保健師コースに進む?進まない?
大学の看護学部で実習指導教員をしていると、学生さんと実習のことはもちろん、進路のことなどいろいろな話をすることがあります。在宅看護実習では、受け持ち患者さんに行政の保健師が介入しているケースもあり、そこで初めて保健師の仕事について考える学生さんも多いようです。「保健師コース行けばよかった」「なんでもっと早く保健師のこと教えてくれなかったんだろう」という学生さんの嘆きとも言える声が時々聞こえてきます。また、「先生は何で保健師になったんですか?」「保健師の仕事って楽しいですか?」など、実習中に”学生のお悩み相談室”が開かれることもあります。
現在大学での保健師教育は選択制となり、「大学卒業=看護師&保健師の国家試験受験資格」という図式はなくなりました。限られた学生だけが保健師受験資格を得られる、今はそんな時代です。私のように「大学に編入して大卒と保健師免許取得2つの目標を一気に叶えてしまおう!」といったことは必ずしも約束されなくなってしまいました。
大学生活の中でも大きな決断といえる「保健師コースを選択するか否か」。迷っているあなたに、お悩み解決のヒント3つをご紹介します。
1.少しでも迷っているなら前に進もう
3年生になって「保健師をとりたい!」と思っても、1・2年次に保健師関連の基礎科目を履修していないと保健師コースを選択することすら叶わないことが多いようです。「保健師とってみようかなどうしようかな」そんな思いが少しでもあるなら、3年生になって保健師コースに「進む」「進まない」という選択ができるように、後悔しないように、保健師コースに必要な基礎科目を履修しておきましょう。迷ったら進め!!
2.保健師の仕事を理解しよう
学生の皆さんは看護師の仕事についてはおおむね理解しているようですが、保健師の仕事となると途端にわからなくなることがあるようです。そもそも「保健師になりたい!」と意気込んでいる学生さんに出会うことがめったにありません。
保健師はどのようなフィールドでどんな役割をもって仕事をしているのか、先生や卒業生に話を聞いてみたり、保健師のブログ等から情報収集してみましょう。産業・行政・学校など、保健師のフィールドも幅広いので、それぞれで働く保健師からの話を聞けるとより理解が深まるはずです。
3.勉強できる環境を最大限に活用しよう
大学の4年間は勉強できる環境がこれでもかというほど整っており、私からみたらなんともうらやましい限りです。就職してから「保健師になりたい」と思ったら、仕事を辞めて入試を経て少なくとも1年間は学校に通い、国家試験の受験・就活をする必要が出てきます。みなさんは4年間で2つの国家資格を取得できる場に身をおいているわけで、こんな大きなチャンスを逃してはいけません。
未来は誰にもわからない
「絶対に保健師になることはない」「私は病院で看護師の仕事がしたい」学生さんからはそんな声も聞きます。私も短大時代は同じことを思っていました。しかしそんな私が保健師になっていますし、保健師の中でも行政だけは絶対にないと思っていたら行政での仕事をすることになりました。何人の人が学生時代に思い描いていた通りの看護師のキャリアを歩いているでしょうか?
何がきっかけでキャリアが発展していくか、それは誰にも予想できません。ターニングポイントが来た時にどの方向に進んでいくか、資格の有無によって可能性の広がりが異なります。ワクワクする未来を進むためにもここはひとつ、保健師コースを選択して講義と実習を乗り切ってみませんか?