No.37 伊藤哲様 山田優子様(レオ・メディケア) 前編「異国の地、ミャンマーでの医療」

インタビュー

今回はミャンマーでご活躍されているレオ・メディケアの伊藤哲様(日本人診療院長)、山田優子様(看護師)にインタビューさせて頂きました。

ミャンマーでご活躍されているお二人のパワーの秘密に迫ります。

ミャンマーで活躍する日本人医療者

先生方のプロフィールを教えていただけますか。

Dr.伊藤:放射線科の専門医です。こちらでは全科の診療をさせていただいています。

当クリニックで診断・治療できるものの対応や、専門医の紹介をしております。

日本ではあまりなじみはないですが、GP:General Practitioner(総合診療医)という概念に基づいた医療を展開しています。

ミャンマーにいらっしゃって何年ぐらいになりますか?

Dr.伊藤:社会医療法人大雄会とミャンマーの交流は1998年に始まりました。

私がこちらに来たのは2003年からです。

Ns.山田:私は元々日本で大雄会の循環器と心臓外科に勤務して居りまして、こちらにクリニックを出すということで1年ぐらい前にこちらに来る事になりました。

看護師は2名いて、70日のビザが切れる時に交代しますので、大体2ヶ月に1回日本とミャンマーを往復しています。

ミャンマーには他に日本人医師がいるクリニックはありますか?

Dr.伊藤:少し前まではもうお一方いらっしゃいましたが、帰国されました。

今現在ミャンマーで診察行為をしている日本人医師は私だけだと思います。

こちらのスタッフは現地の方が多いですか?

Ns.山田:はい、私たち以外は全員ミャンマーの方です。

こちらに受診される方はどのような方でしょうか。

Dr.伊藤:出張で来ている方、こちらで事業されている方など様々です。

赴任されている方のご家族もいらっしゃいます。

その人たちは他院からの紹介や、大雄会のホームページを見て受診されるようです。

異国の地での生活

環境の変化にはすぐ対応できるものなのでしょうか。

Ns.山田:気持ちを持っていく場所がないためか、帰国前に調子を崩してしまうことがあります。

私は美味しい物を食べに行ったりしてリフレッシュしています。

Dr.伊藤:日々の生活でも少しずつ疲れも溜まるんですよね。

日本では仕事が終わって買い物して料理して、というのも簡単にできますが、ミャンマーでは車で買い物できる場所も限られていますから。

気分転換にはテニスをしたり、医療とは関係のない話をするのも良いですね。

山田さんは、日本に帰国されてもお仕事をされるのですよね。日本では何科でご勤務されるのですか。

Ns.山田:帰国後は元いた循環器、心臓外科に戻って働きます。

プレッシャーはありますが、日本に帰れたことで得られる安心感は大きいです。

ミャンマーでの医療

ミャンマーと日本の医療の違いはありますか。

Dr.伊藤:患者さんの立場では、保険、医療のシステムが全く違いますから戸惑いを感じるのではないかなと思っていますが、医療に関してはどこの国でも人間相手なのは同じですから、意識としてそう違っていることはあまりありません。

Ns.山田:システムが違うだけで、町のお医者さんとしてやっていることは日本と大差はありません。

ただ、先生が出国されている期間にミャンマーの先生が入られる時にはやり辛さを感じます。

検査が必要な理由や、何でその診断に至ったのかという考えが先生の中だけで完結してしまって、患者さんに説明されないことが多いのです。

日本での医療に慣れている患者さんですと「何でだ?」と結構戸惑われる方が多いです。

ですので、先生と患者さんの間を仲介するために私が入って、「もうちょっと説明をしてください」と先生にお願いしたり、できる範囲で私から説明させて頂いています。

日本での専門分野ではなく、ここでは総合診療ですが戸惑いはありましたか。

Dr.伊藤:戸惑いました。今でも戸惑いますし疑問もあります。

自分で調べたり人に確認しながら行っていますが、そこも面白い点です。

このクリニックの特徴はありますか。

Ns.山田:当院ではMRIとかCTが使えて、入院もできるところが大きいですね。

他のクリニックですとそういった医療機器が揃っていない場合があります。

その場合にこちらに来てもらって検査をして、必要であれば先生から専門医にも紹介できます。

Dr.伊藤:画像に関しては、他のクリニックよりも早く結果を出せます。

ミャンマーの医療制度と病気に詳しいミャンマー人のドクターも24時間365日いますので夜間でも対応できます。

もしマラリアやデング熱といった日本では馴染みの薄い病気でも彼らに相談ができます。

ミャンマーでよく診る疾患はありますか。

Dr.伊藤:消化器系の感染症が多いです。

歴史的にはどこの国も通ってきているところだと思います。

あとは、ミャンマーは小児医療に関しては脆弱な部分がありますので乳幼児を連れてくるのはお勧めできません。重症化してしまったときにはミャンマー国内で治療を完結させることは難しいです。

もし子供を連れて来るとしたら、学齢期に達して、自分である程度コミュニケーションが取れるようになってからが望ましいです。

後編へつづく

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