コラム「看護教育の昔」では、昔の実習指導者対策をご紹介しました。
厳しかった昔と比べると、今は比較的穏やかなものへと変化してきています。
少なくとも、理不尽なことを言ったり、睨みつけたりするといった高圧的な指導ナースは少数派になってきているのではないでしょうか。
私自身短大と大学、2つの学校で実習を経験しました。
短大を卒業してから大学に進学するまでには10年の時間がありましたから、時代の変化を感じたものです。
受け入れる施設側の変化
1人の学生を尊重した対応をする実習施設が増えているということ。
とにかく物理的にも精神的にも学生の居場所がなくて、病棟をさまよっていた短大時代の実習とは大きく変化していました。
視点が足りないかもしれないけれど、学生なりに考えたアセスメントや看護計画を聞き、建設的なアドバイスやフィードバックをしてくれる指導ナースが増えてきている印象があります。
日々忙しく動き回る看護師からしたら、学生への指導が追加されることは負担となるのかもしれませんが、気持ちよく実習できる環境は学生にとって非常に大切なことです。
学生の変化
あの指導ナースは厳しい・この指導ナースは怖い、という情報が学生間で代々引き継がれてきていた時代から、指導ナースと共に考えるという形へと変化してきているように感じます。
学生自身も緊張はするものの、恐怖を抱くことは少なくなってきているようです。
指導ナースが「怖い」存在ではないことを理解した学生は、積極的に指導ナース・患者さんと関わり、学びを増やしていくようです。こういったポジティブな経験を積むことで、実習によって学生の意欲は増し、少しずつ看護観を形成していくことができます。
ある病棟の師長さんがスタッフナースたちに言った「病院に勤務しているということは、患者さんへの看護以外に、実習に来る学生さんを指導する役割も持っているのよ」という言葉に共感しました。
時代は変わっても看護学校のカリキュラムから実習がなくなることはありません。
看護実践が変化すれば、看護教育も変化します。
学生と指導ナースの相互理解は永遠の課題なのかもしれません。