伝承されているのが、非常にいいですね。

谷岡:当院は、地域包括ケアシステムに則った医療提供ができる施設であることが強みであり、

まずは患者さんの暮らしを優先に考えた医療提供を目指す専門職の集団

看護師だけではなく他職種も温かく、包み込むようなスタッフが非常に多いですし、

また温かい人たちが温かい人を育てていきますので、うまく引き継がれているのだと思います。

次に考えている取り組みなどはありますでしょうか。

谷岡:今年度は「つむぐ・つなぐ・つたえる」をモットーに、

地域連携をシームレスに太いラインでつなぐことへの取り組みを考えています。

そのためにはまずは、看護管理者が現状の問題や課題の本質を探究できる能力が必要となります。

そこで、休み時間に看護師長・副師長によって、看護管理塾を開催し概念化能力のスキル向上を目的に行い始めました。

できるだけ、看護管理者の能力の段階に応じて、前進・進化し創造しながら戦略を練っていきたいと思います。

チームで関わる

こちらにいる看護補助者についてお聞かせください。

谷岡:30名ほどの看護補助者が従事しており、主に看護師のサポートをしてもらっています。

日々の仕事の中で、看護師以上に、ほんのわずかな変化を見つけてくださることがあります。

補助者のみなさんも患者さんと向き合ってくれますし、その微妙な変化を看護師に伝えてもらえたりもしますので、私たちは看護部として医療チームの一員として認識しています。

患者さんも、身近で話しかけやすいのですかね。

谷岡:ベッドサイドに行き、看護補助者の役割の中で、身体ケアもできる範中のケアを行なっていますし、

看護師と一緒に行なうこともありますので、患者さんにとって身近な存在です。

新人の看護師さんは、毎年何名ほど入職していますか。

谷岡:既卒の方も含めて、今年度は37名を採用しました。看護職員の離職率は毎年、約10%程度です。

その中でも、新人看護師の離職率は3年連続ゼロであり、看護部全体で大切に育成する職場環境は成り立っていると思っていますし、非常に強みだと思っています。

趣味は何ですか。

谷岡:アウトドアが好きですし、そのほかに観劇や、甲子園でタイガースの応援をしてストレス発散をしています。

看護部長からのメッセージ

谷岡:これからの医療は、地域包括ケアシステムの中で、いかに患者さんの暮らしを支える医療を提供できるかだと思っています。

当院は、早くから地域包括ケアシステムに沿った取り組みを行っている病院だと自負しております。

これからは病院から在宅まで、更に一つの太いラインとすること、患者さんを中心としたネットワークを拡充させることが、医療・福祉が展開されるべきだと思っています。

それを繋ぐ役割は、看護師にしかできません。そのリーダーシップが発揮できるような看護師の育成が課題です。

看護部の理念を大切に、自分の考えを躊躇わずに言葉に発することができるような活気ある職場環境、育て育ちあい互いが切磋琢磨して成長し、信頼する、このような成熟した看護師の集団が強い組織へとつながると考えます。

地域住民の皆様、医療・教育関係者の皆様に愛され信頼されるために、皆で創りあげるべく日々精進して参ります。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

シンカナース編集部 インタビュー後記

星ヶ丘医療センターは、前身の星ヶ丘厚生年金病院のころから60年以上もの長きに渡り、大阪府枚方市の地域医療を支えてきた病院です。

「常に患者さんに関心を向けている看護師でありたい」という信念のもと、看護の道を歩まれてきた谷岡看護部長。

自分の看護を振り返ると同時に課題を考え、前に進んでいく看護部長の姿勢は、

管理者となられてからも変わらず常にご自身の行動を振り返りながら、

スタッフや看護部のために考え、行動されている姿勢は、

とてもポジティブでしっかりとした信念をもっていらっしゃり、力強さを感じました。

穏やかに話される谷岡看護部長から、とても熱い思いが伝わってまいりました。

貴院の看護部理念でもあります「心と心がふれあう看護」は、スタッフの心の中に浸透し、伝承されているとお聞きしました。

温かい人たちが育てていくと温かい人が育っていくつながりは、

まさに谷岡看護部長が取り組もうとしていらっしゃいます「つむぐ・つなぐ・つたえる」につながり、

今後ますます進化していくと確信いたしました。

谷岡看護部長、お忙しいなか、熱い思いをお話いただき、どうもありがとうございました。

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