まだオープンから間もないイムス東京葛飾総合病院。
まさに新たな歴史が始まりつつある今、院長の吉田成彦先生に新病院への期待などをお伺いしました。
中:今回は、イムス東京葛飾総合病院院長の吉田成彦先生にお話を伺います。
先生、どうぞよろしくお願いいたします。
吉田:よろしくお願いします。
中:まず、貴院の特徴を挙げてください。
吉田:平成29年の4月1日にオープンした、まだ2年に満たない新しい急性期の総合病院です。
患者さんに愛し愛される病院をモットーとし、24時間365日対応できるように頑張っているところです。
中:ありがとうございます。
次に先生ご自身について、いくつか質問させてください。
先生は心臓血管外科がご専門と伺いましたが、
どのような理由から心臓血管外科領域へ進まれたのでしょうか。
吉田:大学卒業後、今で言うところの後期研修を大阪の国立循環器病研究センターで受け、
心臓外科を3年間修業したことが始まりです。
母親が以前から心臓病を患っていて、それがために医師を目指したようなところもあり、
心臓を専念にすることは自分にとって自然な流れでした。
また心臓に対しては学生時代から「神秘的な臓器」というイメージがあり、興味の対象でもありました。
中:現在の院長に就任されるまでのご経歴をお聞かせください。
吉田:大学が和歌山でしたから、大阪や和歌山の関連病院をしばらく回っていましたが、
やがて大学を離れて千葉県松戸市にある新東京病院に5〜6年勤めました。
その後、2000年に葛飾区の新葛飾病院という病院の心臓血管外科の立ち上げに関わりました。
当時、葛飾区内初の心臓血管外科だったと記憶しています。
その心臓血管外科は病院本体から分離・独立し、葛飾ハートセンターとなり、
私がその院長を務めていました。
そして、新葛飾病院の流れを汲む新しい病院として当院が建設されたのが平成29年の4月のことです。
その開設と同時に私が院長に就任しました。
中:新たな診療部門の立ち上げや病院の新設には、
かなり大きなエネルギーが必要だったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
吉田:私の専門領域について申しますと、心臓血管外科医1人では何もできず、ナースの力が必須です。
しかもナースはドクターの10倍以上の人員が必要です。
もちろん他にも、臨床工学技士などのコメディカルスタッフや事務職員も含め、
チームを形成しなければ「一人前」と呼べる病院は成立しません。
当院も開設以来、実に多くの人の助けを借りて、ようやく軌道に乗ったところです。
幸い当院の母体であるイムスグループの医療機関は、
院長と看護部長、事務長が三位一体で運営するという特徴があります。
それだけ運営面において私にかかる負担は他院よりも少ないように感じます。
その結果、院長でありながら臨床も続けられています。
中:病院運営にあたり、先生がモットーとされていることや、大切にされている言葉があれば教えください。
吉田:病院のモットーは先ほど申しましたように「愛し愛される病院」です。
これはイムスイズムです。
もう少し具体的に申しますと、患者さんファーストということになるでしょうか。
来院された患者さんを自分の親と同じように看護、ないしは医療を提供する、
それを大切にしたいと考えています。
個人的には心臓外科医として最高の技術を提供することに努めています。
中:院長というお立場からみたスタッフの働き方についてお伺いします。
今おっしゃったように、医師はベストの治療技術を提供することが大きな目標になるかと思いますが、
看護師はどのようなことを目標として意識すべきとお考えですか。
吉田:病院内で看護師は実に長時間、患者さんの近くにいていただける存在です。
我々医師はそういうわけにいきません。
ですから、患者さんの変化、例えば「この患者さん少し顔色が悪いです」とか
「今日はなにか調子が悪そう」といった気づきをすぐに医師へ上げていただけると助かります。
もう一つ、私は看護師にとって一番大事なことは「笑顔」だと思います。
笑顔は「作り笑い」と異なり、簡単なようで難しいです。
中:看護師には笑顔が大切とのことですが、そのようにお考えになる理由をお聞かせいただけますか。
吉田:例えば看護師が患者さんに笑顔で接した時に、患者さんが明るい笑顔で応えてくれたとすれば、
その方のコンディションは良好なはずです。
人は辛い時には明るい笑顔を返せませんから。
つまり、患者さんがハッピーであるかどうかを、笑顔で接することで知ることができます。
看護師の笑顔で患者さんの容態が良くなることもあると思います。
当院をそういう病院にしたいなと思っています。
中:患者さんの状況を知るためにも、やはり笑顔が必要だということでしょうか。
吉田:患者さんと上手にコミュニケーションがとれていないと、
患者さんは辛いことを包み隠さず話そうとしてくれません。
患者さんが何でも話してくれるようになるための看護力、あるいは人間力を培うことが、
看護師にとって必要なことではないかと思います。
検温の際も笑顔で病室を訪れ、患者さんの顔色や反応をさりげなく確認し、
わずかな変化にピンとくる感覚、それが大切です。
後編に続く
シンカナース株式会社 代表取締役社長
看護師として勤務していた病院において、人材不足から十分な医療が提供出来なかった原体験を踏まえ「医療の人材不足を解決する」をミッションに、2006年に起業。 現在、病院に対しコンサルティングおよび教育を通じた外国人看護助手派遣事業を展開。25カ国以上の外国人看護助手を育成し、病院へ派遣することで、ミッションを遂行している。 東京都立公衆衛生看護専門学校 看護師 東洋大学 文学部 国文学科 学士 明治大学大学院 グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院 総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 元東京医科歯科大学非常勤講師 元同志社大学嘱託講師 元日本看護連盟幹事 元東京都看護連盟幹事 日本看護連盟政治アカデミー1期生 シンカナース株式会社/代表取締役社長 著書 『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社 『医師の労働時間は 看護業務の「分業化」で削減する』幻冬舎 『外国人看護助手テキストブック』幻冬舎