看護も看護師も我慢しない時代に

コラム

我慢は当たり前?

病院に、クリニックに、今日も患者さんはやってきます。そして看護師は目の前の患者さんにケアを実践します。そこには見えなくてもそれぞれの立場で様々な思考が展開されてます。

 

患者の心の声:今日は採血があるって言ってたな。血管が細くて採血は1回でとれたことがない・・・今日もダメだろうな。また両腕に青あざができちゃうんだろうな。 

 

看護師の心の声:今日の受け持ち患者さんはADL全介助。しかも清拭して着替えもある日だ。人が足りないから1人でやるしかないか。しんどいんだよなぁ。また腰痛くなっちゃう・・・。 

 

この両者に共通するキーワード。それは「我慢」です。医療現場では看護師も患者も「我慢して当たり前」なことが多いと思いませんか?でも本当にそれでいいのでしょうか?我慢することが美徳、痛みは耐えるものという古くからある認識が、新たな考えを受け入れることを拒んでいませんか?これだけ医療技術が進んでいるのに、考え方だけが停滞していませんか?

これをなんとか解決できないものか、この我慢はずっと続くのか、頭の片隅にずっと居座り続けている問題の1つでした。

 

先日、それらを解決に導いてくれるかもしれない気になる新聞記事を見つけました。

キーワードは「我慢させない」。

「看護機器開発目指す 産官学の協議会が新部会設置」 

 

産官学連携で看護関連機器の開発を目指し、それによって「我慢させない看護」の実現を目指すというもの。記事によると、看護の現場から、課題や必要な機器のイメージ、アイデアなどを聞く機会を設け、製造側と議論を交わす予定だといいます。

 

新たな視点「看護✕ものづくり」

「看護✕ものづくり」というコンセプトは、これまでみられなかった組み合わせです。具体的にどのようなものができるのかはこれから検討されるわけですが、現場の声が届いて快適な看護ができるような機器が開発されることを期待したいものです。すでに腰痛予防の観点から”ノーリフト”「持ち上げない看護」を実践する活動は広まりつつあります。また、東大総長賞を受賞して話題にもなった野寄修平さんの卒論は、見えにくい血管をエコーを通して見つける手法の開発という、新たな切り口から看護にアプローチしたものです。ここに掲載された対談はとても興味深い内容でした。 このように少しずつではありますが、より快適に看護ができるツールや手法の開発は進んでいます。

 

看護師も患者さんも「我慢しない」が当たり前になる。そんな環境の実現はまさに3A(安全/安心/明るい)な看護の実現といえるでしょう。今後の開発には大きな期待が寄せられます。

 

#看護師 #ものづくり #持ち上げない看護 #我慢しない #ADL全介助