前回に引き続き、ミャンマーでご活躍されているレオ・メディケアの伊藤哲様(日本人診療院長)、山田優子様(看護師)へのインタビューをお送りいたします。
変に構えず気負わない
医療自体は大きく変わらないとしても、ミャンマーに来るには勇気が必要ではありませんでしたか。
Dr.伊藤:別に何もありませんでした。
これだけ日本人が働いているわけですから、医療分野だけが特別でもないと思います。
仕事の役割は違うので戸惑いや苦労はありますが、来るにあたって意気込みがあったわけではないです。
緩い気持ちで来ました。
日本に拘る理由がよくわからないくらいです。
山田さんがこちらに来られたきっかけは何だったのでしょうか。
Ns.山田:私は第1期だったので一応指名のような形でお話がありました。
看護部全体に公募はしていたけれども誰も来なかったようで、私が元々海外旅行が好きだったので、その繋がりで声がかかったのだと思います。
海外で一定期間過ごすとなると嫌がられる方も多いと思うのですが。
Dr.伊藤: 公共交通機関も十分に発達していなかったり、実際来て見ると大変な部分はありますから、そういった理由かもしれません。
Ns.山田:看護部は女性が多いので、海外旅行が好きな人だとしても建物などの環境がネックになっていると思います。
ハワイなど人気の場所に比べるとミャンマーは情報が少ないですし、ネガティブなイメージが先行しがちですからね。
それでもこちらに来て挑戦していらっしゃるのは素晴らしいことだと思います。
Dr.伊藤: 日本と違うのが面白いんじゃないか、と思って何となく来たような部分があります。
10年後に日本で自分がしていることを想像して、つまらないだろうな、と思ったんです。
スタッフの方とのコミュニケーションで困ることはありますか。
Dr.伊藤:性格的にどうこうということはありません。
ベースの生活環境や持っている知識が違うので、そういう点で困ることはありますが、人として交流することに関しては特に問題はありませんよ。
日本の医療分野では海外のスタッフと一緒に働くのが未だ一般的ではありません。今実際に一緒にお仕事をされている立場から何かアドバイスはありますか。
Dr.伊藤:生まれ育った国が違うからといってそんなに特別なことがあるわけではありません。
勿論彼らから教えてもらうこともあるわけですから、いい点があります。
あまり構えずに普通に過ごすだけでいいのではないでしょうか。
逆に変に構えることもないと思います。
今後の目標
Ns.山田:慢性疾患を抱えている方が多いので、そういった方々のケアができたらいいなと思っています。
Dr.伊藤:医療費の問題などもありますが、医者や患者さんが増えて、充実した医療が提供できたらいいなと思います。
個人的には現地の方とも、もっと仲良くやっていけたらいいなと思っています。
シンカナース編集長インタビュー後記
伊藤先生とは、帰国便も同じになり、インタビュー後もお話を伺うことができました。
お二人に共通しているなと感じたのは「まず行動!」ということです。
やる前に何事も決めつけてしまい、躊躇して動き出さないということはしない。
まずは一旦やってみよう!と思うしなやかな決意がお二人にはあるのだと感じました。
山田さんも謙遜していらっしゃいましたが、とても勇気のある、ナースだと尊敬いたします。
伊藤先生がいらっしゃらない時は、現地の医師とともに医療を提供する。
都度、患者さん、家族、医師のニーズに合わせて対応される能力の高さは中々真似できるものではありません。
ミャンマーという穏やかな国で、しなやかかつたくましく医療に邁進されていらっしゃる伊藤先生、山田さんお二人にお会いできたこと、心より感謝いたします。
この度は、本当にありがとうございました。
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No.37 伊藤哲様 山田優子様(レオ・メディケア) 前編「異国の地、ミャンマーでの医療」