No.14 日髙真紀様(渕野辺総合病院)「よりよい良い環境で働けることをいつも考えています」4/4

インタビュー

1/42/43/4に続き、渕野辺総合病院の日髙真紀看護師長のインタビューをお届けします。

最終回となる4/4では、今年2月に修了された、認定看護師教育課程セカンドレベルの受講を通して考えた外来看護のあるべき姿、今後の目標について伺いました。

認定看護管理者教育課程セカンドレベル研修で得たもの

これから外来看護も変わっていくそうですね。

日髙:そうですね。地域包括ケアシステムの構築という施策があって、規模の大きな病院はすでに仕組みを作って実際に動き始めているところもありますが、この規模の病院で何が出来るのかを考えていく必要があるとずっと思っていました。

半年間セカンドレベル研修に行って、それまでの「政策がちゃんとしていないからダメなのよ!」という気持ちが大きく変わりましたね。

具体的には研修のどのようなことが変わるきっかけになったのでしょうか?

日髙:講義の中で「政策が整うのを待つのではなく、地域包括ケアがどういう方向に動いていて、何が大事で、この地域だったらどの組織がどういう働きをしていて、どういう体制が整いつつあるのか、ということを自分で情報収集して、そこから自部署に何ができるのか、自分で考えていかなければいけない」と言われて、「あぁ、痛いこと言われているな」と1人反省しましたね。

当院の外来でも、通院してはいるものの、在宅生活もままならない患者さんが増えてきていて、外来として何か取り組む必要があると思っていましたが、目の前の忙しさで日々過ぎてしまっていました。

セカンドレベル研修は、自分が持っている管理課題と半年間ずっと向き合っていく日々でした。

看護組織論やサービス論などの講義を受けて課題レポートを書くのですが、必ず自部署の管理課題とテーマをからめて書くんですね。

最後は自分の組織分析の結果、何をやっていけばいいのか、管理実践計画書を作成しました。

半年かけて考え続けたおかげで、いろいろな方向から外来の看護管理課題を考えることができて、今この病院の規模で全員でやれること・やるべきことはこういうことかな、という方向性を見出すことができたように思います。

外来通院している気になる患者さんたちも、問題が表立っていなければ見過ごさざるを得ない状況もありました。

そこに介入していくにはどうしていけばいいかを考えた時に、退院調整など他部門との連携で在宅療養を継続できるようにしていきたいと思ったんです。

半年間自分に問い続けた結果出た答えは揺るがないでしょうね。今後が楽しみになってきましたね。

日髙:初めは外来ナースの中から誰かに勉強してもらって、そういったことに対応できる人を育成しようと思っていたのですが、この人員の中でどう調整できるのか、現実的ではないような気がしていました。

そんな時に退院調整ナースと話してみたら、同じようなことを考えていて、すごくうれしかったですね。

今それをどうやって進めていくか具体的に話を進めていて、夏頃には少しずつ動かしていきたいなと思っています。

自分の部署で完結しようとするのではなく、他部門との連携も大事だなあと思いながら動いたら、周りも動き始めて、「これがやりたかったことだ!」という気持ちですね。

「連携」と言うのは簡単ですが、実際に「連携する」ことを体感されているわけですね。

日髙:そういうヒントを具体的にもらえたのは研修の中で行った看護管理実習でした。

自分の中だけだと限界がありますから、人に聞いたりいろいろな話を参考にしながらどうやって進めていけばいいか、いいヒントをもらえましたね。

半年間の研修を共にした仲間の存在も大きかったのではないですか?

日髙:25人いた学生の多くは同じ師長という立場でしたから、レポート提出と勤務表作成と様々なものが重なって「今日は寝れないね」と言いながら乗り切りました。

同じ立場の人と励ましあえたり、考えを聞けたりしていい仲間と出会えました。

今までの研修と違ってグループワークも楽しかったですし、いろいろな話が次から次へと出てくるのも楽しくて。

みんなそれぞれ所属長としての課題を持っているわけで、そういうことを聞きながら自分も頑張ろうと思えました。

研修と仕事の両立はものすごくきつくて、とにかく本当につらかったけど本当に楽しかったです!

次は実践編ですね。

日髙:来年の秋にはフォローアップ研修で報告会があるのでそれも頑張りたいと思います。

3人の主任さんたちも私がいない間よくやってくれて、みんな頼りになるなと改めて感じました。

理想ですよね、自分がいなくても組織が回るというのは。

今後の目標を教えてください。

日髙:私は何かのスペシャリストを目指すとか、看護部長になりたいといった高い目標はあまりないのですが、与えられた場所でのベストを尽くしたいという想いはあるので、その部署をより良くするためにはどうしていけばいいかということには尽力したいと思っています。

みんながよりよい良い環境で働けることをいつも考えていますね。
管理者は保守的ではダメで常にイノベーション、攻めでいきなさいと言われるけど、まあ私なりのイノベーションでいけたらと思います。

家族との時間も大切にしたいと思っているので、何か1つということはありませんが、そういう時間やイベントは大事にしたいと思っています。

仕事を通じて自分の人生を考える

最後に看護学生・看護師へのメッセージをお願いします。

日髙:看護師の仕事は楽ではないと思います。

やってみてとても大変、だけどとてもいい仕事だと感じますし、看護師になってよかったですね。

娘が高校生になって将来を考え始めるようになって、私の仕事について聞かれることがありますが、看護師の仕事を説明できるいい言葉って難しいですね。

自分の人生を考えられるいい仕事だとも思います。

自分がどう生きてどう死ぬかなんて、この仕事でなくても考えるのかもしれませんが、いろいろな関わりの中で、自分が・家族がそうなったらと必然的に考える機会はあると思うんです。

選択肢もある程度自分の中で持っていたりしますからね。

そう思うと、一番最初に看護師になりたいと思ったのは「家族に何かできたんじゃないか」というところから始まったので、そこに行き着くのかもしれないですね。

看護師である限り、原点を追い求め続けるのでしょうね。

楽しいお話をありがとうございました。

シンカナース副編集長インタビュー後記

市民にとって身近な存在である総合病院。

地域と共に歩むことが役割の1つですから、その地域が抱える課題や強みをしっかり把握した上で医療・看護を提供することが求められます。

半年間のセカンドレベル研修で今後のビジョンが明確になり、関係各所と連携することで、患者さんが抱える課題を解決し、よりよい療養環境の提供へとつながっていくことでしょう。

「高い目標はない」とおっしゃっていましたが、お話を聞いていると内に秘める看護への想いをひしひしと感じることができました。

渡辺看護部長の想いを受け継ぎ、求められる看護は何かを考え続ける日髙師長。

師長の想いは3人の主任をはじめ、多くの外来スタッフ、そして娘さんにも伝承されていくに違いありません。

日髙師長、ありがとうございました。

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