No.85 樋浦 裕里様(東京さくら病院)後編「患者さんへの思いやりの心を大切に」

インタビュー

前編に引き続き、東京さくら病院の樋浦 裕里看護部長へのインタビューをお届けいたします。

チーム医療の研究を経て

師長になられたあとはどのようなご経験をされましたか。

樋浦:師長としてリハビリテーション病院で働いている時に、千葉大学の大学院の先生からお誘いを受けて、改めて大学院に進みました。

そこは日本で唯一、管理職が現職のままシステム管理学の修士号を取得することができるのです。

大学院へ通っている3年で、インタープロフェッショナルワークと呼ばれるチーム医療の中での、看護と介護の関係性に関するプロジェクトを行いました。

看護部長になられたのはどのタイミングででしょうか。また、何か変化を感じられましたか。

樋浦:大学院に入って2年目の今年の4月に部長に就任しました。

師長から部長になりますと、自分の病棟だけではなく、病院全体を見ないとなりません。

勿論師長もある程度は病院全体を見て、病棟の立ち位置や行わなければならない業務を考える必要があります。

一方、看護部長は1つの病棟だけでなく外来や、他にも看護と関連するところを全て俯瞰する必要が出てきましたので、その点は大きなギャップでした。

ですが、病院を組織として考えた時に、看護部長・事務局長・院長が三本柱になり、全体をきちんと仕切るということが大事だと感じます。

看護部長として取り組まれていることはありますか。

樋浦:当院は民間の病院ですので、収益を上げながらも、効率の良い仕事を行い、患者さんにも満足して頂けるとよう、バランスをとることに務めています。

現在は若いスタッフが非常に多いですし、入職もありますので、看護部をまとめていけるように取り組んでいるところです。

「あんしん」と「まごころ」

病院の理念を実践されるために看護部として心がけていることはございますか。

樋浦:当院には、一般病床と回復期のリハビリテーション病棟と緩和病棟、療養病棟の4つの病棟があり、それぞれ機能が違います。

ですが、どの病棟に入院してくる患者さんにも、そこに入る目的や今後への希望があります。

その目的や希望を叶えるため、医療者側が何事も推し進めるのではなく患者さんがどうなりたいのかを確認しながら進めていくことを大事にしています。

それが患者さんの権利の尊重に繋がると思います。

そして患者さんにきちんと説明をするということは、医療の質の向上にもつながります。

医療者が話をするとどうしても専門用語が出てきてしまうことが多いと思いますが、患者さんが分かるような言葉でわかりやすく伝えることが大事です。

ケアの方法をきちんと患者さんに選んで頂けるようにお示しして、患者さんが選ばれたケアに対しては私たちが支援をできるようにする必要があります。

想いやりの精神に関してはいかがですか。

樋浦: 「あんしん」と「まごころ」という二つの言葉を桐和会ではとても大事にしていて、思いやりの精神にも関係してきます。

まずは、患者さんに対してもですが、スタッフ同士でも真心を持って相手と接するようにと伝えています。

そして患者さんが相手にした時には、真心を持って看護にあたるため、しっかりとした接遇を持つことも欠かせないことですので、そこも大切にしています。

一人ひとりの成長に合わせた指導

看護師の教育はどのようなことをされていらっしゃいますか。

樋浦:新人教育は法人全体のものもありますが、看護部の中での新人指導では、基本的にはあまり急がず一人ひとりの成長に合わせた指導を行っています。

当院には新卒の他にブランクのある方も入職されてきます。

そのような方でも安心して頂けるようにeラーニングを取り入れて、いつでも空いている時間に学習ができる学習体制を整えています。

ケアワーカーも尊厳がを持って働く

看護補助者についてお話を伺ってもよろしいでしょうか。

樋浦:当院では看護補助者とは呼ばずに「ケアワーカー」という名前をつけていて、ケアワーカーに向けた教育もあります。

今年からは、入職したケアワーカー全員にまず療養病棟に入って貰い、4ヶ月かけて療養病棟の患者さんに合わせたケアをできるように知識と技術を指導しています。

その後の3ヶ月間は色々な職場をローテーションしながら様々な患者さんへの対応を学んで貰います。

そして10月になってからはケアワーカーの希望と現場の声をマッチングさせて病棟へ配属することにしています。

ケアワーカーには資格を持っていない方もいますが、中には介護福祉士を目指して、当院の奨学金を使いながら学校に通う方もいらっしゃいます。

どのようなお仕事をされているのでしょうか。

樋浦:当院はケアミックスですので、基本的には患者さんの清拭などの清潔面や、お食事の介助や準備と、直接介助と間接介助の両方を担って貰っています。

看護師はどうしても医療的な介助などが多くなりますが、患者さんは病院で毎日暮らしています。

ケアワーカーの方々は、その生活空間を居心地よく楽しい場所にするため、季節毎の装飾作りなどしてくれています。

一人で抱え込まずに目標を共有する

お忙しい生活を長年続けてこられた秘訣などはありますでしょうか。

樋浦:百点は目指していないかな、というところはあります。

あまり頑張り過ぎずに協力を仰ぐことも大事だと思います。

管理者として考えた場合、皆そのポジションに応じた能力と役割を持っています。

ですから、上の立場の人が全部仕事を抱え込んでしまうのではなく、仕事を振られた人たちが自分で考えて動けるように動機付けをしていったり、目標を共有したりすることが鍵になると思います。

気分転換にされているご趣味はありますか?

樋浦:必ず夏にはシュノーケルをしに沖縄などに行っています。

スキューバダイビングのライセンスは取ってはいないですが、シュノーケルで綺麗な海があると入ってしまいます。

旅行は好きで、娘と韓国でエステに行ったり、夫と旅行したりと時間を見つけては旅行をして楽しんでいます。

樋浦看護部長からのメッセージ

病院を探されている方に向けてメッセージをお願い致します。

樋浦:東京さくら病院は、ケアミックスの病院で、一般病床、回復期、緩和ケア、療養病棟の4つの機能を持ち合わせています。

そして、この病院が所属している桐和会グループには地域包括ケアを担うため、介護老人保健施設やサービス付き高齢者住宅、訪問看護ステーション、クリニック、デイサービスと行った地域に根ざした施設が揃っています。

当院に入職された場合は色々な種類の看護ケアを展開することが出来ますので、やりたい看護が必ず見つかると思います。

ワークライフバランスに合わせて看護師の仕事を探せることが一番の売りです。

保育園も併設されていますので、働くママさんにとっても支援ができる環境にあります。

法人内での異動もできますので、例えば病院での夜勤が困難になってしまっても退職せずにクリニックに移ることもできます。

地域の方が多く働く、地域に根ざした組織になっていますので、よろしくお願いします。

シンカナース編集部インタビュー後記

東京さくら病院は理念にあるように「あんしん」と「まごころ」を大切にして作られている病院で、病院のロビーや病棟は居心地のよい空間が作られていると感じました。

その看護部をまとめる樋浦看護部長は看護師として2つの病院の立ち上げに関わられたことがありとてもご経験の豊富な方です。

2つの大学院に通われていらっしゃったため深い知識をお持ちなのですが、それを分かりやすく伝えるスキルも持っていらっしゃることをインタビューを通して強く感じ感銘を受けました。

ですから、「患者さんに選んで頂けるように、わかる言葉でお伝えすることが大切」というお話にも得心しました。

樋浦看護部長、この度は看護師にとって非常に大切なことをお話頂きまして誠にありがとうございました。

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