前編に引き続き、広島市立安佐市民病院の中野看護部長へのインタビューをお届けいたします。
いつ看護部長になりましたか?また苦労や悩みはありましたか。
中野:今年の4月から7年目になります。看護部長1年目は新病院の話も出ており、新病院に向けて緩やかなシフトができるように構想などを考えました。ここ4、5年で新人看護師の教育体制の見直し、2016年からはJNAラダーの公表に伴い、看護専門職としてどのように社会的に認知され、急性期病院の中でキャリアを育成していくか考える、非常に重要な時期でした。特に、7:1が始まってから看護師が増加し、在院日数が短くなりました。めまぐるしい状況で業務に追われるのではなく、看護をどうするかをしっかり見つめていく必要があると思います。
いつから看護部長、副院長を兼任していますか。
中野:私の前々看護部長から看護部長と同時に副院長兼務になっています。
看護部理念の「科学的に」「感性豊かに」「考えて行動する」看護を実践します、看護のカ行(家業)三か条、実践するために心がけていることはありますか。
中野:この3つの言葉に全てを込めていますが、根拠を大事にすること、感情を上手くくみ取れる看護師、感性と脱感性の育成、自律できる看護師を目指すということです。専門職として求めたいことをわかりやすく、覚えやすく、伝えやすく、ということでこの言葉にしました。
理念を浸透するために何をしていますか。
中野:毎年5月に院長と看護部長がどのような医療・看護をしていきたいかを紐解き、全職員に伝えています。また教育の中で必ず理念に戻る必要があります。今年度はラダーの新しい組み立てをしており、教育体系を作る時、理念を振り返る作業を常に繰り返し行いました。
どのような研修制度がありますか。
中野:今まで、卒後年数別の段階別研修や集合研修という組み立てでしたが、今はJNAラダーを使用し、ラダー別の研修に整理整頓しています。4月からは今までやってきたものを組み立て直して実施していますが、認定看護師の力を借りて、様々な研修を行っています。特に机上の学習だけではなく、OJTを中心に学習できるよう常に考えています。管理者にはマネジメントラダーを使用し、管理者の育成をしています。
看護助手の役割について教えてください。
中野:看護助手は約70人います。役割は大きく3つです。事務的な仕事が中心の看護補助者、患者さん周辺の環境整備や医療機器の洗浄などを業務とする補助者、看護師の指示のもとに身体介助を一部する補助者です。
仕事以外で楽しいひと時があれば教えてください。
中野:一番楽しいのは、かなり成長しましたが息子との時間が楽しいです。県外におり一緒に出掛けることも少ないですが、仕事の話や人生の先輩として助言できることがあるとうれしいです。
その他に趣味はありますか。
中野:平常を忘れるため年に1度は海外旅行に行き、知らないところでリフレッシュをしています。部長になりたての頃は長期で休みを取ることに不安がありました。自分がいなくてもしっかりと副部長や師長が病院を守ってくれているので安心して、最近は少し遠出をしています。
新人看護師や今仕事を探している看護師等に向けて病院のアピールをお願いします。
中野:当院は527床の高度急性期病院です。広島市の北部に位置し、患者さんは広島市や北部地域、県を境に山口県、島根県の方からも来ており、非常に広範囲な診療圏を持つ病院です。4年後の平成34年に新病院に生まれ変わる予定です。当院は急性期病院として、在院日数も短く高度な医療を提供しており、看護師として高度な技術、知識が必要です。更に、地域の基幹病院として、医療・看護・介護の連携に力を入れており、退院後の生活を見据えた看護ができる看護師の育成にも力を入れています。これらを入職してから着実に身に付けるため病院全体で支援します。ともに学び一緒に成長していき、一緒に看護師としてキャリアを積んでいただきたいと思っています。
のどかな場所に位置し、暖かい雰囲気のある広島市立安佐市民病院で、優しい笑顔で我々を迎え入れてくださった中野副院長。
インタビュー中もずっと穏やかに優しい笑顔でお話ししてくださったそのお人柄に、暖かい病院の雰囲気の理由を知りました。
患者さんは、広島市の他に山口県、島根県からも来られており非常に広範囲な診療圏を持っています。
また、急性期病院として高度な医療を提供することから看護師にも高度な技術、知識と言った事が必要となりますが、そう言った事を入職してから着実に身に付ける事が出来るよう病院全体で力を入れています。
中野副院長がお話しの中で、ともにともに学ぶと仰っていたその言葉に、優しさの中にある強い信念を感じました。
シンカナースの価値観でもある、安心、安全、明るい医療の元、キャリアを積んで行く事ができる病院だと感じました。
中野副院長、この度は素敵なお話をどうもありがとうございました。
シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎