「2025年問題」看護はどうするどうなる?気になるポイント4つ

コラム

皆さんは「2025年問題」をご存知でしょうか?団塊の世代と言われる1945〜1949年生まれの人たちが一気に後期高齢者となり、「超・超高齢化社会」が始まります。その数約2200万人。3人に1人が65歳以上の高齢者、4人に1人が75歳以上の後期高齢者となる時代があと10年たたずにやってくるのです。

それによって医療・介護サービスの利用の急増が予測され、社会保障システムの破綻が懸念されています。また、少子高齢化が急速に進み労働人口が減少する中で、医療・介護に携わる人材確保も大きな課題です。医療・介護体制の改善も必要と言われ、これらはもちろん看護にも大きく関与する問題です。

来るべき2025年に備えて、国は医療体制の中心をこれまでの病院から在宅へと舵を切りました。診療報酬改定で急性期病棟の削減も始まり、在宅医療に高い診療報酬の点数を設定しています。

2025年まであと10年となった2015年、日本看護協会は今後の看護の活動の方向性について明らかにしました。変わりゆく社会の変化によって、保健・医療・福祉制度が「医療」から「生活」を支援するケアを重視する方向で変革されようとしています。その中で「医療」と「生活」両方の視点をもって人を視ることに価値をおく看護が、その価値を変えることなく医療の提供と「生活の質」の向上の両機能を、強化さていくことを「看護の新たな挑戦」として示しました。そこで示されたビジョンの中からポイントになるもの4つを挙げてみました。

1.地域包括ケアシステム構築への参画 

地域包括ケアシステムによって、病気や障害を抱えていてもサポートを受けながら地域で暮らし続けられる社会が実現することになります。つまり、生活の中に医療が日常として存在するのです。そのために看護師はケアマネジャーをはじめとして様々な他職種との連携や協同を行い、看護の視点で療養生活全体をマネジメントしていく役割が求められています。

 

2.地域の生活の場における看護の機能強化 

機能強化型訪問看護ステーションの設置、看護小規模多機能型居宅介護施設の増設が検討され、地域包括ケアの中で重要な役割を担うこととなります。また、介護施設では重症化する入居者へのケアや看取りに対応できるよう、看護機能を高めていくことも必要です。

 

3.看護職の裁量拡大 

特定行為を実施できる看護師による医療的な判断や処置の実施によって、必要な時に必要な医療ケアを提供することが可能になり、患者さん・家族は不安を抱えることなく療養生活を継続できることが期待されます。

 

4.地域で活躍する看護職員数の大幅な拡充 

2025年に必要とされる看護職(保健師・助産師・准看護師を含む)の数は200万人。2014年の就業看護職は約160万人。この不足をどう補い、それと同時にいかに質を高めていくかが課題となりそうです。現在は看護師の働く場所として少数である訪問看護が、2025年にはその割合を大きく増加させていることでしょう。

ビジョンでは、看護師の活動の場が医療を提供する「病院」から生活を支える「地域」へとシフトしていくことが繰り返し述べられています。今後看護師が地域で大いに活躍していくことは間違いありません。高齢で疾患を抱えながらも彼らの能力をみつけて・活かして自宅での生活が継続できるよう支えることが、2025年以降看護師に求められることではないでしょうか。

10年後、あなたはどこを働く場所に選んでいるのでしょうか?あなた自身の2025年、そんなことも考えながらキャリアを見定めていきたいですね。