看護師は国家資格保持者であり、看護師である限り、知識も技術もあってしかるべき。これが前提にあるというのは当然ではありますが、一方で看護学生時代に身につけられる知識や技術は、やはり限られているということも事実。実際に資格が無ければ、患者さんに医療処置を実施することが出来ないので、いきなり採血や吸引が上手な新人看護師というのは居ないわけです。
出来ない、分からない期間があるのは、またこうした背景から、事実ではあるのですが、病院に勤務し、白衣を着ていれば、新人も先輩も患者さんにとっては分からない。こうした新人の期間に看護師としての自信を失い、自分には向いていないと思ってしまう入職間もない看護師が離職してしまうというのは、非常に無念でなりません。
医療知識を身につけ、3年〜4年という期間で看護を学んだのだから、それだけでも十分に誇りを持って仕事を開始し、段階的に現実的な知識や技術は身につけていけばいいと思うのは、既にその辛い時期を通り過ぎてしまった者の発想なのかもしれません。
現実的に、技術力がない新人看護師は「ありがとう」と感謝される場も少ないので誇りなど持てるわけがないと思っているようです。ただ、これは大きな間違い。看護がとても大切にしている「観察、共感、傾聴」は永遠に欠かすことの出来ない看護の大きなポイントでもあり、新人看護師でも実行出来ることです。
患者さんの日々の差異を観察し、傷みに寄り添い、じっくり耳を傾けて話を聞くことを実践しながら患者さんの「目標をサポートする」ことにもう少し重点を置くことが出来れば、看護師としての誇りを持ちながら業務を遂行出来るのではないでしょうか。
とはいえ、誇りを持って仕事をしたい!と思っても、看護師不足から日々の業務に追われてしまうという現状も否めません。ただ、自分の選んだ職業に誇りを持てずに業務をこなすだけというのは不幸なこと。技術がないから駄目なのではなく、出来ることを実践しながら、それが出来ることは素晴らしいことなのだ!と誇りを持って知識や技術を積み重ねていける。そうして看護が明るい現場になっていくことを願っています。
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シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎