看護師が起こした医療事故を考える

コラム

 

「看護師が離床センサー作動させず、患者重傷」1月25日、兵庫県立尼崎総合医療センターで起こった院内での転倒事故。地方新聞とはいえ新聞記事になるニュースとして報道されました。原因は看護師が離床センサーを作動させなかったためだといいます。患者さんは白内障の手術を受けるために入院した90代女性。もはや90代の手術も珍しくなくなった時代に突入しています。身体的に手術を受けられる状況にあるとはいえ、病院という非日常の環境下に置かれた90代の患者さんがどんなリスクを抱えているか、みなさんは容易に想像できることでしょう。

多忙な業務は安全を脅かす

今回のケースのように、トイレ等を理由に離床センサーを切ったあと再び作動させずにその場を離れ、ハッとしたという経験を持つ人は少なくないでしょう。「次は○○さんのところに行かなくちゃ」「あと5分で検査出しだ」「あ〜もう、またナースコール鳴ってる」と日々時間に追われトイレに行く暇もない程の看護師の仕事。常に事故とは隣り合わせの環境で働いていることをあらためて考えさせられます。 そんな環境で明るく仕事ができるでしょうか?笑顔で患者さんに接することができるでしょうか?

看護師が起こした医療事故の内訳では、「療養上の世話」の最中に起こったものが最も多いという調査報告があります。与薬に関する事故は経験1年未満の看護師に多く起こる傾向があるものの、療養上の世話については経験年数を問わず多く発生していることが特徴といえます。

再発防止策の重要性

医療安全の対策として患者を守るために離床センサーを設置したはずが、結果として患者を危険にさらして怪我を負わせてしまった、この事実は重く受け止めなければなりません。当事者の看護師を責めるのではなく、なぜこうなってしまったのか、その原因を病院側は医療安全管理室が中心となってしっかりと検証し、同じ事故が起こらないよう対策を講じる必要があります。患者さんの回復を祈りつつ、当事者の看護師が今回のことで現場を去ることがないよう願いたいものです。離床センサーも進化して作動し忘れないような製品ができる日がくるでしょうか。メーカー努力にも期待しつつ、今日も安全な看護を提供することを意識して過ごしていきましょう。

 

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