前編に引き続き、愛川北部病院の三崎洋美看護部長へのインタビューをお届けいたします。
経験を積んだ看護師による訪問看護を
関連施設との看護師同士のローテーションはあるのでしょうか。
三崎:職員の希望があれば異動もあります。
4月より、訪問看護ステーションで定年を迎えるスタッフもいて、新しい風を吹きこんで欲しいという希望もあり、「訪問看護をやりたい」という看護師が1名異動します。
訪問看護では全て自分で考えて行動しなければいけないので、「病院でもう少し学んで自信を持ってから、」と言っていたのですが、異動が決定してから、事前に訪問看護ステーションに研修期間を計画し、不安なく異動できるようにしました。
今後も、連携ができるように育てて行かなければと思っています。
急性期を脱した後のお家に帰るまでの医療は、ますます大事になっていきますね。
三崎:ターミナルの患者さんが在宅に戻られる場合など、在宅でもかなり重症の方もいらっしゃいますので、経験を積んだ看護師が訪問看護ステーションで働くというのは大事だと思います。
ご自宅で亡くなる方もいるので、看取りの看護もやっています。これからそういうケースも増えてくると思います。
他の病院さんとの連携はあるのでしょうか。
三崎:あります。
今、急性期の病院は在院日数がとても短いので、急性期を脱したけれどもまだ治療やリハビリが必要という患者さんが紹介でいらっしゃいます。
また、当院は2次救急までなので、3次救急で治療が必要な患者さんを、3次救急の病院に紹介することもあります。連携はとても大事です。
周りにはいくつくらい病院があるのですか。
三崎:愛川町で入院施設は当院のみで、あとはクリニックです。
ただし、当院は基本的に内科と整形のみなので、それ以外の3次救急を要するような脳外科・循環器や外科的処置する場合は厚木や相模原の3次救急の病院や大学病院にお願いしています。
子育てしながら働きやすい
保育所があるのですね。
三崎:保育所があるからということで、当院を選んでくる方たちも多いです。
育児休暇取得後1歳になる前から働く人もいますし、育児休暇終了後は大半が職場に戻って来てくれます。それだけ働きやすいということだと思います。
お子さんが大きくなったら、「週に何日働けます」「何時から何時まで働けます」という相談に乗りながら、だんだん時間数を増やしていって、常勤に戻る方もいます。
もともと看護が好きな人たちなので、「教育資金を作りたい」「家族が働いていいって言ってくれたので、もっと働きたい」と、辞めずに頑張ってくれています。
子育てをしながら、頑張って働いて、キャリアをつなぐってとても大事だと思います。
自分を表現するもの
私自身が看護師を辞めずに働きつづけていますが、成人した息子に「お母さんを表現するものがあってよかったね」と言われて、確かにそうだなと思いました。
私が息子にあまり干渉しなかったのがとても楽だったとも言われ、そうか、と思いました。
自分の子育ての経験も職員に話すことができます。
お母さんとして働かれてらっしゃる方がいると、新しくお母さんになられた看護師さんにいろいろ教えてあげられますし、いい関係ですね。
三崎:いろいろ悩んでいたら「私はこうしていたわよ」と話すことができます。
息子が小学校に入った時に「仕事をしているから寂しいのでは?」と周りのお母さんに言われたのですが、息子は「僕は働いているお母さんが好きだから、仕事続けていいよ」と言ってくれて、それから、ずっと仕事を続けています。
看護補助者の研修にも力を入れたい
看護補助者はどういうお仕事をされていらっしゃるのですか。
三崎:主に清潔ケア・排泄ケア・環境整備を担当しています。
病室を見ていただくとわかりますが、とてもきれいです。
患者さんの重症度などによって看護師と一緒にケアを行っています。
みなさん資格をお持ちなのでしょうか。
三崎:介護福祉士を取得している職員と資格がない職員がいます。
当院では看護補助者の研修を計画して行っています。
平成29年度は排泄ケアについて行い、「患者さんのアセスメントができ、看護師に情報提供ができる」を学習目標に1年間を通じて研修を行いました。
基本的な介護についてはeラーニングも取り入れて学習する機会をつくっています。
現場では大きな役割を果たしてもらっています。
夜勤もやってらっしゃるのですか。
三崎:そうです。
看護師2人と看護補助者1人体制ですので、看護補助者の研修にも力を入れたいと思っています。
看護師・看護補助者・クラークはユニフォームの色で区別されています。
クラークは、患者さんやご家族への入院の説明など、患者さんに関わる事務的な業務を担っています。
看護のケアというところは看護補助者が担ってくれています。
患者さんの状況で判断し指示をする看護師の役割です。
家庭を大切にしながら働きやすい職場
愛川北部病院の魅力を教えて下さい
三崎:当院は、子育てをしながら働いている職員が多くいます。
今まで家庭を大事にしたいから仕事ができなかった、これから仕事をしたいけれど自信がないと思う方にも、とても働きやすい職場だと思います。
仕事を離れていた期間が長かったとしても、きちんと指導しながら業務ができるようにやっておりますので、ぜひ当院に来ていただけたらと思います。
インターンシップも開催しており、職場で看護師と一緒に職場を体験することができます。
職場の雰囲気を見たい方や、看護師の仕事にしばらく就いてないので不安だなと思う方がいらっしゃいましたら、ぜひそちらもご検討ください。
シンカナース編集部 インタビュー後記
ご自身のこれまでのキャリアや看護への思いを語ってくださった愛川北部病院の三崎看護部長。
「看護師として仕事を通して自分を表現している」とご家族から言われたというお話がとても印象的でした。
看護師としての責任感を持ち働いている三崎様の姿がとても輝いていたのだろうと思います。
看護師という仕事は人に対しても、社会に対しても貢献できる性質を持つものですから、それがマズローの欲求段階最上位の自己実現に繋がった時、とても楽しく働き続ける事ができるのではないかと感じました。
また、看護部長ご自身の看護観が固まるまでの心の動きや期間についてのお話は、働き始めたばかりの看護師達にとっては大きなヒントになるのではないかと思います。
三崎看護部長、この度は大変貴重なお話をして頂きまして、誠に有難うございました。
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No. 108 三崎洋美様(愛川北部病院)前編:患者さんの背景に思いを馳せるから看護ができる