前編に引き続き、東大阪病院の上薗看護部長へのインタビューをお届けいたします。
不安を挑戦に
看護部長になってから悩みや苦労したことはありますか。
上薗:毎日ありますが、新しい経験なので、知らなかった世界を見ることができています。
知らなかった分だけ、苦労もありますが、知らない世界を知ることが楽しくもあり、そのために頑張っているようなものです。
これもやはり周りの人が私の雑務を手伝ってくれ、師長たちが私の提案したことを一生懸命行なってくれるので、ことが進み、結果が出てきます。
みんなでやっている感覚も味わうことができるので楽しいです。
能力ではなく人間として
貴院の看護部の理念『私たちは、全ての人に対して共感と慈しみの心を持ち尊い看護を実践します。』を実践するために特に心がけていることはありますか。
上薗:本当にこだわりがありまして、理念は力を持ちます。
病院の理念にしても、理念に求心力を持たさないといけませんし、そうあるべきです。理念は絶対にブレてはいけないと思っています。
病院の理念に求心力を持たせることが私の大事な役目です。
そして看護部の理念を考える時にこだわったことが、まず「能力」という言葉は一切使わないことです。なぜならば、「能力」を最終目標にしたくないからです。
生きている最大の目的は自分の人生がどんな人生になっていくかです。その中の一つに看護師という仕事があり、そこから学びを取っていきます。
看護師はライセンスへの責任があり、そのためにもコミュニケーション能力やフィジカルなどを勉強し、それらの商売道具を磨くために努力をします。
そして、その道具を手に入れた時に、「誰のために」「何のために」使用するのかを決めるのは当人の意識や価値観です。
恩師の教えで、やはり人間が価値観を高くし、志向性を上げ、物を考える力をしっかり磨かないと、道具を手にしても、あまり意味がありません。
きちんと隣の人と連携が取れて、相手の立場を理解する、そういう人材を育成していきたいです。
「能力」を目標に置くのはいいですが、目的すると自分の努力に溺れ、勉強する意味や意義、目的がわからなくなってしまいます。
看護師が努力する目的は人に貢献するということです。
そこが看護部の理念に大きく一番こだわっているところで、全て心に結び付くような文言にしたいと思い、今の理念を作りました。
地域とともに
看護補助者の役割について教えてください。
上薗:看護補助者の役割は、本当に重要です。当院では「介護士」としております。それは「補助者」ではなく、きちんと役割を持ち自分たちの仕事に誇りを持たれているからです。また、そうであって頂きたいという思いから「介護士」としております。
医療業界は頂点に医師がおり、パラメディカル、そして看護師というピラミッドの構造をしています。ピラミッドの土台がしっかりと支えないと崩れてしまうように、看護士がいなければ今求められている看護師の役割を果たすことはできません。
病棟によって役割が異なりますが、環境整備やスキンケア、入浴など全般的にケアを行なっています。
看護師よりも体位交換などが上手な介護士も多く、尊敬しています。
仕事以外にも楽しいひと時はありますか。
上薗:愛犬と戯れることや、読書、書道、音楽を聴くなどをして没頭することで、オン・オフを切り替えています。また研修に参加すると気持ちが切り替わります。
病院のアピールと学生さんに向けてメッセージをお願いします。
上薗: 当院は理念の「地域社会との共存・共栄」を軸とする、地域の方々の健康を守るための病院です。その理念を基に病院が動き出しており、その理念に忠実に沿って動いていると自負しております。
地域の防災訓練や救護班など地域からお声がかかると、看護師も惜しみなく協力をしております。
当院は地域に密着した医療を目指して努力をしておりますので、地域密着型の看護を目指したい方は当院に一度遊びにいらして、体感していただければと思います。よろしくお願いします。
シンカナース編集部 インタビュー後記
東大阪病院は地域に根差した病院です。
人としてどうあるべきか、看護師としてどうあるべきか、在り方を大切にしてきた人情に厚い素敵な上薗看護部長です。
すべてを前向きに変えていく情熱的な 上薗看護部長 に周りの方々が慕っているのも納得です。
上薗看護部長 のような素敵な女性になりたいと感じました。
上薗看護部長、素敵なお時間と素敵なインタビューをありがとうございました。