No.12 天野瑞穂様(シンガポール日本人会クリニック)「やりがいを感じて毎日楽しく勤務しています」2/2

インタビュー

1/2に続き、シンガポール日本人会クリニックの看護師、天野瑞穂様のインタビューをお届けします。

2/2ではシンガポールで働くために必要なこと、勤務の実際などについて伺っています。

求められる多彩な能力

こちらで行っている看護行為・医療行為はどのようなものがありますか?

天野:ここのクリニックでいうと、予防接種に来る患者さんへの接種は看護師が行います。

他には健診業務もします。

私個人に限って言うと、以前検査部門のお手伝いをしていたので、採血データを測定する分析装置を取り扱うこともできます。

また、眼底検査もやることがあります。

なにしろスタッフが少ないので、検査技師が休みになると「今日は検査できません」「採血できません」ではまわりませんので、そういうことがないように教えてもらっています。

また、胃カメラの検査をすることがあるので、その介助・洗浄等の片付けにも入ることがあります。

求められる能力や仕事の範囲がかなり幅広いんですね。

天野:日本だったら1つの外来だけということが多いかと思いますが、ここではそうではないですね。

子供も大人も、内科はもちろん眼科・皮膚科・耳鼻科でも受診されるので、患者層はおのずと幅広くなります。

日本人クリニックでも英語力は必須

1つの科の外来看護師ではなく、様々な疾患を扱うということは非常に特徴的ですね。

天野:そうですね。ただ、専門的な器具もないので実際に何かの処置をするということはありません。

もう1つ特徴的なこととしては、ここは一般診療だけなので、専門的な診療が必要になった場合は紹介することになります。

専門医の先生たちは地元の病院にいるので、予約をとったり、通訳が必要な患者さんには通訳を手配したりといったコーディネートも私たち看護師が行います。

そこで英語のやりとりがどうしても発生してくるので、ある程度の英語力が必要ですね。

その英語力はアメリカに駐在されていた時に培われたものですか?

天野:そうですね。アメリカにいた時は働けませんからとりあえず英会話ばかり習っていました。

でもそれが今すごく役立っています。

日本から直接来ていたらこうして働くことにならなかったかもしれません。

やっぱり英語は必要ですね。

クリニックの中だけだと日本語がわかるスタッフもいるのでそれほど困らないかもしれませんけど、病院など外部機関とのやりとりはどうしても避けられませんので。

英会話以外に「医療英語」という部分も出てくるかと思うのですが、例えば紹介するときに必要な病名や症状などの医療英語をどのように勉強されたのでしょうか?

天野:病名や症状のことはここで仕事しているとよく出てくる言葉なので、自然と身につきましたね。

処方箋を発行する時に先生たちが病名を書くのですが、クリニックのシステムで病名にコード番号をつけるんですね。

その時に病名をひとしきり見るので、日々目にしているうちに覚えていくものだと思います。

わからない時は先生が日本語で言ってくれるんですけど、「英語で何て言えばいいんですか?」と聞き返してみたりして意識して覚えるようにしています。

かなり英語のベースができていないと難しいですね。

看護師に復帰されてよかったなと感じますか?

天野:もう看護師の仕事はできないと思っていたので非常にやりがいを感じていますし、毎日楽しく勤務しています。

できるだけ長く、それこそ定年するまで働き続けられればと思っています。

<シンカナース編集長インタビュー後記>

天野さんから伝わってきたのは「看護師として働くことの喜び」でした。

ご主人の転勤によって、在住場所は時に変化していきながらも、人生や看護を楽しんでいらっしゃると感じました。

これが出来るというのは、出会った環境をポジティブに受け止め、そこで出来ることは何か?と自ら考え、行動に移す勇気がおありになるからではないでしょうか(シンガポールで勤務するナース2名ともに共通していました)

看護師としての資格を他国でも活かしていきたいという方はいるかもしれませんが、実際に行うのは、自分だけではなく、周囲のサポートがあってこそ。

天野さんは、職場や上司からのサポートをとても真摯に受け止めていらっしゃり、明るく状況を語っていらっしゃいました。

「働けることのありがたさ」これは日本で引く手数多の職場がある看護師が忘れてしまいがちなキーワードかもしれません。

働く環境があること、働ける資格があることのありがたさを天野さんを通じて改めて感じることができました。

天野さん本当にありがとうございました。

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