今回は、褥瘡のケアなどに用いられる被覆材を検証します。
比較対象とした製品は、下記の4製品。
■二トムズ 優肌パーミロールLite
■アルケア マルチフィックスロール
■NICHIBAN カテリープラスロール
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
検証項目
1.表にあるフィルムの剥がしやすさ
2.表にあるフィルムの硬さ
3.貼付部位の違和感
4.被覆材の剥がしやすさと皮膚への影響
5.伸縮性
6.コストパフォーマンス
1.表にあるフィルムの剥がしやすさ
プラスティックグローブをして作業をする際に厄介になるのが、カバーフィルムの剥がす動作。
カバーフィルムがうまく掴めなかったり剥がせなかったりしてイライラした経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
筆者は、手先が器用でないので被覆材を貼付する作業では大抵この作業手順で手こずります。
ですから、製品選びでは要となるところではないでしょうか。
■二トムズ 優肌パーミロールLite
剥離紙には、スリットが入っており剥がしやすさに問題はない。
被覆材を貼付して次に剥がず問題のカバーフィルムには、中央縦方向に波型のスリットが入っている。
この波型のスリットがカバーフィルムの把持を助けてくれるのです。
グローブをしていてもしっかりと剥がすことが可能。
■アルケア マルチフィックスロール
剥離紙には、縦方向にスリットが入っており剥がしやすさに問題はない。
マルチフィクスロールの最大の特徴と言える支持フィルム。
両方の外側に縦方向に波型のサイドタブがあり、エッジアップ機能を有している。
しかも、支持フィルムは1枚構造となっており、1手順減らすことができる。
このエッジアップ機能と1枚構造が今回参加下さった現役看護師の皆様に大好評でした。
手先の不器用な筆者もこれであれば、イライラ感ゼロの上、失敗なし。
とても優れた機能と言っていいのではないでしょうか。
■NICHIBAN カテリープラスロール
剥離紙は、3枚構造で中央の幅広の部分を剥がしたのちに両サイドの剥離紙を剥がす手順となっている。
離型フィルムには、縦方向に一直線のスリットが入っている。
取り扱いは、比較的簡便。
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
剥離紙は、3枚構造で中央の幅広の部分を剥がしたのちに両サイドの剥離紙を剥がす手順となっている。
表のフィルムは、中央縦方向にスリットがはいいており、左右に剥がすタイプ。
表のフィルムには、ピンク色の持ち手がついておりグローブをしたままでも把持しやすい。
しかし、もう一方の表のフィルムには、持ち手が無く、剥がすのに多少困難さを感じる。
※表にあるフィルムの名称については、各社名称が異なるため各社の名称で表現させて頂いています。
(二トムズ:カバーフィルム、アルケア:支持フィルム、NICHIBAN:離型フィルム、ミリオン:表のフィルム)
2.表にあるフィルムの硬さ
表にあるフィルムの硬さによっては、踵などに貼付する際、影響が出る可能性があるため、各製品の比較をしてみました。
■二トムズ 優肌パーミロールLite
厚くて硬い。
踵に貼る際は、困難になる印象。
■アルケア マルチフィックスロール
薄くて、非常に取り扱いやすい。
踵にも最適。
■NICHIBAN カテリープラスロール
比較的取り扱いやすい印象。
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
やや取り扱いに困難を感じるが、使いにくい訳ではない。
3.貼付部位の違和感
被覆材は、基本的に長時間の貼付となりますので、貼り心地はユーザーにとっては最も重要なポイントになるのではないでしょうか。
■二トムズ 優肌パーミロールLite
やや貼付部位に突っ張るような違和感を感じる。
■アルケア マルチフィックスロール
貼付していることを気づかない程、違和感を全く感じさせない。
■NICHIBAN カテリープラスロール
貼付部位に突っ張るような違和感を感じる。
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
貼付していることを気づかない程、違和感を全く感じさせない。
4.被覆材の剥がしやすさと皮膚への影響
被覆材を剥がす際、皮膚への刺激や角質も同時に剥がれてしまうことがあります。
被覆材の選択で剥がしやすさや皮膚への影響も重要な検証項目になるのではないでしょうか。
■二トムズ 優肌パーミロールLite
やや粘着力が強い印象。
剥がす際、皮膚へやや刺激を感じた。
■アルケア マルチフィックスロール
比較的剥がしやすく、皮膚への刺激は、ほとんど感じられなかった。
■NICHIBAN カテリープラスロール
比較的剥がしやすく、皮膚への刺激は、ほとんど感じられなかった。
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
比較的剥がしやすく、皮膚への刺激は、ほとんど感じられなかった。
5.伸縮性
■二トムズ 優肌パーミロールLite
とてもよく伸びる。
屈曲部に最適な印象。
フィルム自体が薄いため衣服との摩擦による剥がれも軽減が期待される。
■アルケア マルチフィックスロール
よく伸びる。
屈曲部にも適している印象。
■NICHIBAN カテリープラスロール
伸びにくい感じがする。
屈曲部には適さない印象。
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
よく伸びる。
屈曲部にも適している印象。
6.コストパフォーマンス
医療機関での採用は大量に使用しますから、性能だけでなくコストパフォーマンスも大変重要になります。
各製品50mm幅で1mあたりの金額を算出して比較してみました。
■二トムズ 優肌パーミロールLite
233円
■アルケア マルチフィックスロール
200円
■NICHIBAN カテリープラスロール
280円
■ミリオン エアウォールふ・わ・り
233円
なお、価格参考は栗原医療機器店(http://www.kuribara.co.jp/index.html)のカタログを参考とさせて頂きました。
まとめ
今回は、看護師の視点で比較しました。
各検証項目を×:0点、△:1点、○:2点、◎:3点で評価して合計点を算出してみました。
■二トムズ 優肌パーミロールLite・・・9点
http://www.ntmed.co.jp/medical/personal/roll/yuki_roll_lite.html
■アルケア マルチフィックスロール・・・16点
http://www.alcare.co.jp/medical/product/pdf/catalog/cat_multi-fix-roll.pdf
エッジアップ機能による支持フィルムの取り扱いのしやすさから始まり、違和感の無さや伸縮性、そしてコストパフォーマンスと検証者の圧倒的な注目を集めた結果が最高得点につながりました。
■NICHIBAN カテリープラスロール・・・7点
http://www.nichiban.co.jp/medical/products/dressing/cathereeplusroll/
■ミリオン エアウォールふ・わ・り・・・11点
http://www.skinix.jp/products/airwallfuwari.html
各製品のパンフレットやホームページも合わせて参考にして頂けると幸いです。
今回の検証について
今回の検証結果は優劣をつけるものはありません。
病院などで新規採用する際、それぞれの現場や使用目的によって最適な物を使うことで良い影響が出るよう参考にして頂けたら幸いです。
今後も看護師ならではの視点で日々使っている物品を検証して参りたいと思います。
番外編
自称かぶれやすいというスタッフを被験者にパッチテストを試みてみました。
アルケア マルチフィックスロールとNICHIBAN カテリープラスロールに若干の発赤を認めましたが、肌に直接貼るものですから、各社工夫されており大きな差異はありませんでした。