声を挙げない看護界
今回の報道でもう1つ考える必要があるのが、日本看護協会が沈黙しているという点です。
日本看護協会は会員数約70万人をほこる看護職最大の職能団体であり、看護職の権利拡大、専門性の維持・向上、質の向上をすすめるため日々活動をしています。
病院勤務する看護職の多くが加入しているのではないでしょうか。
日本看護協会は今回の報道についてシンカナースの問い合わせに対し
「本会は今回の報道に関して見解や声明文を出す立場ではない」
とコメントしています。
起こったいきさつについては介入せずとも、社会的反響の大きさを考えると看護界全体の問題と考えてもいいでしょう。
今回のような社会における看護師の評価が下げられかねないような報道のされ方を無視することはできないはずです。
しかし、声を挙げない、つまり看護師を守ろうとしない立場をとったことに関して、われわれは疑問を抱かざるを得ません。
このような報道を黙認し続ける限り、看護職の専門性の維持・向上はおろか、社会における信頼が低下し、看護師の存在意義が失われていくのではないでしょうか。
社会からの信頼を得るということは、専門職として大切なベースとなり、何よりもまず重んじられることであると考えられます。
看護師の味方であるはずの日本看護協会が手を差し伸べるどころか声も出さない。
長年続いてきたこの体制、大きな問題だと思いませんか?
看護協会が声明を出す立場にないとしたら、報道により一気に悪者にされてしまったこの看護師を一体誰が守るのでしょうか?
この看護師が退職すれば解決するようなことではないのです。
看護師の描かれ方の是非
日本において看護師に関する報道の多くは3K「キツイ・汚い・危険」をはじめとするその労働環境に関するものに視点が集中してきた現状があります。
看護師自身が報道について「おかしい」と思っても、それに対して声を挙げる等の行動に出ることはほとんどみられません。
そこには【看護師が医師に従属してきた】という歴史的背景が関係しています。
医師を頂点としたヒエラルキー社会の中で、看護師は医師の背後で物言わぬことがよしとされてきた時代が長くありました。
現在はそのような関係性は変化しつつありますが、まだまだ進化途中といえるでしょう。
新聞をはじめとするメディアにどう描かれるかによって、人々の考えは大きく左右されます。
また、報道する側が看護師をどのようにとらえているかによってもその描かれ方は変わってきます。
シンカナースでは、3A(安全・安心・明るい)な看護界の実現に向けて、今回の報道について取材を続けていく予定です。
・看護師
・病院
・患者
・メディア
それぞれがどうあるべきだったのか、考えることでシンカナースとしての答え、そして今後のあり方についての提言をしていきたいと考えています。
ご期待下さい。
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