多民族国家って?
NZは多民族国家です。看護師として働くにあたり、口を酸っぱくして、とても重要だと教えられたことは、ひとりひとりの文化の違いを認識し、受け入れ、その人が大切にしていることを看護師も大切にするということでした。入院患者さんの書類にも、民族と宗教を記載する欄が設けてありました。
かいつまんで、、、NZの歴史
その昔、NZには、マオリ族と呼ばれる民族が暮らしていました。1800年代にヨーロッパから白人が徐々に移住を始め、その後イギリスの植民地下となりました。歴史は諸外国と比べると浅いのですが、マオリ族はしばらくの間、マオリ語を話すことも禁止されていたりしたことから、2つの民族の間にはさまざまな出来事があり、未だにわだかまりのようなものが残っているのだと感じたことも何度もありました。現在、社会の中でマオリ族は様々な面で優遇されています。このことで、白人が妬みを持つこともしばしば垣間見られました。例えば、学費もマオリ族の人はその他の民族の人より安いと聞いたことがありました。近年はアジア人も多く移住しており、環太平洋からのアイランダーの人たちも移住しています。このように、NZには様々な民族が住んでいます。
キーゥイ?
NZ人は、自分のことを、キーウィと呼びます。 NZでキーウィとは、3つ意味があり、国鳥のキーウィ、果物のキーウィ、そしてNZ人としての呼び名キーウィです。スペルはどれもKiwiです。マオリ語で、マオリ族はマオリ、白人はパキハと呼ぶ習慣もあります。
びっくりしたこと
胎盤は、出ても私の1部
文化の違いについて、学生のころ実習先で、マオリ族は胎盤をもって帰える文化があると知りました。マオリの人は自分の体を大切にしており、胎盤は、自分の体から出た後も自分の体の一部とし、持ち帰って、土に埋めるそうです。ある人は、しばらく冷凍庫で保存していたと、言ってたよと当時のナースから聞いて、びっくりしたのを覚えています。
枕の色はなぜ違う?
また、頭に使う枕カバーは白色、他の用途の枕カバーは他の色と色で区別している文化もありました。間違って他の色の枕を頭部に使用してしまうと、その人を侮辱することにあたり、問題になったことがあったようです。ひとりひとりが大切にしていることや、その人の習慣に心を配ることがいかに重要であるかを学びました。
このように、様々な文化や慣習が共存している国でした。繰り返しになりますが、学生時代から、その人のユニークな文化はその人の個性であり、そのひとつひとつを尊重しながら、ケアすることが大切であると、何度も何度も教えられました。
普通って誰の普通?
冷静に考えるとさほど大したことではありませんが、日本に帰ってきて、入院に関する質問事項に、人種や宗教を聞く欄がないことに逆カルチャーショックを受けたことを覚えています。また、患者さんが亡くなった時にも、宗教を確認せず、霊安室でお焼香をしたりすることにも、びっくりしました。国民の約98%が日本人(総務省統計局*1)である島国、にっぽん。日本では当たり前なことも、世界中では異文化であるということを認識することは難しいかもしれませんが、グローバル社会を生きる中では、違いを知ることも大切かもしれません。
*1 総務省統計局 世界の統計2016 2-10 国籍別人口
http://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.htm