海外で働きたい! 〜ニューヨークで看護師になる?!<前編>より続く
高すぎた医療英語の壁
日本の看護師国家試験問題集並み、もしくはそれよりももう少し分厚い「NCLEX-RN」(米国看護師国家試験)の問題集を書店で購入し、私のRN(アメリカの看護師)への道は始まりました。
とはいえ、勉強するのは学校が休みの日曜日の昼間。
他の勉強をしている友人たちに混ざって慣れない勉強タイムです。
電子辞書を片手に問題集をめくってとりかかった1問目。
そして私は気づきました。
「医療英語がまったくわからない」ということに。
4つある選択肢を1つずつ辞書で調べて正解にたどり着くまでに要した時間20分。
日本語で解けば1分とかかりませんが、英語になるとこんなにも時間のかかるものだったのでした。
まずこのギャップに驚いたのと同時に、「これはとてつもなく大変なチャレンジなのかもしれない」
暑い夏の日でしたが、汗がスゥ〜っと引いていきました。
合格してからが勝負
また、NCLEX-RNに合格しただけでは不十分で、CGFNSという、アメリカ以外で看護教育を受けて看護師になった人が、アメリカの看護教育と同等であるかを審査する機関による審査をパスして初めてRNとして働ける条件を満たすこともわかりました。
結局、NCLEXを受けることにすらたどり着かなかったので、CGFNSに提出する書類の準備も必要なかったわけですが・・・。
また、NCLEX-RNもCGFNSもクリアしたとして、自分にワーキングビザを出してくれるスポンサーが見つかるかどうかも大きな壁です。
医療英語だけでなく、基本的な英語力も決して高くなかった私に英語だけで働く自信はありませんでした。
ニューヨークにある日本人を対象にしたクリニックで働くというのはどうなのだろうか・・・。
手始めに、看護助手を募集しているという日本人向けのクリニックの求人を見つけ、面接に行ってみましたがまさかの英語での面接に玉砕。
そうか、いくら日本人向けのクリニックとは言ってもそういうことなのか。
英語ができなければ働くことはできない。
これは他の国でも共通のようで、インタビュー#7,インタビュー#8でシンガポールで日本人対象のクリニックで勤務する人たちも、現地で働くにあたり「英語力は必須」と答えていましたから、 そもそも私は海外で働くための基準を満たしていなかったのです。
強い意志がないと海外でのチャレンジは成功しない
当たり前のことですが、ほんのちょっと勉強しただけでNCLEX-RNに合格するほど甘くはありません。
何年もかけて計画をねって、1年の多くの時間を試験勉強に費やしても合格する保証はない、それくらい厳しい世界です。
たとえ動機が十分でなくとも、その後の取り組みが本気であれば叶わない夢ではありません。
私に「その後」がなかったのは、それだけの情熱を注いでまで「RNになりたい」という想いがなかったからだと思います。
学校を卒業し帰国の日が迫り、当初は「帰国したら日本で勉強してNCLEX-RNを受験しよう!」と意気込んでいました。
ところが実際帰国してみるとあの時の想いはどこへやら・・・徐々に風船がしぼむようにアメリカで看護師になりたい気持ちは小さくなっていき、受験することなく今に至ります。
成功することのなかったチャレンジでしたが、生半可な気持ちでなれるものではないことを教えてくれましたし、自分の看護師キャリアになかった「海外で働く」ということをほんの少しの間考えることができたことは収穫となりました。
留学中に学んだアメリカに限らず海外で看護師になるために必要なこと
1.海外で看護師として働く確固たる意志
2.医療英語はもちろん、TOEFL等の高度な英語スキル
これから海外勤務を視野に入れてキャリアを考えている方は、まずは英語力のアップにとりかかってみてはいかがでしょうか?