No.110 イタリア看護師の現状(マリア・ジョバンナ・ロザート様)

No.110 イタリア看護師の現状(マリア・ジョバンナ・ロザート様)

  • 2018年4月11日
  • インタビュー 海外
No.110 イタリア看護師の現状(マリア・ジョバンナ・ロザート様)
No.110 イタリア看護師の現状(マリア・ジョバンナ・ロザート様)

イタリア人ミラノ在住看護師へインタビュー

 

今回は、イタリアにおける看護の現状を教えていただくため、イタリア人看護師として30年ほど経験されているマリアさんにお話を伺いました。

 

看護師になろうと思った理由を教えてください。

 

マリア:子どもの時から人を助けたいと思っていました。

おもちゃで遊んでいても、いつも誰かを助けるシーンを意識していました。

大人になるにしたがって遊びではなく、仕事として、人を助けたい気持ちが強くなり看護師になりました。

 

また、父が病気がちでしたので、よく病院にお見舞いに行っていました。

そこで看護師さんを見ていましたので、看護師さんが父を助けてくれる姿を見て、いいなと思ったのもその理由の一つになると思います。

 

看護師として何年ぐらい勤務されてますか。

 

マリア:現在勤務している病院は19年ほど勤務しています。

その前は、11年は南イタリアの、レッチェルという町で働いていました。

既に30年ほど看護師として仕事をしています。

 

看護師としてのキャリアを教えてください。

 

マリア:現在の病院では一般看護師でマネージャーではありません。南イタリア勤務時代はマネージャーをしていました。

 

看護における課題

 

現在、イタリアにおける医療や看護環境の課題を教えてください。

 

マリア:看護師の仕事は、以前、高校卒業程度でも出来る仕事でした。

今は3年制の大学に行く必要があります。

一方で、看護師になっても中々仕事がありません。

看護師の仕事に就きたい人は沢山いますが、病院の求人が少ないこと、また一度就職出来たら殆どの看護師は辞めませんのでポジションが空きません。

 

日本とは真逆ですね。

 

マリア:そうです。

 

結婚や出産をしても働き続ける人が多いでしょうか。

 

マリア:殆どの人が仕事を辞めません。

辞めたら復帰が難しいからです。

また、若い看護師にとっては、勤務するチャンスが少ないので、パートタイムや一時的な雇用のような形になってしまいます。

そうすると、今日働いていても明日クビになるかもしれない。

このスタイルで働いているので、ストレスだと思います。

雇用された人はとてもラッキーです。

だからこそ辞めることはありません。リタイヤするまで働きたい。

ずっと働かなくちゃ!という感じです。

 

仕事があることが幸せ

モチベーションはどのように保っていますか。

 

マリア:まず雇用されていることがとてもありがたいことだと感じることが出来ます。

土曜日や日曜日に出勤すると、プラスの給料も支給されますし、病欠でも賃金が支払われる。

そう思うと仕事は楽に感じることが出来ます。

一方で、若い看護師たちには同様の制度が適応されていません。

よって、モチベーションも崩れてきてしまい、それほど強くいられないようです。

私の場合は、勤務している病院の患者さんは、何度も治療に来る必要がある方が多いんです。

そこで、少しずつ友人関係へ発展していき、様々な会話を通じて、人との関係がモチベーションに繋がっています。

「ありがとう」と言われることもありますし、いい仕事をした時に、それがモチベーションとなり、毎日仕事に行きたいという感じになります。

 

患者さんとの関わりがモチベーションに繋がっているということですね。

 

マリア:自分の仕事を通じて、患者さんを助けながら、ありがとうと言ってもらえる言葉があるということも大切なことだと思います。

 

人生を楽しむ

 

何か趣味はありますか。

 

マリア:お料理作るが大好きです。

家でも様々なレシピに挑戦し、誰かのために作るということが好きです。

他には布の上に絵を描いたりします。色をつけたり、絵を書いたりすることがとてもリラックできます。

 

仕事も楽しまれ趣味もあり、生活は充実されていらっしゃいますね。

 

マリア:バランスをうまくとっています。

仕事も趣味も両方楽しむことが大切だと感じています。

とても明るい生き方をされているマリアさんから、日本のナースにメッセージをお願いします。

 

マリア:看護師という仕事は、長時間労働でもありますし、大変な面もあります。

ただ、人命を助けるのが一番大切なので、患者さんが来院した時、痛みで泣いている時、苦しい時などどのような場面でも患者さんをサポートし「ありがとう」の言葉を励みに働けるといいなと思います。

命を救う仕事ですから、温かい心を保ち続けることが大切なのです。

 

また、自分が患者さんより弱かったら、他者をサポートすることは出来ません。

 

それも考慮すると、まず、自分が強くないと、人を助けられないですね。

時には、自分で考え、休憩して、強くなって帰ってくる。

もっと心を強く持ち患者さんをサポート出来る看護師であるように。

それが大切だと思います。

 

シンカナース編集長インタビュー後記

仕事があることが幸せ。

若い看護師は仕事を探すことが難しい。

日本とは真逆の環境に当初戸惑いました。

イタリアは現在、雇用状況が悪化しており、雇用主の税金負担も重いことなどから、雇用が促進されていない状況です。

一般企業だけではなく、医療にも雇用悪化が及んでいるということは切実だと感じます。

ただ、その中でも、看護師として患者さんとの関係を大切に楽しく、明るく看護をされているマリアさんのお話はとても尊く感じました。

職場が沢山あることが、いかにありがたいことか、改めて感じさせていただいたこと、どのような状況であっても仕事を楽しむことなど多くの学びをいただきました。

マリアさん、この度はお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

 

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 同志社女子大学嘱託講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社